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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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エウラの為の籠手を作る

高い評価を頂き、嬉しいです。

感謝します。

 続けてエウラの為の籠手こてを作ろうと考えた。

 竜素材を能力解放錬成して「衝気増加」を付与した物を作るので、「銀鎧竜鉄鋼シルヴァルド」から作れるのだ。


 銀鎧竜の甲殻から精製した金属は、甲殻を溶かす程の温度を必要とはしないので、燃結晶を三つ使うくらいでも(それでもかなりの高温になるが)延べ棒は溶け出す。

 これでエウラの腕に合わせた籠手を作り始める。


 重要なのは籠手から手に持った剣に、衝気増加効果を与える工夫を必要とするところだが、これは手に付ける竜皮を使った手袋状の物に、簡易かんい魔力回路を通す事で解決できる。

 金属製の籠手の内側には皮や布を張り付けるので、その一部の素材に手を加えるのだ。


 なめし革を作る作業工程の中で、簡易魔力回路を生成する。それほど難しい作業では無い。

 次からは徒弟達に任せても大丈夫だろう。


 白色に近い朱色の光を放つ、焼けた金属を金鎚で叩き、不純物を打ち出しながら金属を鍛えていく。ケベルと金鎚で叩き続ける音。

「カン、キン、カン、キン」と小気味良い音が鍛冶場に響く。


 叩く度に火花が飛び散る。

 流れる汗。

 燃え盛る炉の中に金属を入れ、軟らかくなると折り畳み、火花が出なくなるまで金鎚を振り下ろす。


 そうして鍛え上げた金属に、「硬化結晶」と「不銹ふしゅう結晶」を加えて再び熱し、軟らかくなったところで、丸みのある金属の型に押し付けて曲げる。

 耐熱手袋を使って体重を掛け、腕の外側を守る部分を作り出す。

 細かな部分を調整しながら、大体の形を決定した。


 手首を守る部分も作る。こちらはゆるい曲がりの小さな金属板に加工するので、ケベルとサリエに作らせる。


 熱が引いた金属を、歪みが無いように削ってなめらかにすると、表面が鏡の様に光を映し込む。

 籠手の内側に皮と布を張り付け、手首を守る小さな金属板を留め金で止め、籠手の端を真紅鉄鋼アウラバルカムで作っておいた細長い、コの字型の金属棒で挟み込みんで固定しておく。

 手首の部分は可動できるようにして、剣を振り回す邪魔にならないように設計する。


 籠手に革帯ベルトを二カ所、取り付けて腕に装着し(籠手をサリエに付けさせて、邪魔にならないか確認する)、細かな部分を調整して、籠手の形は完成した。




 これに錬成して、様々な効果を付与する作業に移る。

 難しい事は無いが、淡々と、一つ一つの素材を正確に配置して、籠手を強化していく。


「衝気増加」「気力増加」「気力回復速度上昇」「防御力強化」を付与し、鑑定して納得できる数値が出たのを確認すると、鑑定書を書いて、それを保管庫に持ち込んだ。


 *****


 今日は少し早いが、鍛冶屋を閉める事にした。せっかくアラストラが休みらしいのだ。出来上がった魔法の槍を届ける事にした。

 鍛冶場の片づけや、居残り修業は徒弟達に任せ。槍を簡単に布でくるみ、それを持って建物の外へ出た。

 外の方がやはり涼しい。空気が入れ替わっても、熱くなった建物の壁や炉が、室温を上昇させているのだ。


 蒼髪の天女旅団の拠点に行くと、開かれた門から建物に向かう。

 建物に入ると、適当な若者に声を掛けて、アラストラを呼ぶように頼んだ。

 やはりあの男は、相当に団員達から慕われているのだろう。若者は「はいっ」と返事をして小走りで去って行く。


 アラストラはすぐに出て来た──。休みの日くらい、奥さんや子供の居る自宅に戻らんのか? そんな事を思いつつ、槍を軽く振り上げて挨拶を交わす。


「おいおい、もう完成したのか」

 と、驚きの声を上げて俺を迎えるアラストラ。

「そりゃ、失敗しなかったらな。一発で成功するとは俺も思わなかった。──まあ、出来を見てくれ」

 そう言って布から魔法の槍取り出す。


 白銀に輝く槍。

 その光の反射の中に、青や緑の細かな模様が見える。

 魔力回路の流れに映る、水と風を表す力が映り込んでいる証だ。


「おお、凄いな! 槍の攻撃を強化する効果が複数付いて……ありがたい」

 鑑定書を見たアラストラが声を上げる。

「しかし、槍をまるまる同じ金属で造る必要は無かったな。全体の魔力回路を一緒にしなくても、穂先と柄を別々の素材で造っても、性能に大した違いは出ないらしい」

 アラストラはそう聞いても「そうなのか」と返しただけで、槍の完成度には満足しているらしい。


「早速だが使い方を教えてくれ」と言うアラストラに、斬撃や突きの攻撃を飛ばす「飛翔斬(突きの場合は『飛翔突き』か?)」と「爆裂斬」、「爆裂剣(槍)」などの使い方がある事を教える。

「刃に魔法の刃を重ねる心象イメージか──おぉっ⁉」

 拠点に隣接する広い訓練場で練習しようと、「()()()」を展開するアラストラ。白銀色の刃から、緑色の光の刃が伸びる──まるで、槍の先に剣が付いたみたいな長さになる。


「これで斬ったり、撃ち出したりする訳か」

 そう言って、遠くに置かれた練習用の丸太人形に向かって構える。

「加減しろ。練習なら弱い力で充分だ」

 そう言った瞬間には、アラストラは人形に向かって魔法の槍を薙ぎ払っていた。

「ぉおおぉっ‼」

 周りで見ていた団員達から歓声が上がる。


 数メートル先にあった分厚い丸太人形が二体分。引き裂かれて地面に崩れ落ち、辺りには颶風ぐふうが吹き荒れた様な惨状に見回れた……


「……加減しろと言っただろう。──なんにせよ、怪我人が出なくて良かった」

 こうして細かな注意点を改めて説明し、アラストラから作製報酬を受け取って、蒼髪の天女旅団の拠点から宿舎に帰る事にした。

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