緊急任務・木の伐採
総合評価500突破! ありがとうございます!
そしていつの間にか100部突破していました。
これからもよろしくお願いしまーす!
今回の話は横道ですね、自分の書くものはこういった「主人公以外の場所で起こる出来事」にも注意を向けてもらいたいと思って書いています。主人公達以外にも多くの人が住んでいる世界なのですから。
管理局の方から緊急任務が出された。なんでも保管していた木材が、建物ごと火事で焼失してしまったらしい。まだ資材は残されている(保管場所が異なる)と管理局は説明したが、市民からは「これ管理局の怠慢じゃね?」みたいな不満も耳にした。
だが生憎、うちには樵が居ないのだ。──いや、管理局だって旅団に木こりが居ると思っている訳では無い。多くの場合、木こりを「深緑の大地」で護衛しろ、という意味だ。
ちなみに、魔法で木を伐った方が早いと思った人、ある意味その通りだが、ある意味不正解。
何故なら属性魔法で木を伐り倒そうとすると、その効果が格段に弱まるからだ。風の精霊や木の精霊が反発して木を守るからだと言われているが、詳しい事は分かっていない。しかし俺はこの答えが正解だと思っている。
だが中には、魔法を集中して使う事で、一撃で木の幹を切断する強者も居るらしい。そういった魔法使いは重宝されているのだ。管理局もそういった連中には真っ先に声を掛けに行った事だろう。
「あ、うちにも居るじゃん」
そう言ってユナを見る。
「わ、私ですか」
さすが素直な少女、俺だったら見られた時に後ろを振り返っていただろう。
「管理局に恩を売って来いなんて言わないから、ほんと、言わないから。魔法で木を伐って来て?」
「言い方! そんな風に圧力を掛けるものじゃありませんわ」
とレーチェが割って入る。ちょっとした冗談なのに……
「けれど、必要な事ですわ。行ってくださいますか?」
副団長の言葉に「わかりました」と答えるユナ。俺は頷き、エアとレン、それにリーファを護衛につける事にした。
「深緑の大地」は豹や虎が出るので危険なのだ。「森巨人」や「妖樹」なども出現する。
メイは自分も護衛にと名乗り出たが、ここはリーファに任せておけと言って彼女を止める。
これは最近ユナとメイばかりを一緒にさせない為でもある。あまり決まった相手とだけ行動させるのは望ましくない、あらゆる状況に対応できてこそ一人前なのだから。
メイほどの実力があれば、どの旅団でも通用すると考えるからこその判断だった。──少女は不服そうだったが。
いつかはこの事を少女に伝えなければならないだろう。いつまでも同じ友とだけ、冒険に行き続けられるとは限らない。信頼できる仲間とは得難いものだが、あまりに執着し過ぎても駄目なのだ。
そういった均衡の事を、まだまだ幼い彼女に苦言を呈しても、受け入れられはしないだろうが、いつかは必ずその局面に突き当たり悩むものだ。人間なのだから。
「あ、それとユナ」
俺は少女に声を掛けた。
「はいっ」
なにやら気合いを入れてらっしゃるご様子で、ユナは力強く返事した。
(これは空回りするぱてぃーんですね、わかります……)
俺は少女の顔をじっと見ながら少し考えた。
「な、なんでしょう……?」
ユナが見上げた顔を少し背ける。
「いいか、ユナ。木を伐り倒す前に心の中でもいいから、木に、木の精霊にこう訴えろ。『木の精霊、ごめんなさい。あなたを伐り倒し、持ち帰る事をお許しください』こんな感じでだ。精霊に許しを求める事で、魔法の効果を妨害されないかもしれない」
俺の言葉に少女は「な、なるほど」と声を漏らす。あくまで精霊に訴え掛ける事が必要だ、魔法の効果が樹木などに効果が下がるのは、精霊同士の反応だと思われる。
ただ、「四大精霊の加護」を持ち、強力な魔法強化性能を持つ昇華錬成の腕輪を持つ彼女の力なら、そんな事をまるで無視して(力任せに)伐り倒せるかもしれないが。




