魔法の剣を求める者達
食事を取って一休みし、ニオとフィアーネの訓練を再開する──庭でライムや子猫と日向ぼっこをしながら、カムイやエアネルが指導している様子を確かめていると、玄関の扉を叩く音が……
「あ、遠征先からの素材配達だな?」
そう考えて立ち上がったが、まだ日が傾く前だ。やけに早いな? そんな風に思いながら扉を開けると──そこには見知らぬ三人の女が立っていた。
「ここが『黒き錬金鍛冶の旅団』の宿舎──ですよね?『オーディス錬金鍛冶工房』の責任者の人に会いたいのですが」
丁寧な口調で言う青い髪を背中まで伸ばした、可憐な印象を持った女が言った。その横で大柄な──しかもかなりの巨乳をした女が、肩まで伸ばした金色の髪を手で掻き上げる。
「オーディスワイアっていう錬金鍛冶師に用があるんだ、出してくれ」
こっちの女は大柄で横柄だった……その女の後ろに隠れるみたいに、一人の少女がおどおどしながら手にした麻袋を抱きしめている。金色の長い髪をした少女だ、どこか儚げで、何というか──最初に出会ったばかりの頃のカーリアみたいな、そんな雰囲気の少女だ。
彼女らは三人が三人とも異なった美しさや、愛らしさを持った女性達であるが、どうやら冒険者──それも、後方で戦いを支援する様な役回りでは無く、前線で戦う戦士であるらしい。
首や肩、腕などの筋肉からそう判断したが、それぞれ得物や戦い方が異なるのか、微妙にそれぞれが違う体型や雰囲気を宿している。
なんだかでこぼこの女達だな……そんな風に思っていると、抱いていた子猫が「ミャァ──」と鳴き声を上げる。
「あら、かわいい」
「子猫かぁ、珍しいねぇ、かぁわいい」
すると大柄な女の後ろから少女が顔を出して、子猫に興味津々で覗き込んでいる。
俺は子猫を差し出すみたいに前に出し、「撫でてみる?」と声を掛けた。
少女はこくこくと頭を縦に振ると恐る恐る手を伸ばす。
「ミャァァ──」
小さな猫が手を伸ばしてくる少女に鳴き声を上げ、頭を優しく撫でる少女に甘えている。
「ははは、懐いているみたいだね。手で持ってみたら」
少女が両手を差し出すのを見て、その掌に子猫を乗せてやる。少女は頬ずりしたり、撫でたりしながら楽しそうに猫と遊んでいる。
「ははっ、フレジアは猫が好きだったな。そういえば」
大柄な女はそう言って小さな女の子の頭を撫でる。
この三人は「工房の」俺に用があるらしい。──という事は、武器や防具を作って欲しいという依頼をしに来たのだろう。
……一番年下の少女は子猫と戯れているが。
「おっと……申し訳ありません。私達はオーディスワイアさんに魔法の剣を作って貰いたくて来たのです」
もしかすると、あなたが……と青い髪の女は空色の青々とした色の瞳をこちらに向ける。
「あ、うん。俺がオーディスワイアだよ。──だが、魔法の剣を造るのは非常に難しいんだ。しかも今の俺は──体を痛めてしまってね。思うように体を動かす事も出来ない」
*****
路上で話すのもあれなので、宿舎の中の客間に三人を通す事にした。少女が猫の相手をしたがっていたので、ライムと子猫三匹を抱えて客間に向かい、そこで話しをする事になったのである。
「勁を傷つけた? いったい何をしたらそんな事になるのか、私らには分からないが」
大柄な女の疑問に答える為に、先日の混沌の侵入について話し、そこで大地の気脈から大量の気を体に通した件について説明する。
「剣気なら私も使うけど、内在する気以上のものを制御は出来ないからねぇ……あんた無茶し過ぎだろう」
そう言いながら彼女は「私らは、その頃は別の都市に居たから、戦いには参加できなかったんだ──」と呟いて、混沌との戦いに加われなかったのを無念そうに顔を曇らせる。
「それでは、魔法の剣は体が治り次第……という事ですか?」
「ああ──いや、待ってくれ。他にも依頼が来ていてね、その後になる、正確には。だが、この体が治るかどうかも正直分からない状態でね……それに、魔法の剣は作製中に崩壊する事も多い。その崩壊した分の素材費も保障できないし、付ける属性の組み合わせにもよるが──一本に数万、あるいは数十万ルキは掛かるし、素材もこちらから出す場合は消失した分も払ってもらう、それくらい難易度の高い錬成なんだ」
滔々と説明すると、大柄な女は「分かった、素材は用意する」と応えた。
「だからあん──オーディスワイアさんは体を治してくれ、私やラピスは──できればフレジアにもだが──魔法の剣や手斧を用意して欲しいんだ」
続けてそう言った彼女。
手斧──? 三人の美人──もしかすると、この女達が「三美人の冒険者」とか呼ばれている奴らだったのか?
私服姿は普通の服装なので思い当たらなかった。レーチェと同じ様なエロい伸縮肌着を着ているものとばかり期待し……いや、想像していたのだ……




