赦しと愛
読んでくれた人ありがとうございます〜
脱字報告して頂いて感謝です! ありがとう~
今回ちょっとアダルティー? アリエイラ編長いなぁ──
アリエイラが俺を召喚したのは、俺が向こうの世界に対して絶望していたからだろう。どう足掻いても、あの世界には救済の道など無いのだ。互いが互いを認めるという事を放棄した連中の動かす世界など、歴史を見ればその末路が分かる。
結局の所、多くの人間は結果が出なければ分からないのだ。恐ろしい破滅がその先に待っているとしても、それが訪れるまでは決して理解しようとはしない。──残念だが、そういうものなのだ。
あちらの世界に未練は無かった。混沌に覆われた危険な世界だというのに、こちらの世界に馴染むと、むしろほっとしたほどだ。こちらには人間同士の強い結束がある(中には無い奴も居るが)。
互いに協力して生き抜いて行こうという意志がある。それだけで充分だった。
「ありがとう、神アリエイラ。俺をこちらに救い出してくれて」
俺がそう告げると彼女は驚いた表情をして泣き止み──そして俺に体を預けると、再び声を出して泣き出してしまった。
彼女が泣き止むまで待ち、落ち着いてきたところで椅子に座り、今までの事について話し合った。
「あなたが冒険者を始めてからウンディードに来た事がありましたね。あの時に一度、あなたに会おうと思ったのですが──決心がつかなかった。何と言ってお詫びすればいいのか、そんな事を考えながらずっと迷っていました」
そんな彼女が今回俺を呼び寄せたのは、短剣の礼をするという口実が出来たからだと語った、前向きな理由が必要だったのだ。
神アリエイラの中にある、危険な世界へ召喚してしまったという負い目が、彼女を苦しめていた。実際はそうでは無く、俺は彼女に感謝していたのに。
「私はずっと、ずっと。あなたに会いたいという想いと、どうすれば赦してもらえるか、そればかりを考えてきました。今、こうしてあなたに赦されて──私がどれほどほっとし、嬉しい気持ちで満たされているか、あなたには分からないでしょう」
アリエイラの強い愛情を感じて胸が疼いてくる。数日前の謎の高揚感の正体はこれだったのかと思う。
神ウル=オギトから、ミーナヴァルズやアリエイラに愛されている。と聞かされた時から俺の心の中には、少年の様なときめきが膨れ上がっていたのだ。夢の中に現れる少女が何者なのか俺自身は気づかなかったが、無意識の方は、あれがアリエイラである事を知っており、彼女に恋い焦がれる気持ち──まるで、初恋の人を想う様な気持ちを俺に溢れさせたのだ。
目の前に座る可憐な少女を前にしていると、胸の高鳴りが聞こえてくるようだった。彼女の声や、ちょっとした仕草、水色の瞳と目が合う瞬間。
それら全てが愛おしい気持ちを呼び起こして、抗い難い感情を呼び起こそうとしてくる。──俺はそれに抵抗して、ふと腰に下げた小物入れに触れた。
「ぁ、ぁあ、そうでした。神アリエイラに差し上げたい物が──」
俺の言葉を遮って水の神が言う。
「アリエイラ」
俺が小物入れから空色の布でくるんだ物を取り出すと、彼女はじっと神秘的な瞳で俺を見つめてくる。
「アリエイラ、と呼んで下さい」
俺は躊躇いながらも彼女の指示に従って「アリエイラ」と呼び捨てにする。
「はい」
少女は少しはにかみ、嬉しそうに微笑む──
俺の中で何かが爆発した様に感じた。それが何だったのかなど、どうでもよくなり、布の包みをテーブルの上に置いて立ち上がると、驚いているアリエイラの側に行って彼女の小さな唇に自分の唇を重ねる──
彼女は抵抗せずに俺を受け入れると、背中に腕を回してきて熱烈な口づけを交わした……




