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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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銀鎧竜の甲殻から金属を精製する

 翌日は冒険に行く者は少なかった。

 ユナとメイ、カムイとヴィナー、ウリス、エウラなどが冒険に出た。

 リゼミラと共に上級の転移門先へ向かったのは、カーリア、ユナ、メイの三人だった。彼女らは上級難度でも成果を出せる、そんな自信を持つ為に頑張っているのだ。

 リゼミラは、二本の魔法の剣を振り回したくて仕方が無いだけであろう。


 リトキスなどには、新人達を使()()()()()()()()為、市外訓練場へ彼らを連れ出し、鍛えてやるよう指示を出しておく。

 彼ら新人が冒険に出る時の事も考えて、武器や防具なども作ってやろうとは思っている。

 幸い金属の延べ棒は、かなりの量が倉庫に積まれている状態だ。


 エウラには「衝気増加」を付けた籠手を作ってやる事も約束した。

 他にも、「蒼髪の天女旅団」の上級冒険者アラストラの為の、魔法の槍を作ってやる約束も果たさなければならない。

 これらの事を考えながら、昼前までは依頼された仕事をこなすのに追われた。


 午後になると昼食休憩の前に、管理局に出張でばって、「生命の杖」をパールラクーンの神アヴロラに届けてもらう事にした。

 自分で届けに行きたいところではあるが、やるべき事が山積みなのだ。


 木箱の中に杖の形に作った緩衝材かんしょうざいを入れ、その中に杖を納めて、さらに白い布でくるんだ物を運んで行ってもらう。


 管理局の信用できる、外交官的な立場の人間に運ばせると決まった。

 管理局の部署「大地外対応局」では、オーディスワイアの名は、神アヴロラに謁見えっけんを許された者として有名であるらしい。

 本人の知らぬ所で妙な浮き名を流されている気分だ。


 俺は、女神に対する感謝を述べた手紙をその荷物に付けて、乱暴に扱わぬように言って、それを預けた。


 *****


 帰り際に料理屋で料理を注文し(涼しくなったせいか、ラーメンに似た料理が作られていた)、スープの中に麺を入れたそれを食べてみたが、やたらとあっさりしたスープと細い麺で、ツルツルと食べてしまい、気づいた時には麺が無くなっていた。


 柚子ゆずっぽい香りと──生姜しょうがを使った、さっぱり味のラーメン……っぽい料理だ。

「これはこれでうまいが……こってりした物が食べたくなるな」

 そんな感想を漏らしつつ、鍛冶屋に戻る。


 鍛冶屋にはまた、新たな仕事の依頼が入っていた。

 簡単な錬成を数件済ませると、アラストラから貰った銀鎧竜シルドラーグの甲殻を溶かして、金属を取り出す作業を始める。

 なにしろこいつは鍛冶屋を改築して、炉を最新式の物に替える切っ掛けとなった代物だ。

 炉の中に大量の燃結晶投入し、赤々と燃え上がった灼熱の溶錬炉の中に甲殻を入れて、溶かしていく──


 なんという偶然だろう。

 その作業をしている所へ、アラストラがやって来たではないか!


「うぉっ……! 凄まじい熱気だな」

「アラストラ! 今ちょうど、以前に貰った銀鎧竜の甲殻を溶かして、金属を取り出しているところだ──! くそっ、熱すぎる!」


 ごうごうと音を立てて燃え上がる炎。

 アラストラは少し考え込んだ。


「せっかくだ、それっぽっちの素材を金属に替えるより、もっと大量にあった方が良くないか?」

「ああ⁉ なんだって?」

 ごうごうと燃える炉の前から退避する。


「銀鎧竜の甲殻が余っている。それを持って来よう。そちらの方が効率がいい」

 そう言うと彼は、こちらの話も聞かずに早歩きで鍛冶場を出て行った。

 確かに今ある分では、武器二本分くらい量しか取れないだろう。


 しかし、熱い。さすがに溶錬炉の前で数年間過ごしたケベルも、この燃結晶を大量に投入した炉の熱は厳しいものであるらしい。


「すごい……こんな熱さは初めてです」

 水を飲む事を勧めながら、自分も冷やした水を陶器容器に入れて飲む。


 しばらくすると、ドロドロと炉の中からみぞを通って、白銀色の溶けた金属が流れ出してきた。

 それを分厚い容器の金型に流し込みながら、数本分の金属の延べ棒を作っていると、鍛冶屋に数人の若者がやって来た。手にはそれぞれ、銀色の甲殻を大量に持っている。


「団員に持って来させたぞ」

 アラストラが、大量の銀鎧竜の甲殻を、縄で縛った物を担いで現れた。

「おいおい、こんなにか⁉」

「まあ、全部とは言わん。これから一本でいいから、魔法の槍を作ってくれたら。甲殻はただで構わないし、魔法の槍の製造料金も払おう」

 彼はそう言うと俺の肩を強めに叩き。


「なんにしろ、オーディスワイアが復活してホッとしているよ。それで様子を見に来たんだが、ちょうど良い時に来たらしいな」

 いつも通り快活に笑うと「あついあつい」と言いながら、旅団の若手達と共に鍛冶屋を出て行ってしまった……


「すごい量を置いて行きましたね……」

「総額にしてざっと、七万ルキはありそうだな」

 そんな物を惜し気も無く置いて行くなんて、豪快にもほどがある。


「ケベル! サリエ! 全部溶かして延べ棒に変えるぞ!」

 俺はそう言ったが、延べ棒の金型が間に合わず。いくつかは板状に広げたり、溶かした金属を入れておく金属の桶の中に入れて、取り置く事になったのである。

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