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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第五章 混沌の海と神々の大地

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遠征先からの帰還

ブックマーク、お気に入りユーザ登録歓迎です。作者の他の小説やエッセイを読みたいと思ってくれた人は是非(中には……なものもあるので、自己責任でお読みください)。

 午後になり、旅団員が帰って来た。気のせいか皆、少したくましくなったように感じる。──いや、リトキスやレーチェとかは変わらんが。


「ただいま戻りました」

「おみやげ──」

 と、メイが箱に入った菓子を手にしている……が、渡す気は無いみたいだ。それは土産とは言わんだろう。


「あら、もしかして届けられた物を一人でしまってくれたのですか? ご苦労様でした」

 レーチェはそう言いながら、馬車から次々と運ばれて来る木箱や麻袋を、宿舎の前まで運ばせ、御者に手当てを渡している。

 団員は手にした物を自分の部屋に運んだり、宿舎内の倉庫へ運んで行く。


「あれ? オーディス……団長、ここにあった猫の簡易寝床は?」

 エウラが荷物を運びながら尋ねる。

「取りえず、それをしまって来い話しはそれからだ」


 馬車からの荷物を全て運び終えると仲間達を庭に集めた。何事かと思っている連中に、まずは遠征での働きを誉め、大量の素材などを倉庫に運び込むだけで疲れ果ててしまった、と言って一笑い取る。

「それと、新しい家族が出来ました」

 そう言うと皆が「うん?」と首をかしげる。

 俺は倉庫の奥にある箱を見に行けと言って、半開きになっている扉を開けた。


 中に入って行った団員達が黄色い声を上げる。白猫は迷惑そうな顔をして、周囲を取り囲む連中を見上げながら、子猫達に乳を与えている。

 メイが子猫を触ろうとすると、母猫は子猫を守る様に──脚でその手を振り払う。


 大勢が猫の周囲に集まっている中、レーチェは倉庫の入り口に突っ立っている。

「まだ目も開かない子猫だぞ」

「親猫は違うじゃありませんの。それよりもどうでしたか? ウンディードの方は」

 彼女にそう聞かれ、一瞬、言葉に詰まる。


「お、おう……まあその、なんだ──『象徴武具』のお陰で精霊力の増幅方法が増えたのを喜んでいたよ。うん」

 ()()()()()()になりながら何とか返答したが、レーチェは眉をひそめる。

「何か──ありましたの?」

「はぁ⁉ な、何も無かったし。水の神も感謝していたっていうだけさ」

 慌てて答えたが、何かを疑っている表情のレーチェ、俺は別の用件に話題を変える事にした。


「おっと、そうだ。皆にも伝えておかなければ。明日にでも俺は火の神に『象徴武具』の大剣を届けに行こうと思う。ついこの前、火の神ミーナヴァルズから手紙が届いてね、神貴鉄鋼シルエヴァルリスで造った大剣で『送夏の儀』をおこないたいというので造ったのさ。そういう訳で、明日から少しの間、猫の世話とか頼むな」


 俺が倉庫内に居る団員達にそう言って宿舎に入ろうとすると、レーチェが小声で言う。

「何か怪しいですわね……」

 俺は思わず振り返り「何がだ!」と叫んでしまった。




 その日は皆から遠征先での出来事などを聞かせてもらった。どうやら、それぞれに良い経験になったようだ。

 素材もそろったのでウリスは弓職人に素材を持って行って、予定通り弓を造ってもらうのだと話す。カーリアは「疾風しっぷうの籠手」を作って欲しいと言うので、素材を見た感じだと二人分は作れるだろうと応えた。


 疾風の籠手を欲しいと思う者達でくじを引いて決めろと言うと、カーリアの他にカムイとエアネル、レンネルが立候補する。

 四つの木片を用意して、その下を赤く塗る。この下の部分を手で握り、四人に選ばせる。

「赤いのを引き当てた奴に籠手を作ってやる──ただし、都市フレイマから戻った後な」

 四人が木片をまんだ。


「ショ──ダウゥン!」

 俺は声を張り上げたが、皆は()()()()としただけだ。うん、こうなるの分かってたし。

 先が赤くなった木片を持っていたのはカーリアとレンネルの二人だった。

 カーリアは大喜び、レンネルは申し訳なさそうに、他二名を見ている。


「まあ、その他にも作れる物は増えたしな、疾風の籠手にこだわらなければ他にも良い物は作れるだろう。森竜グフラーガの尻尾を使った籠手も、不格好だが軽くて丈夫だし──小盾バックラーを取り付けた感じにも作れるぞ」

 そんな風に外れを引いたエアネルとカムイに提案をする。エアネルは槍を両手で使う為、小さな盾を籠手として使えるならそれが良いと、俺の提案を受け入れてくれた。


 カムイは攻撃の速度を上げたかったらしく、小盾を使うつもりは無さそうだ。カムイは最近二本の剣を腰に下げているし、双剣使いにならないのかと尋ねると、練習はしているが、片手で一本の剣を振り回す事が出来ても、二本同時に振るうのは難しいのだと言う。


 まあ、考えながら剣を振らなければならない部分は増えるから、二本を振るうのが大変なのは確かだ。それを得意としていた奴も居たが──あれは才能だな。参考にはならないだろう。

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