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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第三章 秩序と断罪

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誤解をする者、招く者

 ずぶ濡れの髪を早く洗いたいと言うカーリア。それはこちらも同じだ。あんな()()()()()水をぶっ掛けられて喜ぶ奴は居ない。

「だいたいお前のせいだろうが」

 そう言うと少女は「うぐっ」と口走って駆け出す。いち早く戻って風呂で髪や体を洗いたいのだろう、それはこちらも同じだが、……一緒に入る訳にもいかないだろう。俺は正直言ってロリ体型に用は無いのだが──世間様の風当たりは、そんな主義主張とは関係が無いものだからな。注意するに越した事は無い。

 庭で頭を水で洗っておこう。……そんな風に思いながら宿舎まで戻る。


 宿舎近くの鍛冶屋を改築する為に取り壊された建物は、まだ一軒分である。次はその隣の建物だ。まだ四分の一か、先は長そうだ──


 宿舎に入ると二階から、着替えなどを手にしたカーリアが降りて来たところだ。少女は汚れた魔女っ子衣装の予備らしい物も、かごの中に入れて運んでいる。

「用意周到な事で」

 俺がそう言って部屋に入ろうとすると、少女が言った。


「オーディス旅団長……()()()()()?」

 おおっと、そう来たか……いや、どう来たって⁉ 少女はもじもじと顔を赤らめながら続けて言う。

「ほら、早く洗いたいだろうし、私なら別に──一緒に入るだけなら、き、気にしないから」

 いや、目茶苦茶気にしてますけど。

 俺は努めて冷静に言った。

「俺は後でいいから、あ──けど、早めに出てくれよ?」


 俺はそう声を掛けると部屋に入り、着替えや体を洗う道具を用意する。それにしてもカーリアがあんな事を言ってくるとは思わなかった、父親の様に思っているのだろうか、その可能性はある。

 しかし少女の羞恥心しゅうちしんはよく分からん。まあ、ただ単に汚水で汚れた事に責任を感じての発言だろう。と考える事にして庭に出ると、水を汲んだ桶を置いて頭を洗っておく、冷たいが仕方が無い。

 汚れが取れればそれでいい、濡れた上着は洗濯籠に入れておき、ズボンは後で入れる事にしよう。まさか下着姿で彷徨うろつく訳にもいくまい。


 庭で頭を洗って乾かしていると猫がやって来た。今日は壁の上を歩いて行き、日の当たる場所に腰を落ち着けると、そのまま動かなくなった。

 まさか臭い匂いを嗅ぎ取って近づきたくないのだろうか?

「ゲロ以下の臭いがするぜぇぇぇ──⁉」とか思っているのだろうか、猫の気持ちも分からない……


 しばらくするとカーリアが出て来たので、風呂場に入って体や頭を洗い直し、すぐに出ると新しい服を着て、昼食の用意をする事にした。


 昼食は鶏肉を焼いた物と味付け卵焼き(オムレツ)に、パンと生野菜料理サラダを出した。それらと紅茶を飲み食いしながら、カーリアの今後の役割について話しておく。

 彼女はこれからは前線に立ち、先手を打って攻撃するか、仲間が攻撃している敵の側面などから、()()()()()()()()()形で、魔法剣の強力な攻撃をぶつけていく戦い方になるだろう。


「『爆裂剣』を使わずに、属性魔法を掛けた斬撃強化でも充分に戦えるはずだ。剣圧に魔法剣を乗せる事で威力が倍加するから、隙を見つけたら狙っていけ」

 食後は小休止を取り庭に出る、すると猫が壁際の寝床で休んでいた。ここは日当たりも良く柔らかい布も敷いてあるので、気に入っている様子だ。


 一休みした後は木剣でカーリアと剣の稽古をした。多少は動きが良くなったが、まだまだだ。戦闘の駆け引きというものにまで、気が回らないようだ。戦闘の中でも落ち着いて冷静に頭を使って、考えながら戦う事を身に付けるよう言い聞かせながら、時間を掛けて彼女の訓練に付き合った。


 午後になりレーチェ達が帰って来た。リトキスも一緒だった為に、予定よりも早く目的を達成して戻って来たらしい。

「あら? 二人共、朝と衣服が違いますわね? まさか……」

「いやいや、なにが『まさか』だ、んな訳あるか。魔法剣の練習でカーリアがやらかしたんだよ」

 と、「爆裂剣」の練習中にカーリアが、偶然に「爆裂斬」を編み出した事を説明する。


「ああ、それなら僕達も使っていますよ」

「あぇ?」俺は首を傾げた。

「今日はその実戦訓練を兼ねて、飛ばした斬撃を爆発させる戦い方と、剣先から爆発を放つ戦い方を使って、仲間とどの様な戦い方をするか、その研究をしていました」


 リトキスは実戦で得られた戦い方を紙に纏めて、旅団員全員で戦略を考えていこうとしているのだ。残念ながらカーリアの手柄は、その価値が薄れてしまったが、少女は確かな一歩を踏み締め。さらに強くなるよう、仲間達からも求められているのを再確認する事になった。

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