アラストラ用の魔法の槍の作製
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ちょっと鍛冶作業の描写ばかり? そろそろ他の展開を書かないと……
熱波渦巻く鍛冶場の中で、魔法の槍を造る素材を倉庫から運び出す。
この火力を持った炉を無駄にする事は無い。
幸い溶けた状態の金属もある。
それに頭の中には、もう以前から組み立てている──。アラストラ用の魔法の槍の製造は。
「始めるぞ、ケベル!」
用意した長い金床の上に、軟らかくなった金属を乗せ、金鎚を手に二人がかりで金鎚を振り下ろし、金属を鍛えていく。
赤く焼けた金属を金鎚で打ち叩きながら、火花を散らす。何度も何度も折り畳みながら、火花が散らなくなると、魔力結晶を加えて溶かし込み、それを長くなるように叩いて伸ばす。
アラストラの使える、水と風属性の精霊結晶を魔力回路に加えて、それを壊れぬように伸ばしていく。
一本の槍を──穂先も柄も繋げて造るのだ。かなり重く、困難な作業となった(サリエが耐熱手袋を付けて、槍を回転させて形を整えている)。
硬化結晶と不銹結晶も加え、安定させると、後は全体の形を整えるだけだが──、刃の部分には特に精緻な魔力回路を造り出している。
微妙な力加減で正確に形と魔力回路を生成し、かなりの時間を掛けて丁寧に造り上げたのだった。
「やりましたね!」
と言ってきたケベルに、心の中で「槍だけにな」と突っ込みながら首を横に振り、水を取ってそれを飲む。
「まだだ。これに錬成台を使って、『剛貫通』に『破壊力増加』と『攻撃力強化』を付け加える」
言いながら水の入った容器をテーブルに置く。
「だがその前に」
冷え固まった延べ棒の金型から、銀鎧竜の甲殻から取り出した「銀鎧竜鉄鋼」の延べ棒作りを再開する。
まだ溶錬炉が熱を持っている内に、桶の中に入れた(固くなり始めた)金属を溶かして、金型に流し込む。
板状の物は壁にでも立て掛けて置こう。時間が空いたら、手頃な大きさに裁断して保管する。
延べ棒作りが一段落した頃に、炉の熱は下がり始めた。
鍛冶屋の中は暑かったが、だいぶマシになってきた──。せめてこれくらいの室温にならないと、他の作業を行う事も出来やしない。
室内を冷やす機械も必要になるかもしれない。そんな風に思いながら、それはある程度可能だという事も分かっていた。
現に「冷結晶」で作る冷蔵庫や冷蔵施設(食料庫)があるのだから。
要は、ずっと冷結晶から冷気が漏れ出るのを抑え、必要に応じて冷気を発生させるよう工夫すればいいのだ。
「冷房装置でも作ろうかな」
しかし今は、アラストラの槍を完成させるのが先決だ。
炉から離れた場所にある錬成台に素材を並べ、冷え固まった魔法の槍を置く──。もちろん思い切り台からはみ出すのだが。
ここで失敗する訳にはいかない。
集中だ。
まずは「攻撃力強化」を付与し、その後で「破壊力増加」と「剛貫通」を付与する。
一つ一つの作業を丁寧に、確実に行う。
この武器を手にしたアラストラが、さらに活躍できる様に。
鋭角なる巨獣の棘が光へと変わり、錬成台の中心に置かれた槍の穂先に集中し、白銀色の刃の中に溶ける様に消え去った。
「ふぅ……、完成だ」
本来は刃の部分だけでも良いのだが、今回は銀鎧竜鉄鋼を使って、初めて造る魔法の槍だ。
敢えて難しい槍全体に魔力回路を有した、大きな構成で造ってみた。
しかし、造ってみて分かったが、槍全体に及ぶ魔力回路を生成しても、刃の部分のみ魔力回路を造り出した物との差は、大して無いようだ。
柄の部分にも、刃と連動する簡易魔力回路を通して、魔力を伝えられるように作れば、通常の魔法の武器と変わりが無い。
敢えて良い面を探すなら、石突きにも付与した錬成効果が得られる為、攻撃力と破砕力を増した打撃が打てるという事だろうか。
「何はともあれ、完成した物は保管庫にしまっといてくれ」
サリエに指示を出して魔法の槍を手渡し、俺は次の作業の準備に取り掛かる。




