神貴鉄鋼と精霊力増幅のさらなる方法論
次話は修羅場⁉ でも相手は神だから……(性別もあやふや)
神貴鉄鋼に神々の精霊力を増幅、または回復させる力を付加するには、鍛冶師のそれぞれの神への祈りと、精霊石や精霊結晶を使った儀式的な行為が必要だとアリエイラは語った。
儀式に反応して大地に眠る精霊の力が、その錬成品に宿り、神貴鉄鋼内に精霊力を増回復する力が発現するらしい。それが魔力回路と複雑に融合する事で、神結晶に匹敵する効果を発揮したのだ。
「その増回復する力をさらに高める為にも、象徴を駆使するといいでしょう」
各属性と関連性を持つ宝石を埋め込んで作製したり、属性を表す模様を入れるなどの方法と共に、彼女は四大神を表す神器について話してくれた。
「火の神は大剣、または手斧を。風の神は刺突剣、または盾を。地の神は槌、または剣を。そして私──水の神には短剣、または槍を。という具合ですね」
それらの象徴は神殿にある石像などが手にしている物だ。
「神貴鉄鋼の武器に属性を表す宝石を組み込むのですね? 装飾も属性を表す物を付け足すと……分かりました。それでは新たに神貴鉄鋼で造る時は、それらを踏まえて造りましょう」
水の神が頷いたのを見て、一つ思い出した事を口にする。
「……転移門を開くのに、俺の顔を見てから決めたいと言っていたのは何故ですか?」
その問いをすると女神の表情は一瞬曇ったが、すぐに弱々しい微笑みへと変わる。
「それは──あなたが元居た世界に帰りたいと望むのなら、転移門を開く力を使って、あなたを元の世界に帰そうと……」
俺の手を握る小さな手に力が込められる。彼女の迷いや不安が伝わってくる、そんな風に感じた。
「なら、その必要が無い事は分かりましたよね? 新たな門をどのように開くのかは知りませんが、俺は元の世界に戻るつもりは無いので、フォロスハートの為になる様に使って下さい」
今度は俺が彼女に微笑み掛けると、アリエイラは上半身を起こして、そっと俺の頬に口づけをする。
そんな彼女を引き寄せると、横たわる俺の上に女神を抱き寄せる。少女の藍色の瞳が閉じると彼女の唇に自分の唇を重ねようと、顔を近づけた……
「ニャァアァァッ!」
突如、近くから猫の鳴き声が聞こえたかと思った瞬間。俺の頬に柔らかい毛を持った何かが飛び掛かり、背中か尻らしい部分で体当たりしてきた。
「ぶふぅっ⁉」
体重の乗った一撃に、顔を背けながら思わず声を上げてしまう。
「オーディスワイア⁉ 大丈夫ですか……?」
急に声を上げた俺を心配しながらも、突然の乱入者に怒りの視線を投げ掛けるアリエイラ。
彼女の視線の先には、真っ赤な毛をした猫が居た。その猫は毛を逆立てて「シャァァ──ッ!」と鋭い威嚇の声を発して、俺を黄色い眼で睨んでいる。
「ね、猫ぉ? けど、真っ赤な毛をした猫なんて見た事な……」
すると草地の上で威嚇していた猫の身体が火を噴いた。
ごうごうと音を立てて燃え上がった炎は火柱となり、朱色の炎の塊を生み出すと、それは次第に人の形を取り始めた。
炎の中から現れたのは火の女神、ミーナヴァルズの精神体であった。
神々を象徴する武器の一部を変更しました。




