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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第三章 秩序と断罪

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南瓜を使った焼き菓子を作る

またしても日常回、焼き菓子職人化するオーディスワイア。

早く鍛冶屋が改築されないと……


 宿舎に戻ると、まずは素材置き場に錬金術用に買って来た素材を置いて、それから南瓜かぼちゃを持って調理場に向かう。

 調理場にはユナが居た。彼女もどうやらお菓子を焼いていたらしく、辺りは甘い香りに満ちていた。


「あ、オーディスワイアさん。どうしたんですか? その南瓜」

「ああ、どこかの砂糖中毒者に砂糖の代わりになる物をと思ってね」

 と俺が言うと「さ、砂糖中毒者ですか」と、苦笑いする。

「そっちこそ、お菓子を焼いているのか」

「ええ、私とメイの二人でお金を出し合って、砂糖を買って来たんです。──少量ですけれど」

 そう言った彼女は、南瓜を砂糖の代わりにする。という俺の作る物に興味を持ったようだ。


「もちろん甘みも足すが、野菜の持つ甘みや香りを生かす為に、蜂蜜を少量使うだけで済むからな」

 まあ牛酪バターと小麦粉は使うがな……と、材料を運んで来る。

 ユナは天火オーブン固焼き菓子(クッキー)を焼いているので、こちらは柔らかい焼き菓子を作ろうと卵を泡立て、小麦粉と一緒に重曹じゅうそうふるいに掛けて、牛酪を加え木べらで切る様に混ぜ合わせる。──牛乳と蜂蜜を加えながら、蒸した南瓜の皮を細かく刻んで置き、柔らかい身の部分を生地に混ぜ込んで行く。


 生地を寝かせている間に、細かく刻んだ南瓜の皮と種を浅鍋フライパンで軽く炒って、それを冷ましてから生地に加え、混ぜながら長方形の金型に流し込んでおく。

 金型二つ分の物を用意すると、ユナの固焼き菓子が焼き上がったので、こちらの焼き菓子を天火に入れる。

 彼女の焼き上がった固焼き菓子を味見するかと言われたので、出来立ての物を二つに割って食べてみた。それはほんのりと甘く、牛酪と小麦の香りがする美味しい焼き菓子だった。


 金型の中で膨らんできた焼き菓子を見ていると、リーファが調理場にやって来て、手にしていた食材を調理台に並べる。

「お菓子ですか。あまりお菓子にばかり小麦粉を使われると、パンも焼けなくなりますよ」と、もっともなお叱りを受けてしまう。


 リーファは少し早いが、夕食の仕込みを先にやっておくようだ。彼女は率先して食事当番を引き受けているので助かっている。


 焼き菓子が焼き上がる頃に仲間達が帰って来た。取って来るよう頼んでおいた素材は、一つも欠ける事無く入手できたらしい、優秀な旅団員達である。

 メイが調理場に飛んで来た。匂いを嗅ぎつけたのか、焼き菓子を入れた金型と固焼き菓子を乗せた皿の前で待機し、俺とユナの顔を見る。──「食後に」という言葉を言うと少女は、がっくりと項垂うなだれながらも「はい」と返事した。


 食前に少し訓練を行いながら、今回の冒険での話を聞き出した。カーリアやメイ、エウラやカムイらも、熱心に木剣を使った訓練に励む。

 カムイは以前と比べると格段に強くなり、今ではエウラに追いつきそうなほどの地力を付けてきていた。

 俺はカムイと戦闘訓練をしたが、剣技を使わなければ勝てない、そう思わせる動きをする様になった。──それは特にエウラと、リトキスから吸収したものだろう。レーチェと訓練していてもカムイは以前の様には下がらない。

 レーチェ自身も、まだまだ強くなり続けており、この旅団には大きな可能性があると、つくづく思わされる。


 食堂に集まると俺はその話をして、もっと自分達の可能性を追い求めて行くよう伝え、食事にする事にした。

 今回はパンの量が少ないが、パンの間に薫製肉や野菜がぎっしりと詰め込まれた物や、馬鈴薯じゃがいもなどが多めに出され、食後には焼き菓子二種類があるぞと言うと、メイが特別喜びをあらわにする。


 ユナの作った固焼き菓子も美味しいと評判だったが、俺の作った南瓜入り焼き菓子(ケーキ)を切り分けると、一切れ食べた者が、次々にもう一切れと手を伸ばし、かなりの量があったのにもう残りわずかになってしまう。


「甘さ控えめで美味しい」とエウラが言い、レーチェやリーファは「中に入った種と皮が香ばしい」と誉める。ユナやメイにも甘さを控えた物だというのに、好評であったようだ。

 ウリスは木の実を入れた物を作って欲しいと言って、今度実家の「ペルム」に戻ったら、木の実と乾燥果物を手に入れて来ると言い出した。

 彼女もなかなかの甘党だったのか……

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