第297話うんざり!
「また証拠探しなの?」
女房に言われて憂鬱な顔をあげます。
今日は透析の休み日で朝からパソコンの中の過去のデーターを探し出します。
「そんなに反論て出るものなの?」
「懲戒解雇にできる要件をすべて出してきてるんだ。証拠を提出しないで言うだけ言う。そのたびにこうして反論の証拠を探す。全く不毛な戦いだよ」
「何のための弁護士なの?」
「彼では反論はできないよ。それだけ専門的な知識がいる。案外弁護士も裁判官も社会的常識が通じないからそこをどう説明するか避けるかポイントなんだ」
「避ける?」
「そう。専門的な議論になると理解されないことが多い。そこで争うとすると不利な結果になることが」
「困ったことね」
今回は私ですら忘れてしまっていた出向先での人材派遣会社の新設を親会社に対する権限違反と言ってきています。
「権限違反になる?」と言う当方の弁護士からまず説明が入ります。
本来20%の持ち主の親会社に承認のいる作業ではなく、40%の子会社社長の決裁で充分なのですが…。
でも今までの裁判の経験から私は親会社の承認を取って人材派遣会社の新設を行いました。
それに念を入れて顧問弁護士を入れて税務署からの当時の人材派遣会社の問題点を協議しました。
この人材派遣会社は派遣免許がなく当初から2年半も社員全員の住民税が不払いなのです。
こういう作業の1部は報告書で提出済ですし、顧問弁護士の意見もそこに入っています。
でも相手の弁護士は常に報告書を見たこともないそんな顧問弁護士も知らないときます。
ここに来てようやく私のスケジュールや報告書の存在が裁判所で認められてきました。
でもこれはすでに刑事訴訟や他の民事訴訟ではベースの証拠として採用されています。
全くうんざりです!




