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第36話言いたかった言葉

裁判の仕事で毎日弁護士事務所を走り回る日が続いています。

相変わらず抗がん剤の副作用は続いています。

入社初めて、社長室に2時間も呼ばれて、意見を求められました。

「どうかね、裁判の方は?」

「まだ半分も資料を見れていませんが、今のままではお金ばかりかかって勝訴は難しいですね」

正直な話をしました。

「順調に進んでいると専務は言っていたが?」

私は最近交渉している弁護士の意見をまとめたもの見せます。

「そもそも裁判を始める時に、方針が決められずにただだらだらと続けている感じです」

今日は2時間を精一杯我慢しています。

こういう大事なときに席を外せない!

ほとんど全身が痛みでしびれた状態になっています。

「分かった。一度裁判ごとの意見を提出してくれ」

部屋を出る時には眩暈を起こすような気がしました。

でも気持ち的にはほっとしています。

せっかく会社に入ったのだから、少しでも役に立ちたいのです。

家に帰った時に、女房に

「パートは辞めたらいいよ」

言いたかった言葉を口にしました。

それは私がこの痛みに耐え抜く宣言でもありました。

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