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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第六章 休養と若手の育成

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快方祝いと今後の計画



 食堂に集まった仲間達。

 彼らは皆、俺の体調が復調した事を喜び、カムイなどは「これで遠慮せずに錬金強化を頼めますね」などと言って笑いを取る。


「お手柔らかにな……というか、毎回言っているが、ただじゃ無いんだぞ。──それに、リゼミラやダリア、フレジア達の武器も造る事になったし。アラストラから貰った、銀鎧竜シルドラーグの甲殻を使って魔法の武器を造る約束もしているしな──忙しくなるぞ」

 言いながら、肩を()()()()()()回す。


 ユナとメイからは調理中に、遠征先での活動報告みたいなものを聞かされていた。新しく開いた転移門先は、美しい清廉せいれんな水に満ちた世界だったらしい。


「そこら中に綺麗な小川や、湿地帯があったよ。生き物も多かった」とメイが言えば。

「けど、水草の生えた場所から突然、わにが襲い掛かって来たりして、凄く怖かった」とユナが言う。


「いいねぇ……やっぱり、新しい場所に冒険に行くって、いいもんだな」

「楽しかった──」

「怖かった……」

 メイは楽しかった部分に注目し、ユナは怖かった部分に注目している。


 これは二人の性格の違いを表しているが、冒険者にはユナの様な慎重さも重要だ。

 怖かったと感じるという事は、次にかせるものが多い。──警戒するからだ。慣れや倦怠けんたいは、あらゆる進歩から遠ざかる、足踏みや後退を呼び込んでしまう。


 *****


 テーブル席に皆が座ると、レーチェが俺の回復と、改築された鍛冶屋と旅団の拠点の祝いと、新しく旅団に入ったニオとフィアーネを歓迎する、祝宴と歓迎会をねた宴会の開始を宣言した。


「かんぱ──い!」

 一同が手にした硝子杯ガラスコップを持ち上げて、隣り合う者のさかずきにちょこんと口付けさせる。


 宴席なので適度に酒も振る舞われた──


 フォロスハートではあまり大酒飲みを見かけない──たまたまかもしれないが、飲んでも二、三杯というのが通例だった。

 限りある資源の問題もあるが、これは酒に酔ってあやまちを犯す事に対する、世間の厳しい目があるせいだろう。

 この大地の住人は、節度を持って生きる事をとうとぶ。


 限られた大地、限りのある資源。

 人々を守る四柱の神々……その恩寵おんちょうを受ける、小さな、()()()()()()()()()として──この大地に住む者達には、自らが受け継いできたものを後世に残し、この掛け替えの無い世界を守り抜く、そうした強い意志があった。


 俺も、彼らの意志にならおう。


 この世界を守る為に、俺の出来る事を一つ一つ積み重ね、混沌に対抗する手段を見つけてみせよう。


 フォロスハートは混沌に包まれたまま、困難な状況にある──いや、この世界がそうなのだ。

 全てが混沌の暗き闇の中に閉じ込められた──この過酷な世界。


 今はまだ、混沌に抵抗する手段は持たない我々でも、いつかは──そう、自分達の後継が混沌を恐れずに済む様にする為に。俺達が、その道をあきらめずに進み続ける必要がある。


「これからの俺の目標には、混沌を退ける力の研究──という事も追加しようと思う」

 俺の唐突な決意表明に、仲間達は「おぉ──」と声を上げたが、それがどういったものなのかは、分かっていない様子だ。

 無理も無い。


 それはフォロスハートでも、昔から考えられ続けてきた事の一つなのだから。

 管理局でも研究している者が居るらしいが、これといった新しい発見は成されていない。彼らは大地を取り囲む混沌にばかり目を向けて、転移門の向こう側に出現する「混沌の悪魔(アディス・ベリル)」などの混沌の送り込む「尖兵せんぺい」には、見向きもしていないらしい。

 旅団や冒険者とつながる知識を得ていないせいだろう。


 俺は彼らとは違う視点から混沌を調べて行こうと決めた。新たな分野の開拓。それは冒険に似た行いだ。

 これからも旅団の仲間達には迷惑を掛けるだろう。

 彼らには、危険な冒険に立ち向かってもらう機会が増える。そんな仲間達の為にも、新しい技術の開発をして行こう。もちろん装備品も含めてだ。


 旅団は確実に力を付けて行っているし、資源などを管理局に引き取ってもらって得られる収入も、最近はかなりの金額になっている。

 冒険に出ている皆が。どうすれば旅団の、いてはフォロスハートの為になるかを考えながら、行動しているからだ。


 俺はこのフォロスハートの神々に、人々に、なによりも──俺を支えてくれた仲間達の為に。全身全霊を捧げる想いを新たにした。

 仲間達を守り、大地を守る。


 そう願う者達の力になるいしずえを築上げたい。

 俺の中の錬金鍛冶師としての魂に、新たな火が付くのを感じる。

 また忙しくなりそうだ。


 葡萄酒ワインを飲み干すと、早速さっそくこれからやるべき事を考えながら部屋へと戻る。


 俺の頭の中には、錬金術の作業や素材の組み合わせについて、無数の式が並び立てられていた。


       ー錬金鍛冶師の冒険のその後 第六章 休養と若手の育成 完 ー

今回で第六章、終了です。

もっと若手の育成について書くつもりだったのですが……予定が狂った──

次の第七章で一端の句切りとさせてもらいます。


それではまた次の章で、お会いしましょう。

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