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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第三章 秩序と断罪

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三人の美人冒険者の話

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「『三人の強い人』で思い出しました。皆さんは『三美人の冒険者』って聞いた事がありますか?」

 エウラのその言葉に反応したのはエアネルだった。その人達なら都市ゲーシオンにも来たと話す。

「私達の入っていた旅団とは別の旅団と共同で活動したと聞いたけど、どういう人達だったのかは見た事が無い」

 そんな冒険者達が居るのか、旅団には入っていないのか、そう尋ねる。


「旅団には入っていないらしいです。各地を渡り歩いて転移門を旅して回る『()()()』みたいですね、でもかなり強いらしいですよ。衣服も奇抜らしくて……エルニスの──ほら、レーチェさんが着ているあの防刃服、あれを着ているらしいですね」

 なんだと! あの()()()()()をした三美人! これは是非会ってみたい! 俺は声には出さずにそう決意し、どういった構成(武器や職業)なのかと尋ねる。


「大剣を使う戦士と、長剣を使う剣士、手斧を二本使う戦士の三人で、その三人は魔法も得意らしいですね。噂程度の情報ですが」

 全員魔法戦士か、しかし二本の手斧使いとは……いったい、どんな戦い方をするのか気になる。──しかしそれよりも、その美人達がどの程度レベルの美人なのかが気になってしまう。


「強さと言えばミスランでは『蒼髪の天女旅団』のアラストラ、エイガーの名前をよく耳にします。『金色狼こんじきおおかみの旅団』ではアートアデイン、ウィルザールの二名ですね。お二人はご存じですよね?」

 俺とリトキスは頷く、ウィルザールの事はよく知らないが、アートアデインは俺が旅団に居た頃から活躍していた奴だ。あまり頭の回る奴ではなく、寡黙かもくな奴だった、という印象しかないが。


「詳しいですねエウラさん。「金色狼」のレオシェルドやキャスティについては、何か聞いていませんか?」

 リトキスが尋ねると彼女は笑顔で「ああ」と口にする。

「そのお二人は有名だったみたいですね、半年前くらいに『金色狼の旅団』は辞められたみたいですけど」

 彼女の言葉にリトキスは少し食いついた、辞めた理由などを聞こうとしたが、エウラはその事についての情報までは持っていなかったのだ。


 リトキスは俺の顔を見たが、俺は首を横に振った。──レオに関しては義理堅い奴だから、今まで「金色狼」に残っていたのだろうと推測はできるが、キャスの場合は義理人情では動かない。──どちらかといえば合理的な所があった女だ。報酬の事で揉めたとかか? その可能性はある。


「旅団長は『金色狼の旅団』で誰の事を思い出しますか? 三勇士とリトキスさん以外で」

 とエウラは興味津々の面持ちで尋ねて来る。少し酒の回った頭で考えてみる。


「今言ったレオやキャスの話を聞いた後だと、イヴァやロザンド、アウシェかな。アウシェーヴィア! あいつはリゼミラの弟子みたいな女で、リゼミラが抜けたのと同時に『金色狼』を出て行ったらしいが、──なんか聞いてるか?」

 そうリトキスに話題を振ったが、奴は首を横に振る。


「各地を回って色々な冒険者と組みましたけど、アウシェーヴィアさんの名前は聞きませんでしたね。……イヴァニクスさんとロザンディードさんは、結婚したと聞きましたが」

「マヂか、絶対イヴァの奴は尻に敷かれているだろうな。りに選ってロザンドと! 墓穴はかあなに自分から片足を突っ込みに行くとは思わなかったわ」

 俺が言うとリトキスは困った様な顔をして見せる。


「それは言い過ぎですよ。あの人、オーディスワイアさんの事を好きだったから──あ。」

 一瞬、食堂を天使が通過した。


「あいつが、俺をねぇ……ないない。それ無いわぁ──」

 酒が回ってきて程よく酔ったところで、眠気も襲ってくる。

 その日は適当に翌日の予定を立てて、夕食後の会議は終了した。

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