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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第一章 錬金鍛冶の旅団

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三人の駆け出し冒険者再び

翡翠を英語の(ジェイドまたはジェード)と表記しないのは翡翠が日本古来からある、装飾文化の中に大きな価値を持っているからです。

新潟県にある(富山県にも続いている)翡翠海岸に行った事があるので、フォッサマグナミュージアムで見た、色々な色の翡翠(緑色、と書きましたが多くの色の物が、翡翠以外の宝石にもありますよね)や大きな翡翠の原石は圧巻でした。翡翠についての「うんちく」はここでは書きませんが、そのうちどこかで披露するかも知れませんね(笑)

 数日間忙しい日々が続いた。お陰で実入りはすこぶる良くなり、開店休業状態がほぼ無くなった。

「やべぇ、素材が尽きる物が出てくるぞ……」

 素材保管庫を覗きながら、今度はそんな不安要素が出てくるのだった。

 ままならないものである。


 そんな時に駆け出しの男と二人の女がやって来た。結構久し振りだな。この二人の女がまた絶妙に苛つくんだよな。何故か、このぼろい鍛冶屋を頭から見下しているところがな。

 だが剣や弓を強化してやってから随分と時間がった、彼女らも少しは理解してくれただろう……


 男も鍛冶屋も中身だって事にな……(キリッ)


 そんな俺の想いはどうやら届いたらしい──のだが、こちらの三人も新たな問題を抱えてしまったようだ。


「あの、魔法使いにあった錬成品て無いんですか」

 魔法使いの女がぷりぷりと怒った様子で仰るじゃぁ、あーりませんか。

 つまりこうだ、男の剣士(名はカムイ)と狩人の女(名はウリス)の武器が強化されたのは良いが、魔法使いの女(名はヴィナー)からすれば、置いてきぼりを食らった様な気持ちになっている。そう言う訳だ。


「あららぁ、でもほら、うちって『ぼろくて』『小汚くて』大通りの鍛冶屋と比べると『小さくて』『貧相』? みたいな──店だしぃ?」

 何故か若者言葉を想像イメージして、そう言ってやると、ヴィナーとウリスは顔を赤くして、ぎゅうっと拳を握る。

「そ、その節は、失礼な態度を取り──申し訳ありませんでした!」


 ヴィナーが後半は、ほとんど逆ギレしながらそう言い頭を下げると、その彼女の背後でウリスも頭を下げる。

 ついでという感じで、苦笑いしたカムイも彼女らと共に頭を下げた。

「ま、駆け出しイビりはこの辺にしといて──それで? 具体的にどうしたいのか。それと、素材は何か得る事ができたのか?」


 俺が手をひらひらさせて言うと、ヴィナーは顔中に「やっぱりこの店嫌い!」と半ベソ掻いたガキみたいな顔で、恨めしそうにこちらを見る。

「魔法の威力を総合的に高める『魔力強化』、素材が高価で私達には無理だと知りました。そこで精霊石の採取に行って来たんです」

「ぉお、良い判断じゃないか。成長したな」

 立て続けに上から目線で言われても、ぐうの音も出ないヴィナーは唇を噛む。なんだかその仕草でどこかのお嬢様をふと思い出す。


「けど! その精霊石を集めるのにすっごい苦労したのに、鍛冶屋に持って行ったら──」

「強化錬成に三千ルキくらい吹っ掛けられた。そんな感じか?」

 悔しそうに頷くヴィナーと他二名。しかし俺は言った。


「まあ、精霊石だけを使った錬成でも結構大変だからな、錬金鍛冶師が魔力を消費する錬成は、割高になるものだ」

 そう言うとヴィナーの後ろでカムイが、「ああ、やっぱりそうなんだ」と声を漏らし、振り返ったヴィナーに睨まれた。

「まあいい、一応何に精霊石を使った強化をしたいのか、素材も見せてみろ」


 三人が差し出した素材以外の他の素材も、持っていたら出せと言うと──結構な数の素材を背嚢はいのうから取り出した。

「へえ、結構集めたんだな。売りに行く前だったか? 好都合だ」

 売る前にここに寄ろうとカムイが言ったので、探索から帰って直接ここへ来たのだという。


 ヴィナーが出した物は、金の指輪に紅玉ルビーが付いた物と、銀の指輪に翠玉エメラルドが付いた物の二つであった。

「それで? お前の得意な魔法は?」

「火と風属性です……」

 それは都合がいい。分かって持って来たのか? と問うとヴィナーは首を傾げる。


「これは母親に、錬成強化に使える装飾品を頂戴! って言ったら、くれた物なんです」

「母親は魔法使いか?」

「ええ、でも私には魔法を学ばせてくれないんです。まだ早い、とか言って」

「ああ、それは何となく分かる。いかにも暴発しそうな娘だもんな」

 そう言われると、またしても膨れっ面になるヴィナー。俺は無視して先を続ける。


「火属性に相性が良いのは、赤系統の宝石や輝石、紅玉や柘榴石ガーネットとかだな。風属性には緑系統の物、翠玉や翡翠ヒスイがおすすめだ」

 へえ──と感心するヴィナーに、「これは基本中の基本だぞ。いったいどうやって魔法を覚えたんだ」と逆に呆れてしまう。

「ぅう……近所の元魔法使いのおばあちゃんに、こっそりと教えて貰っていたのを、自分なりに研究して──本も色々読みましたけど、そんな事、書いてなかったし!」


 ある意味才能は持ち合わせていたのかもしれないな、少々巡り合わせが悪かったらしい。何故母親は彼女に魔法を教えないのか、それはまったく分からないが、今は錬成についてヴィナー達に学んで貰うとしよう。

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