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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第四章 新たなる旅立ち

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水の神の神殿からの招待

「はじめまして、我々は水の神アリエイラ様に仕える神官です。オーディスワイア様はいらっしゃいますでしょうか」

 若い男がそう言った。その男の後方には同じく法服ローブを着た若い女神官の姿もある。

「俺がオーディスワイアだよ。ま、取り敢えず中に入ってくれ。道端でするような話題でも無いんだろ」


 そう言うと男は頷き「お邪魔いたします」と頭を下げて、開いた扉から中へと入る。女神官も、お辞儀をすると敷地内へ入って来た。

 客間へ行こうかと言うと神官は首を横に振る。

「いえいえ、そんなにお時間は頂きません、ここで結構です。本日来たのは、水の神アリエイラ様がオーディスワイア様を、神殿の方に招きたいという事を伝える書状を渡す為なので」


 彼はそう言い、ふところから小さな封筒を取り出して差し出してきた。俺はそれを受け取ると少し考えてしまう。

「突然で申し訳ありませんが、明日にまたお伺いします。その時に一緒にウンディードへ向かう馬車に乗って頂ければ、そのままお連れできるのですが、何か用事はございましたか?」

「いや、用事は無いが……えらく急だな」


 そう言うと再び頭を下げ謝罪の言葉を口にする男。

「申し訳ありません。なにしろ水の神は力を与えてくれた錬金鍛冶師に会ってから、新たな転移門を開く儀式に入ると申されますので……」

 拒否権は無い、暗にそう言っているのだ。俺としても神から呼ばれているのに「所用で行けません」と返す気は微塵みじんも無い。


「分かった、明日また来てくれ。──しかし何故、俺に会ってから転移門を開くなどと──理由は知っているか?」

 俺の言葉に男も女の神官も首を横に振る。

「まさか。水の神のご意思に疑問を挟む事など我々にはとても……。理由が気になるのでしたら是非、直接お話ししてください」


 彼はそう言うと俺の足下に視線を向ける。

「ニャァ──」

 気づくと足下に来ていた猫が、俺の脚に小さな体を擦り付けながら鳴き声を上げる。

「この子にはお世話になりました。なにしろ扉を叩いても反応が無いので」

 ん? というと──?


「この()()()()()()()()()()()()のですよ、敷地内に入っても構わないのか、我々には分からなかったので……、ちゃんと声を掛けに行ったでしょう?『お客が来ていますよ──』と」

「いや、しゃべらねぇから。水の神の神官は猫を操るのか」

 俺の言葉に男は笑うと「まあ、そんなところです」と語って、足下にやって来た猫を屈み込んで撫でてやる。


 会ったばかりの相手だというのに、とても良くなついている。確かにこの男には、猫を操る様な不思議な力があるのかもしれない。

 ごろんと転がった猫をあやし終えると男は立ち上がる。


「それでは明日、正午前には馬車でお迎えにあがります」

 神官はそう言い残して宿舎の敷地を出て行った。水の神に会いたいと思っていたが、まさかこれほど早く会える事になろうとは。俺は猫を連れて宿舎の玄関先まで来ると、石の床に座り込んで水の神からの手紙を読んでみる──




『突然の呼びつけを謝罪します。しかし、私の犯してしまった事に比べたらこのような無礼はつゆごときものかもしれません。

 あなたの過去について私の口からお話ししたいので、ウンディードまでご足労頂ければと思います。

 儀式に提供して下さった短剣のお礼もしたい、そして何より、()()()()()()()()()()()()()()転移門の使い方を決めたいのです。


                               アリエイラ 』




 名前の上の部分に何かを書き、消した跡が残っていた。

 俺の過去について……? 俺は水の神と会った事があるのか? 確かに()()()()()()ばかりの時に酷い怪我をして、病院か何かの施設に入っていたような記憶も、ぼんやりとあるのだが──思い出せない。

 過去の記憶の事も気になるが、水の神が犯した事とはなんなのだろうか……


 まあ、明日には分かるのだろう。

 団員達にも明日からしばらく都市ウンディードに行く事を伝えておこう。──まあ彼らはシャルファーに遠征に行くので、どちらにしてもミスランから離れる事になった訳だ。

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