表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第三章 秩序と断罪

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/585

魔法剣士カーリアの魔法剣

シリーズ名『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》と登場人物の設定が読めるものを投稿したのでそちらも読んでもらえると嬉しいです。

 市外訓練場という名の、未開発地区へカーリアと共にやって来た。土地が痩せていて使い物にならない地区という事らしいが、そのうち環境も変わっていくかもしれない。──場所にもよるが有機ゴミを焼いた物を撒くなどして、土地を復活させた地域もあると聞く。


 訓練場と言っても丘や水溜まりがあるだけの空地だ、ぼろぼろになったわらや木で作った人型が立てられているが、その他には朽ちた木などが無造作に置かれているだけだ。

「よし、あの木を使おう」

 周囲に数人の冒険者が居るが問題は無い。すでに魔法剣の情報は解禁してある。

 俺は持って来た大剣で木材を叩き斬ると、いくつかを転がして水溜まり──ここは池か?──の手前に一本立てて置く。


「いいか、魔法剣は剣から飛ぶ刃として魔法の斬撃を放つだけじゃない、特にカーリアは大振りで重い一撃を放つ様な剣の使い方をする。それならいっそ、一撃で敵を倒す俺のやり方を真似した方がいいかもしれん」

 大剣を構えながら少女に講義を聞かせる。

「剣に魔法の刃を宿したら、剣の振るその重さ──剣の斬撃に、魔法の爆発を乗せる心象イメージで攻撃してみろ、剣がぶつかる力に、魔法の威力が追撃する様な感じだ。いいか、見ていろ」


 俺はそう言うと、立てた丸太の前で大剣を構え、一歩を踏み込もうとし、義足の右足がずるっとすべって膝を突いてしまった。

「……今のは、無し」


 今度は踏み込みを小さくして、剣を腰の回転と腕の振りだけで振り抜きながら攻撃する。──丸太に大剣がぶつかった瞬間に丸太は砕け、背後の水溜まり(池と呼んでいい深さがある)が凄まじい水飛沫(しぶき)を上げた。衝撃音も周囲に鳴り響いて、遠くに居た若い冒険者達も何事かと、こちらを見ている。


「よし、やってみろ」

 振り返ってそう言うと、カーリアは腰から下げた剣を抜き、剣を振り下ろして心象訓練イメージトレーニングを始める。

 俺は池の前に丸太を置いて彼女に声を掛ける。


「爆発だぞ、爆発。魔法剣は爆発だっ! ほら、言ってみろ!」

「ま、魔法剣は爆発だ!」

「よーし、いいぞ! 打ち砕け!」

 俺はカーリアを乗せる様に、大きな声で彼女を鼓舞こぶする。


 カーリアは魔法の剣に火の刃をまとわせると、一歩踏み込んで力一杯剣をふりおろした。剣が丸太にぶつかると、大きな斬撃が丸太を引き裂いて飛び、丸太を燃やして真っ二つにし、後ろにある池を大きく引き裂いて、池の中の地面に火の刃がぶち当たると爆発し、俺とカーリアの立つ方に向かって水飛沫が盛大に噴き上がった。


「ばっ、ばか! ()()()()()()を爆発させるんじゃない──! いや! これはこれでいい! よくやったぞ!」

 俺は彼女を元気づける為にそう言ったが、二人はずぶ濡れだ。しかも汚い泥水だ、誰かが小便を入れた可能性もある。そう考えると萎えちん(意味不明)だ。


 ひとまず体に降り掛かった水を拭うと、もう一度話し合う。

「今の、斬撃を爆発させるのも覚えておけ、これからの戦いで使い分けるんだ、仲間を巻き込まないようにな。俺が撃った時は、こちら側には水が飛んで来なかっただろう? それは振り抜いた剣の先から、爆発が起こる様な心象で放たれているからだ。()()()()()()()()()、そんな感じでもう一回やってみろ」

 そう言うとカーリア立たせて、丸太をさっきと同じ様に池の前に立てる。


 ──周囲に居た連中が集まって来てしまった。魔法の練習をしているのかと思ったのだろう、俺達の前には行かずに、後ろに回り込んで話し掛けて来た。

「なんの練習ですか? 魔法──? なのに剣を使うんですか?」

「魔法剣だ。カーリア、気にせずぶちかませ」

 四、五人の若者は「魔法剣てなんだ?」とか言って首を傾げている。

 カーリアは外野よりも衣服がまた汚れ無い様に、とでも考えているのか、とても集中している。


「はぁぁぁあっ!」

 剣に火の刃を纏わせ、彼女が大きく踏み込んで放った一撃が、周囲を震わす大きな爆発音を響かせた。剣から放たれた炎の爆発を受けて丸太は木っ端微塵(こっぱみじん)に打ち砕かれ、周囲に火の燃えかすとなって飛び散り、池の水は火の凄まじい爆裂を受けて、一部が蒸発しながら大きな水飛沫を上げた。

 泥水は俺達の居る方には飛び散る事無く、少女の前方に向かって破壊の一撃を撃ち出し、池の一部を打ち砕いて広げてしまった。


「よぉし! いいぞ! 成功だ!」

 俺とカーリアは手を叩き合って喜び、周囲で見ていた若い冒険者達に「これが魔法剣だ!」と、高らかに宣言したのである。


 その後もカーリアは各属性を使った魔法剣で「爆裂剣」を打ち出し続けた。周りで見ていた若者達には俺から魔法剣について説明し、特殊な魔法の剣を錬成する事で、剣に魔法の刃を展開して使うのだと言うと、どれくらいで買えるのかと尋ねてくるので、残念ながらそう簡単に買える物では無いと言っておく。


 妙な期待は禁物だ。着実に行けと言ってその場は解散となった。カーリアもかなり「爆裂剣」と「爆裂斬」(「飛翔斬」の刃がぶつかると爆発する魔法剣)を使いこなせてきたが、どちらも斬撃を飛ばすだけのものよりも魔力の消費が大きいらしい、俺はずぶ濡れの少女を連れてミスランまで帰る事となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ