表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第六章 休養と若手の育成

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/585

動物に好かれる人と嫌われる人

ブックマーク、評価、感謝ですありがとう〜

この章は短くなる予定です。たぶん……

 新人二人に旅団員登録書を書かせると、それを持ってメリッサと共に管理局へ向かわせた。

 ニオもフィアーネもミスランに実家があり、そこから宿舎の方に出張る事を選んだので、宿舎には空き部屋があるままになった。


 その日の夕食後に、新たに加わった団員の事、都市ウンディードで見つかった水玉葱みずたまねぎの事、火の神が連れて来た治癒師の力で体調がかなり良くなった事を話すと、団員達は新人の事よりも、俺の体調と水玉葱の入手に真剣に話し合いを始める。


「おいおい、新入りの事も少しは気になれよ」

「まずはオーディス団長の体調を復調させる事が先決ですわ。錬金鍛冶師としての団長の力が必要ですから」

 レーチェはそう言ってウンディードへの遠征を計画し始める。


 それにしても彼女の言った言葉を()()()に訳すと、まるでいんを踏んでいるみたいだ──ラップ、ラップなのか?

 レーチェがノリノリで「だんチョウNO──たいチョウWO──ふくチョウさせるYO──」とか歌っているのを想像して吹き出しそうになる。絶対に彼女がやらない事だろう。

 下を向いて吹き出すのを堪えていると、リーファが声を掛けてきた。


「それでは、循環気功で気を流してもいいんですね?」

「え? ああ……ゆっくりね、なんというか──新しく出来たばかりのけいみたいだから、徐々に力を加えていく感じで頼む」

 彼女は横になった方がやり易いと言うので、食堂の椅子を並べてその上にうつぶせになる。


「いきますよ」俺の脚の付け根辺りにまたがったリーファが、背中に両手を置いて気を流し込んでくる。気の流れが全身に行き渡ると数カ所のチャクラのある場所を重点的に気を流動させ、体が温かくなる。


「大丈夫ですか?」

「うん、ありがとう。助かるよ、朝と夜にやるといいと言われたけれど──メイにも頼んでみるか」

 そう言ったところに、メイが子猫を抱いて現れた。

「ミィ──! ミィ──!」

 子猫は明らかに嫌がって鳴き声を上げている。少女の足下では母猫のライムがうろうろと歩いて、子猫を降ろすようにと迫っている様だった。


「メイ、子猫を置きなさい」

 リーファがほんの少し怒った様な声を出す。

「でも──、でもぉ……」

 じろっと姉弟子に睨まれたメイは泣く泣く、足下に子猫を降ろす──ライムはすぐに子猫に駆け寄って安心させると、ペロペロと舐めて毛並みを整えてやる。


「メイ、君にも気を流すのをやってもらおうと思っていたが──子猫に嫌われてしまう様では、循環気功を行ってもらうのは止めた方がいいのかな」そう言うとメイは「むぅ──」っと声に出してむくれる。

 椅子に座っていると、俺の横の席にライムが跳び乗ってきた。その口には子猫がくわえられている。


「ニャァ──」

 ライムは俺の膝の上に乗ると、脚の上に子猫を置いて鳴き声を上げる。子猫を抱いておけという意味だろうか? 小さな猫の体を抱き上げると、子猫は大人しく丸まっている。

「なんで、団長は鳴かれないの……」

 恨めしげにメイが口にする。


「動物は、人の気配によって安全かどうかを判断しているからです。つまりメイの気配は危険な印象を彼らに持たれている、という訳です」

 リーファはそう言うと「刺々(とげとげ)しい気配が、あなたからは出ているのです」と忠告して去って行った。


「そ、そうなのか……?」

 俺を見ながら少女は尋ねる──黙って、俺は頷いて見せた。

「だから……こう、自分の世界を広げてだな……多くの人や、動物やら自然やらにも心を開くというか──つまり、弱い生き物にも愛情を持つようにしないとダメなんだな」

「弱い生き物も大事にしてるもん」

「それな、心の底から自然と出るものと、上辺だけ取りつくろってるものとは違うんだよな。猫も鳥も自然の一部。奴らにはそういった誤魔化ごまかしが通用しないんだよ」

 しまった、言い過ぎたようだ……メイは、ぷくぅ──っと頬を膨らませて怒っている。そんな様子の少女を見て、俺の膝に座り込んでいたライムが立ち上がり、鋭い威嚇いかくの声を発した。


「ほらぁ、メイが物騒な気配を出すから余計に警戒しちゃったじゃないか。……メイに気を流されたら俺の貧弱な勁が壊されそうだから、止めておくか……」

 俺の言葉に少女は「ふんっ」と鼻息を荒くしてユナの元へ駆け寄って行った。あまりに熾烈しれつな訓練を簡単に乗り越えてしまった彼女には、自己に対する厳しさを他人にも求めるくせがあるのだ。


 少女にはもう少し、優しさというものも学んで欲しいところである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ