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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第一章 錬金鍛冶の旅団

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風の精霊石

 精霊石は、それ自体に属性の力が宿っていて、魔法を使う時に使えば、それなりの効果を発揮するが、そのまま使うと消費されてしまうので、効率が悪い(しかも威力も低い)。

 そこで錬成強化によって、装飾品や杖などに属性強化を施す方がお得なのである。

「金は掛かるがな」

 三人は最近防具を新調したばかりで、お金が無いのだと訴える。そういう時は……


「俺達鍛冶屋も、素材が無ければ錬成はできない。そこでお前らの持って来た素材を買い取ろう、精霊石も全部錬成に使わず、いくつか俺に売って貰う。それで今回の錬成費用はちゃらだ」

 ぶっちゃけお前らの持って来た素材では、全然足らないけどな……そう言うと三人は、がっくりと項垂うなだれる。


「だが俺はお前らが今後、素材を集めてここに持って来ると期待して、今回はこれで引き受けてやろう」

 そう言う俺に「恩着せがましい」とヴィナーが小声で呟く。

「なんか言ったか?」

「いいえ、なんにも」

 なんと生意気な娘であろう。そんなだから頭も胸も成長しないのだ。


「精霊石を使った錬成自体は、それほど難しいものじゃない。しかし精霊石を使用する数が増えるほど、難易度は飛躍的に高くなる。そこで精霊石から、精霊結晶を作り出す事が必要になる訳だ」

 俺は彼女らに分かり易く説明する。


 精霊石の中にある「属性の力」だけを抽出したものを結晶化した物が精霊結晶だ。一つの結晶を作るのに、同じ属性の精霊石が約三十個は必要になるが、精霊石を大量投入して錬成した物に、安全(錬成元が消失する危険を少なくするの)に属性強化錬成を繰り返すなら、こちらの方が確実だ。

「まあ今回は精霊石のみで、指輪に初めて属性強化を施す訳だから、結晶を使わなくても問題は無い」


 彼らの持って来ていた精霊石は、水や土属性の物もあったが、これは買い取らせて貰う。火と風はヴィナーの望む通りに、指輪に錬成する事で彼女も魔法を強力に出来、錬成強化の力を知る事になるだろう。

 まずは風の精霊石を使って、翠玉の付いた銀の指輪を強化錬成する。


『風司る御身。風の王、風の神よ、我らにその恩寵おんちょうをお与え下さい。名も無き空の果て、かつて御霊みたまをここに集いて道無き道を示し給え』


 錬成台の上に置いた精霊石十七個が、一斉に砕け緑色の光の粒になると、一瞬で中央に集まり、銀の指輪に付いた翠玉の中へ飛び込んで行った。


「成功ですか?」

「お前……俺をバカにし過ぎだろう」

 ヴィナーに出来上がった指輪を手渡し、俺はこう呟いた。


「精霊よ、この無知なる娘に罰をお与え下さい」

 すると銀の指輪がくるりとヴィナーの手の平で回転し、ばちっ、と音を立てて電気を放った。


「いっ、たぁあーい‼」

 ヴィナーは手を振り上げて指輪を放り投げる。

 俺は慌ててそれを空中で掴んで、傷が付くのを防いだ。

「バカか、放り投げる奴があるか」

「だって、電気がびりって……」

 彼女は涙目になっている、情けない奴だなぁ。


「今錬成したばかりの物だから、俺の言葉に従ってくれた訳だ。これからはお前がその指輪と心を通わせる感じで、大切にするんだな」

 もっとも指輪に意志は無いけどな。と言ったが、彼女は指輪に精霊が宿っていると勘違いしたかも知れない──まあ、放っておこう。

 次は火の精霊石を使った錬成だ。

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