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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第五章 混沌の海と神々の大地

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遠征先からの荷物の運び込みと猫

 風の「象徴武具」である刺突剣レイピアさやを、夜になる前に作り。──翌朝に細かな装飾部分を磨き上げてから布にくるみ、管理局に持って行った。

 技術班を通す為にメリッサに会いに行く。

 ところが彼女は上層部に報告に出ているらしく、会う事は出来なかった。


 彼女の部下の一人が「象徴武具」の調査を受け持っており、その若い女が布を解いて中身を確認する──

「これが風の力を秘めた神貴鉄鋼シルエヴァルリスの武器ですか、美しい装飾ですね。これで風の神の力が増幅できたら素晴らしいです」

 ちゃんと風の神に届けるようにと伝えると、彼女は「もちろん」と応えて微笑んだ。


 管理局から帰る途中で白い猫の後ろ姿を見かけた。壁の上を歩きながら俺の鍛冶屋のある方へ向かっている。

 後方から()()()追いつくと「散歩か」と声を掛ける。

 猫は壁の上で立ち止まると、見知った顔を見て「ウニャァアァ~~」と鳴き声を上げる……見ると、少し会わない間にふっくらとした様に感じる。

「太ったのか」

 そう声を掛けると猫は、ふいっと向きを変えて、旅団宿舎の方へ向かって行く。


 俺は彼女の後は追わずに鍛冶屋の方を回って旅団宿舎へ向かう。すると宿舎の前に荷車が停まっていた。

「うちの旅団に何か用か」

 若い男が宿舎の玄関前で困った様子で立ち尽くしているのだ。

「ああ、良かった。『黒き錬金鍛冶の旅団』の方から届け物です。敷地内に運び込んでも良いでしょうか?」


 俺は扉を開けて「頼む」と言い、俺も手を貸す事にした。結構な量だ、外の倉庫にも一時いちじ、入れておく方が良さそうだ。

 荷車から荷物を運び込んで宿舎の中の通路に置いたり、鉱石や甲殻などの素材は、宿舎の外にある倉庫の中に取り敢えずしまって置く事にした。


「ありがとうございます。それでは、またのご利用を」

 若い男はそう残して都市シャルファーへと帰って行った。


 宿舎内の素材置場や物置に素材などをしまい込み、毛皮などは庭に出して防腐処理を施す事にする。

 庭にある倉庫の中を整理していると、訓練用の分厚い敷物(マット)の上に猫が丸まって眠っている。

 まあ、この倉庫に盗みに入る者も居ないだろう。猫の為にも倉庫の入り口は少し開放した状態にしようと思い、扉の下に木の板を噛ませておく。


 しかし何故、外に置いてある簡易寝床に入らなかったのだろう。少し不思議に思いつつ、寝床に敷いてあった布を持って来て、猫の身体を包み込むみたいに置いてやった。

 後は猫を起こさないようにシャルファーから送られて来た物を、荷物ごとに片づけるだけだ。──しかし、中には森竜グフラーガの尻尾などもあり、肉や素材に分けて片づけなければならず、思いのほか手こずってしまったのだ。

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