魔法の剣 ー魔法を身に付けよー
誤字報告ありがとうございます。
魔法使いのユナが敵に殴り掛かるなんて間違いを……
ユナ「お前ごときに魔法を使うなんて、MPが勿体ないんだよ!」
みたいなシーンではありませんからね……(汗)
完成した魔法の剣を手にして宿舎に戻ると、団員達は食堂に料理を運んでいるところだった。
ユナとメイは猫達に料理を運んで行くところだ。
「魔法の剣、凄いなぁ!」
とリゼミラが急に声を掛けて来た。
「これがあたし達が冒険に出ていた頃にもあれば……色々と──違っていただろうなぁ……」
なにやら歯切れの悪い言い方をするリゼミラ。
「興奮したり、急に冷めたり、相変わらず忙しい奴だ。──ほら、もう一本の魔法の剣だ。これで上級難度で若手達を守りながら双剣で戦って、素材を色々と集めて来い」
するとリゼミラは「ほほぉ──っ」と奇声の様な声を上げて喜ぶ。
「二本とも魔法の剣だと、威力は凄そうだけれど、仲間との距離もかなり開けないと危なそうだね──、なにしろ二本を振り回しながら戦うんだから」
「そうだ、だから魔法剣を二本同時に使うのは気をつけろ。魔力の消費も増える。単騎駆けをする時に使うくらいにしておけ」
そう話していると、調理場の方から鍋を持って来て、リーファが言う。
「この汁物は団長が? 温めておきましたが」
俺は「ああ」と答えつつ、それに乗せる水玉葱を使ったソースをこれから用意する、と言ってすぐに調理場へ向かう。
作り方は前々から考えていた。水玉葱を潰して軽く温め、胡桃油を少々垂らし、塩と胡椒で簡単に味付けするだけだ。
これを皿によそった汁物の上に、風味付け掛けるだけ。簡単調理でさらに美味しい。
そんな宣伝文句みたいな言葉を言って、各人にソースを入れた器を回すよう説明する。
皆が席に着いたところで、レーチェが所用で実家のあるクラレンスに戻り、明日の夕方頃に帰って来る予定であると告げておいた。
食事は大きな貝を使った物が出された。どうやらリーファが、冒険後に貝を買って帰って来たらしい。
俺は彼女に旅団費から、その分の金額を補填しておくよう伝えた。
食事が終わるとメイを呼び、少女の依頼した飛竜の手袋を渡してやった。
「鑑定書はこれな。かなり良い物に仕上がったと思うが、どうだ?」
メイは表情はあまり変えずに喜んで見せ、さっそく手に付けてみる。
「うん、ちゃんと手にしっかりとはまるよ。『気力増加』に『気力回復速度上昇』まで付けてくれるなんて──さすが旅団長。その発想は無かった」
と、メイは(表面的にはあまり出さないが)えらく感激した様子で、俺の仕事を誉めてくれた。
「じゃあ、後で五千ルキ持って行くね」と少女は言った。
「ああ、いや。三千ルキで良い。強化用の素材は倉庫に保管してあった物で賄えたしな。これからも冒険で素材を沢山集めてくれよ」
少女は「わかった」と頷いて見せ、親友のユナが「良かったね、強い武器が手に入って」と、本人よりも喜んでいるくらいだった。
*****
エウラやエアネル、レンネルと話しをする。
「そろそろ、魔法を覚えてみたらどうだ?」
するとエアとレンは前向きだったが、エウラは首を横に振る。
「それが……私は魔法とは相性が悪くて、何一つ覚えられないんですよ。残念ですが」
う──ん、エウラは剣技のみを鍛え上げて、上級位階の実力を身に付けた生粋の剣士だから、魔法剣を使わせれば、相当な戦力強化になると思うんだが。
「団長から『破砕撃』を教わってからは、かなり戦い方の幅が広がったと思うんですが……」
「そうか。なら、メイにやったのと同じように、竜素材で籠手か何かを作るか。それを能力解放錬成で『衝気増加』を付けてやれば──どうだ?」
俺が提案すると、是非お願いします。という返事が返ってきた。
「私達は、魔法屋に行ってみます」
そう言ったのはエア。
その横で弟のレンも頷いている。
「そうか。では攻撃魔法と──回復魔法に適性があるか調べて、適性のあるものを覚えて来い。それらについては、旅団費から出してやろう」
双子はそれぞれ違った反応を示して喜ぶ。
「ありがとうございます」と、礼を口にしたのは弟のみだったが……
「お前達が攻撃魔法を覚えられたら、そのうち、魔法の武器を造ってやろう。素材代は出世払いだがな」
やったぁ──、と喜ぶエアに、弟が即座に突っ込む。
「姉さん。魔法を覚えてからだよ。覚えられなかったら作っても、意味ないじゃないか」
うっ、と言葉に詰まるエア。
「そ、そうだよね。攻撃魔法──覚えたいなぁ」
その日の午後は、そんな話を仲間として、旅団の今後について思いを馳せる時間となった。




