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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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昼食休憩とレーチェの休暇

アンドラダイトとかメラナイト、アレキサンドライトは実在する宝石ですよ。

金属系は創作した物が多いですが。紛らわしくて申し訳ないです。

 結局。一度だけ失敗したものの、変彩金緑石アレキサンドライトは失わずに済んだ為、六つの変彩金緑石が残る事となった。

 昼食休憩を取って俺は宿舎の方に戻り(徒弟は鍛冶屋で番をさせる)、レーチェに仕上がった「生命の転輪護符」と余った六つの宝石を持って行った。


「これが、生命の転輪護符を付与された首飾りですか。……それにしても、六つも返ってくるなんて。成功率二割の高位錬成とおっしゃっていましたわよね?」

「うむ。俺も驚きだ。……だが、一度失敗してな。宝石以外素材の多くを失ったんだ。それは最初の成功例だが──どうする? 大きめの奴で作ってみるか? 失敗するかもしれんが」

 俺の言葉に真剣な表情で考えるレーチェ。


「大きさで、効力は違うのですか?」

「ほんの少しの差は出るかもしれないが──大した差にはならないだろうな。誤差程度だろう。生命の活動を補助する力だから、──病人用の補助錬成具みたいな物だ」

 そうですか、と言って彼女は俺の手から三つの宝石を手に取った。


「残りは差し上げますわ。『黒き錬金鍛冶の旅団』の為に使うも良し、錬成具に変えて鍛冶屋で売るも良し。あなたにお任せします」

 錬成代は別に用意しますので、と言って彼女は「今から妹の元へ届けに行きます。夜には戻りますわ」とか言うので。

「いやいや、明日の夕方にでも帰って来ればいいだろう。たまには実家でゆっくりしてこい」

 俺がそう口にすると、彼女は不思議な物を見るみたいな顔をして俺を見た後、少し考える様な仕草をした。


「そう──ですわね。たまには妹に積もる話でも聞かせてきますわ」

 彼女は改めて首飾りの礼を言って、二階へ上がって行く。

 彼女は旅団に、執着しゅうちゃくというか、愛着みたいなものが沸いているのだろう。二日続けて休むという発想が沸かないほどに。


 俺はレーチェが宿舎を出て、馬車の停留所に向かうのを見届けると、すぐに食事の用意をする──簡単な昼食を作るついでに、夕食に出すちょっとした料理を仕込んでおく。


 燻製豚バラ肉(ベーコン)ブロックを大きめに切って焼き目を付け、それと馬鈴薯じゃがいもと人参と玉葱たまねぎを入れて煮込む。後は塩と胡椒こしょうで味付けをして完成。実に簡単な料理。

 皿に盛った後でチーズを掛ける場合は、塩を少なくしておくと良い。(成人病になりたくなければ)燻製豚バラ肉に付けた塩味のみでもいいくらいだ。


 そう言えば砂糖が結構、残り少なくなっている──最近はお菓子を作っていないのに。そもそも管理局から送られて来る物資に、砂糖が少ないのが原因だろう。

 今度ミスランに開く転移門が、塩の供給を安定させてくれるはずである。砂糖が手に入り易くなれば……みんな仲良く肥満体型に──それは絶対に回避したいところだが。


 蜂蜜は残っているが、蜜蝋みつろうはもう無い。

 錬成で作り出す薔薇ばらから抽出する砂糖は、そもそも薔薇が少ないので効率が悪い。

 砂糖に関しては、なかなか効率の良い入手方法が無いのが現状だ。


 だが、砂糖が入手し易くなるのも問題だ。

 砂糖が普及してからの、世界の前後を調べれば分かるだろうが、急激に体型が変化したり、精神疾患が増えたりしたはずだ。糖分の摂取は酒と同じで注意が必要なのだ。──そうは言っても、砂糖の誘惑には逆らえないだろうが。


「恐ろしい奴だぜ、砂糖は」

 そんな事を呟いていると、足に何かが触れて来て一瞬焦ったが、足下を見ると、そこにはライムが居た。


「ニャァ──」

 しまった、彼女ら(猫達)の餌を失念していた。

「悪い悪い、ちょっと待ってろ」

 大慌てで調理場へ向かい、小さな手鍋でお湯を沸かしてから、冷蔵庫に入っている鶏肉を取り出して(猫の餌用に切り落としなどを集めてある)それを茹でて、煮干しと一緒に与える。


 子猫達にも温めた牛乳などを与えつつ、小さな体を撫でてやる──子猫達はすくすくと大きくなっていた。


 最近、子猫達は俺を「餌をくれる人間」として認識しているらしく、顔を見て鳴き声を上げてくれるようになってきた。

 あまり愛着が沸くと、別れる時に辛くなるか。

 そんな事をふと考える。

 いつかは管理局の方で引き取ってもらう事になるのだ、一匹くらいは宿舎で飼っても良さそうだが。


 おっと、俺も食事を食べて鍛冶屋へ向かわなくては。まだまだ錬金鍛冶で作らなければならない物があるのだ。


 それに混沌を調べなくてはならない。

 やるべき事は山積みだ。


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