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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第六章 休養と若手の育成

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玄関町ボロッコス

気付けばもうすぐ30万字に到達しそうです。

ブックマークも多くの方にして頂き、ありがたいです。


あ、それと。お気に入りユーザにしてくれた人にも感謝!

お気軽に登録してくれるといいですね。他にも投稿しているので、そちらも読んで見てくださいね~(自己責任で……ニヤリ)

 淡い緑色の光を潜り抜けた先は、広大な緑地の見える丘の上であった。

 丘の上から見渡す景色のすぐ近くに、囲壁いへきに囲まれた町が見える──


 あれは猫獣人フェリエスの国「シャラムシャロン」が、フォロスハートとの交易の為に造った、拠点となる町だろう。

 ──そういえば、一つ気になった事があるのだ。

 ナンティルは「パールラクーンの神」に相談をする、というような言い方をして、「シャラムシャロンの」とは言わなかったのだ。


 パールラクーンは広大で、フォロスハートの三倍近くの大きさのある大地だと考えられている。

 ここには猫獣人族の他にも、小獣人族エルニスに犬亜人族なども居る、種族混交の大地なのである。


「空気も違うな」

 俺がそう呟くと、先導役の巫女(猫獣人)が「故郷の匂いですにゃ」と応えた。

「『玄関()ボロッコス』から馬車で、我らの神アヴロラ様の居る、神殿都市へ向かいますにゃ」

()()()()()?」

「いいえ、ボロッコスですにゃ」


 そんな話しをしながら町への道を下って行き、灰色の石を組み上げた囲壁の一角に設けられた、しっかりとした大きな門を潜って、町の中へと入った。

 建物の多くは赤茶色の煉瓦れんがで建てられており、温かみのある町の雰囲気ふんいきが伝わってくる。


「こちらですにゃ」と巫女は声を掛けて、先を歩いて行く。

 通りを歩く人の多くは猫獣人だったが、中には人間の姿もある──彼らはフォロスハートの人間だと、巫女は言った。


「パールラクーンには獣人以外は住んでいませんにゃ。もちろんご存知とは思いますが」

 そうなのだ、パールラクーンの宿屋に泊まる事は出来ても、住む事は許されてはいないのだ。今回の和平条約の締結ていけつで、今後は互いの住居権なども変わって行くのかもしれない。


「エルニスとも仲良くなるといいんだが」

 巫女に聞こえるように言うと、彼女はあっさりと認めた。

「そうですにゃぁ……男性の居(にゃ)小獣人族エルニスの事を、もっと理解してあげられる環境が整えば、変わって行けると思いますにゃ。少(にゃ)くとも交易の面では、小獣人族の作る品物しにゃものは、シャラムシャロンにはにゃい物ばかりだと、私達の同胞も認めていますにゃ」

 なるほど……エルニスの作る物は欲しいが、男を奪われるのは嫌だと、そう言う者が多いのだろう。男側の意見は違うのかもしれないが。


「そこの広く(にゃ)った場所が、馬車の停留所ですにゃ。馬車は──あれですにゃ」

 巫女の指差した先には一台の馬車が留められていた。他の馬車と違って、つやのある鮮やかな茶色い木板を使って造られた、重厚な雰囲気のある馬車であった。

 ドアの取っ手や窓枠などに金が使われ、側面の屋根の近くに、優美な黄金製の紋章がめ込まれている。


「神殿の馬車か、豪華だな」

「そうですにゃ。神殿は、正確にはシャラムシャロンにも、小獣人族の国『シュナフ・エディン』にも属さない、パールラクーン全体の神様の神殿ですにゃ」

 なるほど、だからナンティルは「パールラクーンの神」と言った訳か。

 そう納得しながら馬車に近づくと、その御者に見覚えがあった。


「ようこそ、パールラクーンの玄関町ボロッコスへ」

 そう言ったのは、御者風の格好をした──風避けの外套マントなどを着込んだ──ナンティルであった。


「なんだ、神殿付きの行商人(仮)だったのか」

 俺は肩をすくめて見せる。

「私は正確には、この町に店を構える道具屋の従業員にゃ。まあ、家族の店だけどにゃ。神殿とも付き合いがあるのにゃ──それで、フォロスハートの内部にゃいぶ調査をしていたりした訳にゃ」

諜報員ちょうほういんにしては、ガチの業突く張りっぷりだったが」

 俺がそう言うと、彼女は「ふふん」と鼻を鳴らす。


「当たり前にゃ、行商も本気でやら(にゃ)きゃ、怪しいのにゃ。まぁ──諜報活動(にゃ)んて仰々しいものじゃ(にゃ)く、フォロスハートが、密接に繋がりを持つ相手に相応ふさわしいか、その辺りを調べるように言われていただけにゃ」

 ナンティルはそう言うと、俺と巫女達に馬車に乗るよううながす。


 俺達はこうしてボロッコスを離れて、パールラクーンの中央神殿都市「アーカム」へ向かう事に()()()()の──じゃない、なったのだった……

忘れられているかもしれませんが、エルニスは女性しか生まれない種族なのです。

そして、手先が器用な小さな女なのです──ナンティルがエルニスを嫌うのは、理由があります。

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