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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第五章 混沌の海と神々の大地

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遠征最後の日

弱小冒険者三人組の魔法使いヴィナーのお話です。

実は魔法適性の高い魔法使いなのかも……

 前日の苦戦をいられたという「太古の城塞都市」に私は参加しなかったが、無事に混沌結晶などを手に入れられ、白銀騎士の装備品なども、シャルファーの武器屋と防具屋に買い取ってもらったようだ。いくつかは宿舎の方に素材と共に昨日の内に送り届ける事になり、そこでそれらの武具や素材を見せてもらった。


「団長が悲鳴をあげるんじゃないかしら、一人で倉庫にしまうのは大変でしょう」とレーチェさんが言っていた。帰ったら手伝ってあげよう……


 今回の私は、下位の転移門や、中級難度の中でも比較的楽な所ばかりを冒険に行かされた。魔法の杖を新しくして魔法の威力を底上げする事は出来たのだが、習得している魔法にかたよりがあるのだ。

 私の使える魔法が攻撃系統ばかりなのも理由かもしれない。仲間を保護する魔法などを覚えないと、ユナばかりか、カーリアにまで置いて行かれてしまいそうな気がしている。


「ヴィナー、どうしたの?」

 ウリスが私に声を掛けてきた。真剣な顔をしてテーブルを睨みつけていたと彼女は言う。

「睨みつけてないし、目つきが悪いだけだし」

 私は立ち上がって遠征最終日の骨休めの日──に、街を見て回る仲間達には加わらずに、魔法屋へ行く事にした。


 風の神が住む都市シャルファーなら風の強力な魔法が入手できるかもしれない。そんな風に考えたのだ。団長から借りている「精霊感応霊呪印」の付いた金の指輪も付けている。──これは雷属性の魔法を習得し易くする物だが──お金も持ったし、準備はしてきた。


 けどその前に、風の神の神殿で祈ってみる事にした。風の神は人前には姿を見せないらしく、神殿には四つ足の獣の姿をした像と、鳥の姿をした像が置かれていた。銀色の(銀なのかな?)金属で造られたそれらの像を乗せた台座には、風の神の二つの側面について書かれている。


 その中でも特徴的な文言もんごん板金ばんきんに打たれていた。

『風は命を運ぶ、それは死せる者の魂をも。雷鳴(とどろ)彼方かなたにおいて、の神はあなたの過ちに罰を与える』


 私は神像に仲間を守る魔法を与えて下さいと祈ってから神殿を出た、罰はいらないです。仲間を守れる力が欲しいんです。


 *****


 シャルファーの魔法屋は二軒あった、エウラさんは「魔法には縁が無いので」と言っていたが、大通りに一軒と路地裏に一軒あるはずと言う通りに、それはあった。

 大通りの魔法屋には風の強力な魔法がいくつかあったが価格が高く、私の能力では使えなさそうなものばかりだった。


 路地裏にある魔法屋に入ると、そこは色々な無属性魔法を中心に扱っている魔法屋だった。()()()()()とした店の奥に魔導師らしき男が座っている。


「悩んでいるねぇ、若人わこうどよ」

 店主らしい男がそう言った。だが男は手にした本を見ていて、こちらをまったく見ていない。

「見ないでも分かるの」

 すると三十代半ばくらいの見た目をしたその男は、声を出さずにわらう。

「むしろ()()()()()()()()()


 黒い外套マントを羽織った男は本を閉じると唐突に言った。

「この店にある魔法は、無属性の──余所よそとは違った毛色の魔法ばかりをそろえた店だよ。習得できなくても、習得する為にはどうすればいいかの助言も与えよう。何か希望はおありかな?」

 私は仲間を守る為の魔法を習得したい、と店主に打ち明けた。彼は黙ってうなずくと近くに来るよう身振りで示す。


「では基本的な『攻撃力強化』と『防御力強化』の魔法や『魔法障壁』などだな。これらを習得できなかったのは、君の心に迷いがあるせいだ」

 男は見透かした様に言う。

「君は家族の誰かに『魔法使いになるな』と言われているのだろう。それに反発を感じている君は、攻撃的な魔法ばかりを身に付けてしまっている──そうだろう? 君は()()()()()()()()()()()()()。強がって、自分一人で物事を解決できるなどと思い上がらず、他人を頼る事も学ばなければ」


「そ、そんな。私は強くなりたいと望んでいただけで……」

「君の考え方や生き方、それが君の魔法適性をゆがめている。だがそれは、君の意志が魔法と上手く噛み合っている証でもある。君の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんだ、その為に君は他者を認める事も覚えなくては。他者を認める事を恐れてはいけない。それは結局のところ、自分を許し、認める事と同義なのだから」


 冷たい瞳をしたその魔導師の言葉は、心に直接入り込んでくる様だった。だがそれが、ちっとも嫌じゃない。不思議な気持ちだった。

 この魔導師は水晶や不思議な色をした結晶を組み合わせた物体オブジェをカウンターに置いた。

「さあ、君が本来の自分の力、魂と理解し合えるか、試してみよう」

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