宿舎で休もう
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高評価をくれた人にも感謝。圧倒的感謝~(CV立○○彦)
最近、宿舎での活動が少なくなってきた。鍛冶屋や、拠点での仲間と朝礼を行ったりしているからだ。
それを一番感じていたのは──猫のライムだったのかもしれない。
ある日、鍛冶屋での作業を終えてヘロヘロになって宿舎に戻ると、玄関先で待っていたのだ。
廊下のど真ん中に横たわり、子猫三匹をあやしながら──
「ウニャァァ──」
と、彼女は不機嫌そうな鳴き声を上げる。
「お? おぅ……?」
子猫達は母親の前で安心しながら廊下にごろごろと転がったり、巣箱の横に置いた、爪研ぎ用の麻や藁を使って作った、小さな畳みの上でごろごろしている。
「はいはい、ただいま──」
子猫を抱き上げるとライムはすっくと立ち上がり、俺の脚に体をグイグイと押し付けて来る。
甘えているのだろうか? 気まぐれな猫の事は分からない……
子猫を巣箱に戻すと、猫用の抱き枕として作った皮の枕を重ねて出口を塞ぐと、三匹を巣箱の中に閉じ込める。
「よしよし……じゃあ食堂に行こうか」
ライムにそう声を掛けると、彼女は「ニャァ──」と鳴いて、俺の後を付いて来る。
食堂ではすでに大勢が集まっていた。
俺の顔を見ると仲間達が「お疲れ様」とか声を掛けてくれる。
ちなみに拠点宿舎で生活している新入り達は、向こうの建物で自炊しているのだ。
いつもの席に座ると、俺の膝の上にライムが飛び乗って来た。
「あ、今日はライムも一緒なんですか」
とユナが声を掛けると、ライムは彼女をちらっと見て、小さな鳴き声を上げる。
隣に座ったユナに撫でられ、ライムはごろごろと喉を鳴らして喜んでいる様子だ。
メイがどさくさに紛れて、そっとライムの頭を撫でると──彼女は喉を鳴らすのを止めて、フイッとそっぽを向く。
相変わらず、メイは動物達から敬遠されていた。
メイは──やはり、がっくりと肩を落としてユナの隣に腰掛ける。
ライムは俺の膝の上で毛繕いを始める──どうしたのだろう。母猫の様子を見て、急に俺に甘え出した理由について考えようとしたが。食事が運ばれて来ると、まずは食事を食べる事にした。
「何故、猫を食堂に連れて来るのですか」
レーチェが離れた位置から、そう言葉を投げ掛けてきた。
「う──ん、ぁあ、たぶん。ここ最近、宿舎に居ない事が増えたから、寂しく感じているのかもしれないな。玄関で待ち構えていて、さっきからずっとこんな調子なんだ」
膝の上で丸まったのを見てレーチェは、それ以上文句を言うつもりは無さそうだ。
ライムに鶏肉のささみを与えたりしながら食事を終えると、皆の報告などを受ける。
今日はリゼミラは居ないので、魔法の剣の報告はしないでおく。
*****
三美人の冒険者は──結局、旅団に加わる事は無かったが、旅団に入る事を決めたら、その候補の一つにする。との前向きな応えをもらったのだ。
しかし彼女らの分の魔法の武器を造るのは大変だ──まぁ、彼女らが素材を集めて来るまでの期間があるので、これについては余裕があるとも考えられる。
今の旅団の実力は、リゼミラが居る状況なら、上級難度の転移門にも冒険に行けるだろう──もちろん決まり切った人選にならざるを得ないが。
明日はリゼミラとアディーディンクが来る予定だ。
せっかくなので、上級難度の冒険でユナやカーリアも鍛えてもらうとしようか、安全も考えながら、慎重にだが。
*****
その日の夜、風呂から出ると廊下の先でライムと子猫達が待っていた。
「おいおい。どうしたんだ」
俺が声を掛けるまでも無く、猫達は俺の足元まで来ると、身体を押し付けたり、前足でズボンにしがみついたりして来る。
「分かった、分かったよ」
俺は子猫三匹を抱き上げると、自分の部屋に戻って行く。
今日は床に座布団や毛布を敷いて眠る事になった。子猫達が寝台の上から落ちたりして、怪我をしないように──念の為である。
そろそろ毛布一枚では寒くなると思い、少し薄い毛布も用意したが、下に敷いてその上で眠る事にした。
横になると、ライムが俺の心臓の上辺りに陣取って、顔をこちらに向けた格好で目を閉じた。
相変わらず、きっちりと前足を折り畳むようにして眠りに就く。
子猫達も母親の前足やお腹に寄り添って眠るつもりらしい。手で支えながら上に上がるのを手伝ってやる。
毛布一枚で充分だった。
彼らの体温があるので寒くはならないだろう。
彼らも俺の上でぬくぬくと眠りに就く。
可愛いが、少々重い……
疲れていた俺は、次第に重さも気にならなくなって、そのまま静かに眠りに就いた。




