無意識の中の繋がりと世界
暗闇の中で誰かが呼んでいる──そんな気がする。
声で呼ばれているのでは無い、動作でも無い、それは別の感覚で、俺の事を呼んでいるのだ。
暗闇が次第に明るくなって行き、青や緑や赤や黄色の光が、淡い発光で俺の周囲を包み込んで呼び掛ける。
『オーディスワイア』
それは何とも深い響きを持って俺の名を呼ぶ。
いったい俺を呼ぶのは誰だと、声を出そうとするが、喉からも口からも一切音は出ないのだ。
『落ち着け、ここは肉体の世界ではないのだから』
それは優しい呼び掛けだった。男の声の様な、女の声でもある様な、曖昧なそれは、何かを伝えようとしているのが、声を聞かずとも分かるのだ。
『オーディスワイア、お前に頼みたい事がある』
すると別の声──だが区別が良く分からない──が続けてこう言う。
『お前は仲間を集めて、新たな旅団を作りなさい』
『そして多くの優秀な戦士や探索者を、ミスランに開く新たな扉の向こうに送り込むのです』
『心配はいらない、我々はいつもあなた方を見守っています』
『お前の決断に期待している……』
多くの、あるいは一つの声が遠ざかる──あの声は、もしかして……!
俺の意識が覚醒に近づいて行くと、それらの記憶も再び曖昧なものになって行くのだった。




