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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第六章 休養と若手の育成

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勁の回復

登場人物の設定や《外伝》が読めるものを投稿しています。

タイトル上部にある物語のシリーズタイトルをタッチして、そちらにも目を通してもらえたら嬉しいです。

 食堂に集まった一同。俺は食堂でこうして皆と食べるのは数日振りだった、椅子に腰掛ける時にユナが椅子を引いて、俺の体を支えて座らせてくれた。


「いつもすまないねぇ……」

「いつも?」

「気にするな、こんな時の常套句じょうとうくなんだ。ありがとう」

 首をかしげる彼女に礼を言うと、改めて周りを見回す。……誰もが急に老け込んだかの様な俺を心配している様子を見せている──当然だろう、まともに歩く事すら困難な状態なのだから。


「皆には心配を掛けたな、けい──気を流す器官が修復するまでは迷惑を掛けると思うが、よろしく頼む。冒険に関しては普段と変わらず、慎重に行う様に。あと──カーリア」

「ふぇっ⁉」


 少女は名前を呼ばれるとは思っていなかったのだろう、頓狂とんきょうな声を上げる。


「なんで猫の名前が物語の主人公から取らずに、敵役かたきやくの使い魔から取ったのか聞かせてくれ、気になって仕方が無い」

 俺が言うと周辺でちょっとした笑いが起こった。「なんだ、そんな事か」という感じで俺とカーリアを見ている。


「それは……エリステラ──主人公の使い魔は黒いねずみで、敵役のブランエルバの使い魔が白い猫だから……」

 大勢の前で発言する事に慣れていない彼女は、もごもごと説明する。


 少女の話しを聞きながら、普通は主人公が白で、敵役より強い使い魔である猫が標準じゃね? とか思ったが、たぶん俺が思い描いた少女向けの『魔法少女○○(なんちゃら)』とは違った内容なのだろうなと思い直した。なんだかそう考えると『魔法()()エリステラ』という表題タイトルも気になる、いったいどんな内容なのだろう……


 今日の食事当番はリーファとメイとエアネルだった。エアは皿にせて運ぶだけかもしれないが、メイは割と包丁などの扱いが手慣れているらしい、リーファが誉めていた。


 出てきた料理を食べるのだが、俺はそれらを噛んで飲み込むのも遅くなって、食も細くなってしまった。食べなければ健康を維持できないというのに、体が受け付けないのだ。

(まずいな、これは……)


 なんとか出されたものを食べ終えて(一部はメイやエアに食べさせた)、食後に紅茶を飲んで(両手で茶碗ティーカップを持たなくてはならない)いるとリーファが声を掛けてきた。


「外部からの循環じゅんかん気功を利用して勁の回復は出来ないのでしょうか」

「うん、それは相当微弱な気の流れを放てる人なら可能だと思うが、強い気の流れは逆に勁を傷つける可能性があるんだ。だから今の俺でも修復に気を流す事が出来ない状態なんだ──自然にある程度回復するまで待つしか無い」

 そう言うと彼女は「そうですか……」とがっかりした表情をする。

「そのうち回復するだろうから、その時には頼むな」

 彼女にはそう言ったが、いつになるかは見当もつかない。


 仲間達は今日も冒険へと向かって行ったが(カムイとメイの二人は宿舎に残っている)、俺は自室に戻ると部屋の床を確認する──そこにはライムと、子猫達が勢揃せいぞろいしていた。座布団の上で母猫のお腹に寄り掛かっている子猫や、床の一角に敷かれた絨毯じゅうたんでじゃれ合う子猫が、にゃぅにゃぅと騒がしい。


 俺は真新しい絨毯の上に座り込み、寝台ベッドから毛布を取って床の上で横になった。子猫達がどんな反応をするかと思ったが、警戒して母猫の元へ集まってしまう。


「まあいいけどね……大人しくしていてくれるならそれで」

 俺はそのまま仰向けの格好で目を閉じる。

 体内を巡る気の流れは微弱で、どうも丹田の機能が弱まっている様子だ。改善されるまでどれくらいの時間が掛かるのだろうか……


 そんな事を考えていると、腹の上にぴょんと飛び乗られた。見てみるとライムがへその辺りをうろうろとしてから──そこに腰を落ち着けた。顔をこちらに向けて、前足を折ってきちんと座り込んでいる。


 温かい猫の温もりを感じていると、不思議と眠たくなってきて、そのままおだやかな気持ちで眠りにいた。

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