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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第四章 新たなる旅立ち

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紛糾しない会議、事件は現場で起こってます

 その日の夕食が済むと、本日起きた事柄について話し合う。──冒険先では何事も無く、平穏無事に終了したらしい。

 それでは、と俺はメリッサが渡してくれた紙の内容を(ある程度省略して)読み上げ、神貴鉄鋼シルエヴァルリスで作った魔法の剣が、水の神の力を増幅させた事について触れ、鍛冶屋の工期が短くなる事を告げた。

 ……なのに、誰も何も言わない。


「おい? 何か言う事は無いのかい? 管理局が横暴にも、権力を使って作業員を増やすなど不平等だ、とか。神貴鉄鋼を使って魔法の剣を作るのは管理局がやればいい、とか。何か無いの……」

 団員は互いの顔を見合わせたり、目の前に置かれた茶器に指を掛けたりしながら、何かを考えている様子だ。


「いいではありませんの、工期が短縮される事もそうですが。これはオーディスワイア旅団長の、錬金鍛冶師としての実力を認めたという事でしょう。これは、我々旅団員としても誇らしい事ですわ」

 レーチェが言うと、他の団員達も「うんうん」とか「確かにそうだ」と納得してしまう。


 ユナもこう発言して場を収めてしまう。

「魔法の剣の作製については高い技術が求められるらしいので、オーディスワイアさんしか安定して作れないのが現状だと思います。だからこそ管理局も『黒き錬金鍛冶の旅団』の拠点を改築する事に、協力する気になったのではないでしょうか」

 彼女の言葉に危うく「確かに」と納得しそうになる俺。


 しかしこのままだと、俺にばかり管理局から仕事が回されて来る事になり、鍛冶屋としての作業が出来なくなったり、旅団員の装備も錬成出来なくなるかもしれんぞ、と脅す。

 そう宣言すると、さすがに旅団員の間からざわめきが起こる。確かにそれは問題だと話し合う一方で、リトキスが冷静な口調で喋り出した。


「確かに旅団長一人で、いくつもの作業をこなすのは無理でしょう。ですからここは、助手を雇うべきではないでしょうか。将来、鍛冶屋を引き継いでくれそうな若手を育てる事も、職人の責務ですから」

 リトキスはそれよりも、神々の力を増幅して、新たな転移門を開放する可能性が増える事の方が重要だ。と言って、俺の尻を蹴り上げる様な事を口にする。


 いずれ俺は管理局から送られてくる神貴鉄鋼と、各冒険者が持ち込んで来る錬成品や、素材に押し潰されて死んでしまうかもしれない。

 そんな恐怖が脳裏をぎり、その日の夜は打っても打っても無くならない金属の延べ棒と、うずたかく積み上げられた武器や防具が雪崩を起こし、俺を潰してしまう悪夢を見て、目が覚めた──

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