装備の強化。素材の準備は出来ているか⁉
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目が覚めた時、うろ覚えながら──神々と会話をし、新しい転移門がミスランに開く件について話していた……気がした。
精神世界での事は、曖昧な記憶としては残るが──明確に思い出せないのは、通常の「夢」と同じだった。
「にゃぁ──」
胸の上で、ライムが眠そうに鳴き声を上げる。
「くしゅんっ」
と、子猫がくしゃみをした。
いけない、風邪を引いたら大変だ。
俺は薄い毛布をふんわりと掛けてやった。
しばらく横になっていたが、窓から焔日の光が差し込んでいる。起きなくては──ライムの顔を撫でて、降りるように声を掛けると、彼女は大きく欠伸をする。
前足を突き出してから、ぐ──っと背中を反らし身体を伸ばすと、ひょいっと床に降りる。
子猫達も起き出してふらふらとしているので、三匹の子猫を毛布の上に降ろすと、まずは小鉢植物園に水をやり──いつものように、焔日に祈りを捧げに行く。
子猫達は巣箱の中に入れてやる。ライムはトコトコと歩いて箱の中に入り、でんっと横になった。
どうやら昨日一緒に寝た事で、機嫌を直してくれたらしい。
子猫達は眠くてふらふらとしていたが、おっぱいを飲もうとライムのお腹に集まり出す。
庭に出て宿舎に戻ると、階段からレーチェが降りて来るところだった。彼女は朝からかっちりとした貴族の着る格式ある服を着て現れた。
「ああ、今日はレーチェが休みの日か」
「ええ……そうですが、何故ですか?」
冒険に行く日は大抵、朝から伸縮肌着を着ているか、着替え易い上着などを着ているからだ……と言おうとして、「いや、なんとなくだ」と誤魔化した。
不用意な発言をして彼女の反感を買うのは止そうと判断した。……何故かは分からないが。
レーチェは少し訝しんだが、「ふぅん」という感じで猫の巣箱には見向きもせず、食堂の方へと歩いて行く。
俺も彼女と共に食堂へ向かう──なんとなくだが、ライムとレーチェは似ていると感じる。どこがかと問われると困るのだが……なんとなくだ。
食堂で朝食を食べ(今日はリーファとメイが担当したせいか、少し量が多いように感じた)、拠点での朝礼の前に簡単な雑談の流れで、俺は精神世界で聞いた事を話してみた。
「あ──そういえば、夢で見たんだが。今度ミスランに新しい転移門が開くみたいだ」
俺がそう発言すると、辺りはし──んと静まり返る。俗に言う、天使が通った。という現象か。
「……夢、の話ですか」と言ったのはカムイ。
「それと──もしかしたら海のある世界かも……とか?」
俺は敢えて、細部を話さずにぼかして言う。
ざわざわと「団長が寝ぼけている……」とか、「夢占い──というやつかな?」とか話し合っている。
「海ですか……だといいですね。僕は海のある場所に住みたいと思っているんですよ」
そう言ったのはレンネルだったが、半信半疑というか、「だといいなぁ……」と改めて呟くところを見ると、信じてはいないだろう。
「まあ、それはさておき。旅団員の装備の充実化を図ろうと思う。これからは上級難度にも挑む回数が増えるだろうからな」
こう言うと、仲間達から「ぉおおっ!」という歓声が沸く。
「それは嬉しい。団長が回復した時と同じくらい嬉しい」
と、カムイなどは言ってくれた。
「ありがとう。しかしだ、諸君。素材が無ければ物は作れん。という訳で、今まで個人で集めた素材を持ち込んでくれた奴から、装備を作るなり、錬成強化するなりを話し合って決めようと思う」
そう言うと、今度は所々から「あぁぁ──」と落胆を口にする者が多数出る。
「この前、団長が鍛冶を出来なくなったから、大通りの鍛冶屋で防具を強化するのに当てちゃいました〜~」
とエアネル。
「何故だぁ! 裏切り者めっ!」
はぁ、と溜め息を吐くレンネル。
「姉さんは、それ以外の理由もあるでしょ──素材を売っちゃったりしてたんだから」
ここで元気良く声を出したのは、意外にもメイだった。
「はいっ、私。旅団長に作ってもらいたくて、貯めたお金で『飛竜の皮』と『飛竜の鱗』を買って来た。これで『飛竜の手袋』を作って欲しい」
おお。あのメイが積極的に自分の装備品を変えようとするとは……!
「よし、それではどんな強化を付与するか、簡単に相談しよう──どんな強化をしたい?」
少女は「飛竜の手袋は気による攻撃力を高めてくれるから、それを強化するものを」と答え、「あとは旅団長に任せる」と言う。
「了解した──まあ、素材次第だな。錬成料金は取らないが、こちらで出す素材分は貰うぞ?」
「わかった。──五千ルキまでなら出せるよ」
少女は素材を購入していながらも、それなりに貯金していたらしい。
それに引き替えエアネルは……
ふぅ、と溜め息を漏らし、鍛冶屋へ向かう準備をする。




