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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第一章 錬金鍛冶の旅団

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再びの勧誘

ブックマークや評価、感想をもらえると書く側はやる気が出ますね。

ありがたいです。

 午後になると、アラストラがお供を連れてやって来た。お供と言うのは、彼の後輩に当たる少年である──少年という年齢のはずだが体格が良く、視線も鋭いなんともいかつい少年だった。

「こいつはレクト、剣士だ。今日はこいつの武器を強化して貰おうと思ってね」

「初めまして、レクトと言います」

 少年は見た目は怖いが礼儀正しい良い子であった。第一印象で「怖い」とか思ってごめんね……


「それで──白竜角の槍はどうなったかな?」

 その声から察すると期待半分、諦め半分という複雑な想いを隠して、努めて冷静でいようとしている感じだ。

 俺はえて顔をそむけ、溜め息をいて見せた。

「やはり駄目だったか……」

 アラストラはふぅ、と肩を落としたが、極力落胆を見せまいとする。


「成功()()()()

 俺はお茶目な声でそう告げた。

「……は?」

「いや、だから成功した」

 俺がにやりと笑うと、彼は「ぉお……!」と喜ぶ顔をして。


「だったら最初の溜め息はなんだったんだよぉぉおおぉ‼」

 とバシバシと俺の肩を叩く。すみません、肩が外れそうなんで、止めてもらえますか……


 俺はアラストラの熱烈な歓迎から逃げて、品物の保管庫に向かい、白竜角の槍を持って彼に渡した。

「性能を見るのが楽しみだ」

「鑑定書も用意してあるが」

 俺がそう言って紙を差し出すと、彼はそれを見て「素晴らしい」と独り言を漏らす。


 彼は終始上機嫌で、レクトの剣の強化を俺に任せると言い、その分の金と槍の錬成強化の成功報酬も、()()()()と支払ってくれた。

 少年の目も俺を尊敬の眼差しで見てくれているのだろうが、見開いた青い目が怖い……


「オーディスワイア、是非あなたに私達の旅団に来て欲しい」

 唐突にアラストラは言う。


 彼によれば、俺の噂を聞き、もし今度の白竜角の槍の強化錬成に成功したら勧誘し、旅団に迎え入れて良いかと団長に話してきたらしい。それはありがたい申し出ではあるが……


「すまないな、先客があるんだ」

「……先客とは?」

「うむ。まだ旅団を持ってはいないが、そいつが旅団を立ち上げた時に、俺を専属鍛冶師として雇ってくれるらしい」

 俺がそう言うと彼は何か言葉を発しようとしたが、その言葉を飲み込んで代わりにこう言った。


「そうか、なら仕方ないな。だがそれまでは贔屓ひいきにさせて貰うよ!」

 アラストラの横でレクト少年も僕もです、と控えめに言ってくれたのである。

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