表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/585

飛竜の手袋の作製

 鍛冶場にはすでに徒弟達が居て、作業に入っていた。昨日までに鍛冶屋に注文が入っている物の素材ごとに用意して待っていたのだ。

 そんなに数は無いので、先にこれらを片していると、レーチェが鍛冶場にやって来て、変彩金緑石アレキサンドライトを七つ持って現れた。


「それでは、これでよろしくお願いしますわ」

意匠デザインはあまり細かくしないでも構わないか?」

 そう尋ねると彼女レーチェは「普段使い出来る物で結構ですので」と返してきた。

 俺はサリエに声を掛けて、棚にある装飾品の簡易意匠一覧などを書いた資料があるから、それを見ながらレーチェと相談して、大体の意匠を決めろと言う。


 少女は「はいっ」と、この依頼を喜んで引き受けた。


 金属をケベルと打ちながら、剣の形に伸ばしていく。ある程度それが進んだら、後は俺の仕事だ。

 製造工程で錬成するのは、まだケベルには難しい。「硬化」と「劣化防止」を付けるだけであってもである。


 錬成台を用いての錬成は、武具の製造過程の中で行う錬成よりも簡単に行えるが、硬化や劣化防止など、特定の錬成を付与する場合は、昔ながらのやり方の方が安定するのだ。


 剣を一本作り上げると、ちょうどレーチェとサリエの相談が終わったらしく。出来上がった意匠を見てみると、宝石を囲む銀細工はかなり細かな物から、簡単な意匠の物へと落としてくれたみたいだ。


「普段使いなんだから、細かい細工は無くていいんだよ」

 問題は、錬成して「生命の転輪護符」の効果が付くかどうかだ。失敗すれば、高価な宝石ごと灰と化すのである。


「それではこれで、よろしくお願いしますわ」

 レーチェは頭を下げ、鍛冶屋を出て行った。

 サリエはまだ意匠について、何か考えを巡らせている様子である。

「師匠。やはりもう少し、意匠を増やした方が──」

 俺は彼女の描いた紙を見る。そこには首飾りとして宝石を美しく見せる装飾を利用した、数々の試し描き(スケッチ)が描き出されていた。


「……そうだな、もし装飾する事で錬成の成功率が上がれば、そうするところだが、今回は──側面に細かな装飾を施すだけに留めよう」

 そう言って、サリエの描いた一つの絵を指差した──だが、まずは飛竜の手袋を作るのだ。


 *****


 手袋については炉を使う必要は無い。本来なら仕立て屋にでも頼めば良いのだが、俺はちゃんと型紙から作ってメイに合った物を作るつもりだ。

 飛竜の皮に付与する強化錬成──()()()()()()を行い、「衝気増加」効果を発現させる。これにより気による攻撃力を増大させるのだが、竜の素材を使った物は大抵この固有能力を発現できるので、「竜素材」の物が固有名を得る能力解放錬成は、これ以外の物になる。


 例えば火竜の角を武器に変えて能力解放を行って作る、「火衝の」剣や槍は、攻撃に火による追加攻撃を加えるようになる、固有名を持つ強化だ(魔法剣に近いが威力は落ちる──魔力の消費が無い利点はある)。


 メイの古い手袋から少し大きめの型紙を作り、それに合わせて皮を裁断し、その内側に布を張り付ける。

 彼女の使う手袋は指の第二関節までを覆っていればいい物(いわゆる「指抜き手袋」という奴だ)なので、殴る拳の突起部分──素人は勘違いしがちだが、空手などでは人差し指と中指の上部にある、二つの突起のみで殴るのだ──や、甲の部分にだけうろこを使って、攻撃力と防御力を上げる。


 い合わせる糸は、切れにくい「硬糸蚕(こうしかいこ)」から取った糸を使って縫い上げ、鱗を張り付ける部分は、ちゃんと可動するようにし。

 甲の一部と側面に金属板を取り付けて、刃にも対応した防御力を持たせる。


 こうして完成した物に、錬成台で「竜の牙」を使って能力解放錬成を行う訳だ。

 今回はその後に「攻撃力強化」と「防御力強化」と「硬化」に「劣化防止」の基本錬成も付ける。

 あまり大量に強化錬成を行うと、素材が失われ──最悪の場合、錬成元が消失する危険もあるが……大丈夫、やれる。


 俺は錬成台の上に手袋を置くと、錬成する事に集中する。……もちろん徒弟達も、俺の作業を注視していた。

 竜の牙や灰色狼の牙などを使い、順番に強化錬成を行っていき、硬化結晶と不銹ふしゅう結晶を使って「飛竜の手袋」を完成させたのである。


「ふぅ……久し振りの本腰を入れた強化は緊張するな。だが──どれどれ」

 完成した手袋を鑑定して、その能力を紙に書き出しておく。


 これならメイも納得し──いや、喜んでくれるだろう。能力解放で付く「衝気増加」と相性の良い「気力増加」と「気力回復速度上昇」も付けているのだ。


 鑑定結果を書いた鑑定書をケベルとサリエも見て、感心しているようだ。どういった組み合わせで冒険者を支援するかは、上級冒険者の意見などを参考にするといいと助言アドバイスをし、次はサリエに頼んで、宝石をめ込んだ銀細工の首飾りを作ってもらう。首に掛ける鎖の部分は、俺が錬金術の技法を使った簡単な作製方法で作り出せるので、錬成容器を用意する事にした。

拳の説明は分かり辛かったかな……

あと「硬糸蚕」はもちろん創作ですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ