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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第四章 新たなる旅立ち

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神貴鉄鋼の魔法の剣で神の力が増幅された理由

ちょっと小難しい精神論的なお話ですが、深い意味はありません。「自然を大切にね」くらいのメッセージです(笑)。

オーディスワイアにも敬神的な面もあるんだと理解して頂ければ。──あと、彼がフォロスハートに招かれた頃のお話の回想でもあります。

 三人(二人と一匹?)の前に、蜜蝋みつろうを乗せた皿を置くと、巫女達は感謝の言葉を口にした。まずは鼠(神)を抱いた巫女が、小さな蜜蝋を銀のスプーンですくって、鼠の口元に運んだ。

 大きな鼠は、むしゃむしゃと口を動かして蜜蝋を食べ終えると、「ちゅう、ちゅぅ」と鳴き声を上げる。


「これは素晴らしい甘味だっちゅぅ。ウィンデリア領の養蜂場ようほうじょうから採れた物っちゅね? 年々良い物が作られているっちゅ。これは蜂蜜酒ミードが愉しみっちゅ!」

 蜂蜜酒も届けられましたが、持って来ましょうか? と尋ねると鼠が「ちゅぅ──!」と声を上げたのとほとんど同時に、通訳の巫女が「いえ、結構。それよりも水の神の儀式の件について、お話ししましょう」と言ってウル=オギトの発言を切り捨てる。


 鼠は抗議の声を上げているが、通訳はまったく意に介さない。地の神を完全に無視して、蜜蝋を口にする。

「う──ん、これは美味しいですね。貴重な蜜蝋をありがとうございます……え? どうしましたか? 神ウル=オギト。早くここに来た用件を済ませてしまいましょう」


 銀色の鼠を無視した二人の巫女は、自分の蜜蝋を食べては紅茶を飲む。──彼女らにとっても久し振りの贅沢ぜいたくだったのだろうか? ウル=オギトは、すっかり意気消沈いきしょうちんして「ちゅぅ、ちゅぅ──」と、用件を話し始めたようだ。


「管理局から書状が届いたのでミスランに戻って来たっちゅ。水の神の儀式で使った、神貴鉄鋼シルエヴァルリス製の魔法の剣はどうやら、神結晶としての力に近い効力にまで復元されるようっちゅ。刃に魔力回路を生成するだけでは、これほどの効果は得られないっちゅぅ。効果を高めるには精霊との同調、世界への傾倒けいとう、神への帰依きえの心が必要っちゅ」

 最後に巫女が、ぼそっと「たぶん……」と付け加えた。


「ずいぶんと曖昧あいまいな説明でしたが、剣を打つ時に精霊結晶を投入したりしながら、神への祈りを捧げていた事が結果にも作用したと、そういう事でしょうか」

 俺の言葉に鼠は首(見えないが)を横に振る。

「そういう上辺だけの事じゃないっちゅよ、もっと内面から湧き出る──。この世界への愛情の様な、魂から溢れ出るものっちゅ。自然への、世界への、精霊への理解と愛情が無ければ、成す事の出来ない領域──。それが神貴鉄鋼に、神々の力を増幅させる力を生み出したっちゅ」


 そう言われ何だか恥ずかしくなる。確かに自分は自然への憧憬しょうけいの強い人間だとは思うが。

「……照れますね、なんか。地の神にそう言われるのは光栄な事だと思いますが」

 ウル=オギトは頷きながら(愛らしく)腕を組む。


「お前はミーナヴァルズにも、アリエイラにも愛されているっちゅ。もちろん私にもっちゅが。ラホルスも『黒き錬金鍛冶の旅団』には一目置いている、というような事を言っていたっちゅ。四大神に慕われるお前だからこそ、神の力を増幅させるという、偉業を成せると()()()()()っちゅ」


 照れながら巫女の話す神の言葉を聞いていたが、ふと思う。水の神アリエイラとは会った事が無い。もちろん神々は世界とつながっているから、こちらが見ていなくとも向こうは、こちらを知っている、という事もあり得るのだろう。

 しかし水の神には何故か、奇妙な親近感を覚えるのだ──不思議な事だが。


 その事をウル=オギトに尋ねようかとも思ったが止めておく。そう言った事は本人(神)に会った時に尋ねる方がいいだろう。まあ、会わずに一生を終える方が普通だろうとは思う。

 特に水の神は、風の神と同じくらい謎の多い神だからだ。顕現体けんげんたいを見る事もほぼ出来ない。精神体も、滅多に姿を人前に晒さない(風の神らしき精神体には会ったが)事で知られていた。


 いつかは水の神とも会ってみたいものだ。どういう訳か、最近そういった気持ちが強くなる。それは自分が、ここフォロスハートに()()()()記憶、ずっと以前から持ち続けている記憶──。水の都の中にある、幻想的な建物に関する記憶と共によみがえる、可憐かれんな少女の姿。──幻の様に、今でもたまに夢を見る。

 青い髪が印象的な美しい少女の姿を。

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― 新着の感想 ―
特別な結果が出た理由が理解と愛情ってのは読んでて胸が熱くなりました。
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