不正者の旅団
ユナ達を「深緑の大地」に送ってから俺は、管理局から届いた食料を、地下の食料庫に運び込む作業に一人で没頭した。人数も増えた為かなりの量だ。
皆は冒険や木の伐採へ向かってしまった為に、たった一人で行っているのだ。
地下室から戻って庭に積み重なる木箱を見ると、その上に白い猫が日向ぼっこしていた。俺の顔を見ると「にゃぁ──」と鳴き声を上げて煮干しを求めたが、今は食料を運び込む事にした。──その帰りに牛乳と、煮干しを手にして庭に出ると、猫は木箱から飛び降りて、建物近くにある猫用の食事場(簡易寝床付き)まで、駆け寄って来た。
「現金な奴だな」
そんな事もありつつ。荷物を食料庫へだいたい運び終わると、外へ昼食を食べに行く事にした。今回は少し用事もある。
若い冒険者見習い達が集まるような料理屋に来た。おすすめ料理を注文し、給仕に若手から搾取するような旅団があるらしいが、聞いた事はあるかと尋ねてみた。
五十近い女は「ああ……」と小声になると、色々と偽名を使って勧誘しているみたいだから、なかなか尻尾を掴ませないけれど、時間の問題でしょうと言った。
どうやら昨日来た管理局の連中が、犯罪の一部を突き止めたらしい。
旅団の登録申請をして食料を不正に(他の旅団に入った団員と同一人物を登録して)多く、受け取っていた事が発覚したのだ。
それでその旅団の拠点に踏み込んだが、もぬけの殻だったと言う。
少なくとも、その旅団に食料が奪われる事は無くなったが、その為にそいつらは、別の強行手段に打って出るかもしれない、そんな不安を給仕は口にした。
確かにそうだ。管理局の手から逃れたが、食料を手に入れる為に、そいつらは、良からぬ事を企てるかもしれない。
もし管理局が、そいつらの情報を先に手に入れていれば、問題の解決はすぐそこだろうが、まだ足跡も見つけていなかったら、今回の問題で被害が広がってしまう可能性もある。
自分勝手で愚かな不正者共を一網打尽にするには、そいつらの本当の拠点を割り出す事だが……
料理屋で食べた昼食は割と美味しかった。なんだか懐かしい味のする、トマトを使った麺料理などを食べて宿舎に戻ると、まだ猫が居た。エウラが用意した、木の板と布で作った簡易寝床を気に入ったらしい。
俺は残りの食料を地下へと運び込んで、庭にある椅子とテーブルで紅茶を飲む事にした。一休みすると、錬成台を開け放した倉庫の中に置いて、冒険に使う道具の補充をしておいた。
結構長い間集中して作業に没頭していたらしい、仲間達が帰って来てしまった。ユナ達の樹木伐採に向かったパーティだ。
「オーディスワイアさんの言う通りにしたら、魔法の効果が下がるような事も無く、簡単に伐る事が出来ました。やっぱり木の精霊とも話さないといけないんですね、木には申し訳ないですけど」
「そうだな、だから大切に使わないといけないな」
エアとレンが荷物を持って近づいて来た。彼らは妖樹の枝や、豹の毛皮を手に入れたと報告する。
「豹は怖かったです……僕も盾を持った戦い方を学ぶ必要があると思いました……」
とレンが言えば。
「そうね、獣には槍の方が安心かも、突然突進されても、両手で持った槍は穂先で突いて押し返せるし。剣じゃ振りかぶる余裕なんて無いでしょ」
エアはそう言って、後方から素早く援護に回った自分の動きを、得意げに見せてくる。
「二人とも、よくやったようだな。上出来だ」
リーファは食料を地下まで運んだ事に礼を言い、この前の分の食材を使って、腕を振るいましょうと告げて調理場へ向かう。
俺は少し気分を変えようと調理場へ向かい。木苺を使った焼き菓子を作って(少し機嫌の悪かった)、メイを喜ばせようと考えた。俺は料理だけでなく、意外に思われるかもしれないが、菓子作りにも一家言ある男なのだ。
いくつかの文を修正しました、足らない箇所は付け足しました。
一家言……結構長い間「いっかごん」と思い込んでいたので、ルビ振っときました(笑)。




