第309話分かれ道
ようやく障害年金の2級確定の通知が来ました。
これで少し生活が楽になりました。
でもこれでもまだまだ残りの人生は見えません。
労働裁判はそう簡単には終わりそうありません。
シニアNPOの砂栽培のハウスも完成したようで農業訓練の校長と中を覗きます。
「凄いもんやなあ」
「助成金と融資は私の得意分野ですから」
「あの時頼っていればよかったなあ。生徒という見方が抜けなかったよ」
「いえ、あの時は今のような意欲も元気もなかったですから」
労働審判が暗礁に乗り上げ、また一から一般裁判を始める結果になり、透析の覚悟もできていませんでした。
「そちらの教室はどうなんですか?」
「3つぐらいあるコースも人が集まらないうちに、毎月貯金を取り崩しているよ。また昔のブドウ栽培に戻ろうか迷っている。今回の半農半xの教室が最後の勝負だな。もう一人の若い弟子もほとんどここで拾って貰ったようなものだ」
「このハウスでは?」
「彼がイチゴの栽培を考えている。それで教室の授業で植え付けをやろうと準備をしている」
「私も参加したいですね」
「一人IT社長がパワーポイントの打ち合わせに昨日来てたよ」
シニアNPOの教室の窓から理事長が手を振っています。
どうも晩酌のお誘いです。




