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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第六章 休養と若手の育成

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金色狼からの使者

リゼミラ視点でのお話。

新しい登場人物が出るけど、今後は出ないかな(笑)。

 オーディスと玄関先で別れた後、旅団宿舎に入ると、階段前の所にある、猫の小部屋の前に座るカーリアと目が合った。


「おはよう」

 あたしが声を掛けると、少女は「どうも……」と頭を下げつつ、子猫を撫でたりしている。靴を脱いで宿舎に上がると、廊下を歩いて来る旅団の面々──おっと、あたしもその旅団の一員になったのだった。


「おはようございます」

「まだ三人の冒険者は来ていません。庭で簡単な運動をしながら待ちましょうか?」

 双子の弟──レンネルがそう言って、私に稽古けいこを付けて欲しいと言ってくる。

「いいよ」

 そう言えばレンネルは剣と盾を使っているんだよね、懐かしい。若い頃のオーディスを思い出す。


 あいつは、初めの頃は剣と盾を持って、慎重な戦い方をしていたものだ……まあ、私も双剣ではなくて、槍や斧槍などの()()を使ったりもしていたけれど。


 仲間達と庭に出ると、玄関の扉を叩く音が──なんだ、もう来たのか。そう思ったが、玄関先に立っていたのは、三人の女では無く、二人の男だったのだ。


「な……リゼミラ! こっちの……『黒き錬金鍛冶の旅団』に入ったというのは、本当だったのか」

「ああ?」

 誰だよこいつは……いきなり呼び捨てにして来て、失礼な奴だ。


「誰? あんた」

「こっ、『金色狼こんじきおおかみの旅団』のエティウだ! おっ、覚えていないのか!」

 エティウ? ……あたしより、少し若いくらいの男で、そんな奴、居たかな……

「知らん」

 あたしがそう応えると、男──エティウの横に居た、別の男が吹き出している。


「まったく! 何故、冒険者に復帰したなら『金色狼の旅団』に戻らないのか、理解に苦しむ! アディーディンクもだ! 『旧世代』はバカばかりだ!」

 エティウは大きな声でののしる──それにしても「旧世代」とは。あたしの事を知っているなら、自分だって似たようなものだろうに。


「あたしは、オーディスの居る旅団に入りたいと思ったからさ。なにしろずっと、連れ立って冒険していた奴だからねぇ、そいつが旅団を立ち上げたと聞いたら、そりゃぁ入りたくなるさ。それに……昨今の『金色狼の旅団』には入りたいと思わないね。堅苦しい上下関係なんてごめんだよ」

 ふん、と鼻で笑い飛ばし、帰るよう手を振って追い払おうとすると、エティウの隣に居た若い奴が頭を下げる。


「はじめまして、私はカインツ。『金色狼の旅団』で、調整役を務めている者です」

 調整……? 意味が分からない。そんなのが旅団に必要なのか? 団長と各部隊長などが居ればいいと、そう思うのだが。


「なにしろ格式のある旅団ですので、多くの入団希望者や、旅団内の部隊の調整など、様々な場面で助言をしなければならないのです」

 なんだ、参謀気取りの奴に仕切られているのか、今の「金色狼の旅団」は。


「あなたには、アディーディンクさんと共に、私達の旅団に復帰して頂きたいのですが」

「だが断る」

 あたしは、オーディスの口調を真似して即答する。明確に拒絶する時、あいつはいつも、こう言っていた。


「し、しかし──条件の提示もまだしていませんし……」

 急にしどろもどろになるカインツ。どうやらこういった反応を、予測していなかったようだ。

「条件? 条件ならもう決まっている。オーディスワイアが旅団を立ち上げた、だからその旅団に参加する。それだけさ」

 わかったら、もう帰れと二人を追い返す。

 まったく、「金色狼」もおかしな旅団になったものだ。


 あたしの決断に、背後で見守っていた仲間達から小さな拍手が贈られる。


「やめてよ、当然でしょ。入ったばかりで出て行くなんて、あり得ない。あたしがオーディスと何年、冒険に行っていたと思うの。あんな連中に義理立てする訳、無いじゃない」

 そう話している所へ、三人の「美人」冒険者がやって来た──なるほど、オーディスが「見たい」と言っていた訳だ。


 身体の線が浮き出る、レーチェが着ている物と同じ、エルニスの造る防刃服を着ているのだ。それぞれ色違いの物を着て、装備している防具や得物もばらばら。

 かなり個性の強い連中だと言うのはよく分かる。


「それでは、どこに行くか決めましょうか」

 レンネルとの訓練は、また今度になったのだった。

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