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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第四章 新たなる旅立ち

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「象徴武具」の作成

タイトル上部にあるシリーズ名『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》や登場人物の設定などを読める物を投稿してあります。そちらも読んでもらえると嬉しいです。

 宿舎に帰ると、猫の寝床を見て餌が無くなっているのを確認し、宿舎の中から餌箱を持って餌入れに煮干しを入れてやる。

 使命感を持った俺は、倉庫に素材や道具を取りに戻り、庭にある仮設の炉の前に道具を用意すると、炉に火を付けて燃結晶を投入し、神貴鉄鋼シルエヴァルリスを溶かして武器を造り始める。

 予備の金床も石の台座に固定してある、準備万端だ。


 今回は翡翠ひすい翠玉エメラルドを用意した。これらも魔力回路に組み込む意匠デザインを考えながら刺突しとつ剣を作り上げるのだ。はっきり言って難易度は高い。

 細身の刀身に魔力回路を組み込む至難の業だ、根本部分に宝石を付ける穴も用意し、さらにその穴の周囲を魔力回路が通る様にしなければならないのだ。


 俺でなければ出来ない、そう自分に言い聞かせる。


 風の神の為の「象徴武具」を造る。風を表す模様の表現は、根本から上部へ向かって渦を作る旋風つむじかぜ心象イメージだ。それは最後に加えるとして、まずは魔力回路の生成──これが肝なのである。


 炉の中で熱く燃え上がる炎の中に火の精霊石を投入して、火の神への祈りを捧げる。今回は風の神の武器だが、の女神の為にもここで、神貴鉄鋼で作る武器の仕上げに磨きを掛けなければならない。


 失敗の許されない稀少きしょうな金属を使用しての武器の生成だ。魔力結晶を金属に加えると、鎚で打ち叩き、細かな火花を散らしながら刀身の中に魔力回路を浸透させていく。

 根本部分は普通の剣と変わらないが、その先はずっと細い。剣先まで伝わる細かな回路の構築に集中しながら、それを成し遂げると、風の精霊石を炉に投入し、風の神への祈りを捧げながら風の精霊結晶を剣に加える。


 根本部分に加える装飾の為の、溶けた金属を付け足して、風の渦巻く意匠を加えながら刀身を補強する形でそれを足していった。


 刀身の生成は成功した。後はつば柄頭つかがしらに付ける金属と、それらに宝石を取り付けるのだ。

 刀身は根本の風の象徴的模様を浮き彫りにする様に、最後に加えた金属部分を削っていき、荒々しい旋風を心象した物を刻み込む。

 磨き上げるのが楽しみになってきた、宝石をめ込む穴も正確な円を描いている。──自画自賛するが、傑作けっさくだと言える物が出来るのではと心躍る。


 鍔も上部に向かって吹き上がる旋風をより大胆に表現し、鍔から伸びる螺旋らせん状の鋼で造り上げる──手間暇を惜しまぬ造りだ。

 柄頭の小さな金属部分にも渦を心象した表現を入れて、その上の部分に翡翠を嵌め込む。


 それら全てが今の俺に出来る最高の意匠デザインで造り上げられた。鍔から伸びる装飾は完全に実戦向きでは無い、儀式用の為に造られた物だった。

 それらが出来上がると組み合わせて、翠玉を削り、穴にあった物を嵌め込んでいく。


 完成した象徴武具は思っていたよりも神々(こうごう)しい物が出来た。一つ一つの作業に集中して完成した物が、なにやら自分が造った物では無い様にすら感じる──


 神貴鉄鋼の刃が焔日ほむらびの光を受けて、緑色の光を反射する。魔力回路に組み込まれた風の力か、取り付けられた翠玉や翡翠の色がそうさせたのか、その刺突剣は意思を持つ物であるかの様に「俺にさやを作れ」と呼び掛けている気がしていた……

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