水の神の二面性
水の女神とのいちゃラブ展開……絵面だけ想像すると色々問題ありそうですね(笑)
気怠い開放感を感じて目を覚ます。窓の外は日が沈み掛かっていた。
俺は寝台の上で体を起こすとアリエイラの姿を探した。白いシーツの上には小さな彼女の寝そべった跡が残り、触ると彼女の温もりが残っているのを感じる。
ただそれだけで安心する自分がいた。
……水の神は両性具有だという噂を聞いた事があったが、それは流言飛語だったらしい。
夢の様な一時だった。誰かをこれほど愛しく思った事は今まで無い。
その分アリエイラには無理をさせてしまったかもしれない。あまりに強い熱情をもって彼女を激しく愛してしまったと、今更ながら後悔が脳裏に過ぎる。
それに、こんな事が神殿にバレたら、処刑されても文句は言えない。──その時はアリエイラが庇ってくれるかもしれないが、──あまり考えたくは無い事だった。
部屋の外から何か物音が聞こえる。半分開いたドアからアリエイラが姿を見せると、俺が起きている事を知って、にこやかに──とても幸せそうな笑顔を見せた。
その笑顔を見ただけで、こちらも幸せな気持ちに包まれる。まるで楽園にでも迷い込んだ気分だ。以前の俺なら、病気にでもなったのかと皮肉混じりに言っているところである。
「オーディスワイア、この布は……?」
彼女は部屋の明かりを(壁に付けた金属の燭台の様な物に魔力結晶を乗せ)点けると、手にした空色の布を見せる。
「ああ、それは──」と俺は寝台から立ち上がり、俺の裸を見たアリエイラが顔を赤く染めて目を逸らす。
薄い白い生地の肌着だけを着た彼女の背後に回ると、布を開いて中の硝子小鉢に入った色とりどりの宝石を見せる。
「綺麗……!」
「これに水を入れて、日の光とかに透かして見ると綺麗なんじゃないかと思って」
そう説明すると彼女は「なるほど!」と小鉢をテーブルの上に置き、指先から水を出して硝子小鉢に注いでいく。
発光結晶を取り出すと、硝子小鉢の奥に置いて光を硝子と宝石に当てる。キラキラと反射する様々な色合いを映した水が、目映いばかりの美をテーブル上に繰り広げる。
壁の蒼い輝石も光を受けて輝きを放っていた。
「綺麗ですね」
アリエイラは嬉しそうに振り向く。
それにしても薄い肌着を身に着けただけの格好の少女の胸が──先程よりも、心なしか大きくなったような──?
肌着の上から腰を抱き、胸に手を当てる。
「ぁっ……、もう。さっきあんなに……」
薄い布地の上から大きくなった胸の感触を確かめる。やっぱり、さっきよりも大きくなっているみたいだ。
その事を尋ねると水の神──女神は、俺の手を抓りながら答える。
「この身体は、昼間は男性面が、夜は女性面が強く表れるのです。ただ私は、十数年前から女性体としてのみ生きているので、男性体になる事はありませんが」
なんで女性体だけで生きる事にしたんですかと聞くと、彼女は頬を赤く染め、むっとした表情をする。
「でないと、あなたに……な、なんでもありません!」
そんな風に恥ずかしがる女神を見ているだけで幸福感に満たされる。素っ裸で言う事では無いかもしれないが。
「食事を神官達が運んで来ます、その前に体を洗っておきましょう」
そう言うと彼女はお風呂場があると手を引いて行く。
「では、夜になったらもう一度……」と耳打ちすると、彼女は真っ赤になって肘打ちをし、そのいいやつが鳩尾に入って、思わず前屈みになる。
少女の姿とはいえ水を司る女神なのだ。油断していると丸呑みにされるかもしれない。




