第236話様子見
珍しく相棒の部長から農業訓練に向かう途中に携帯がありました。
久しぶりなのでなんだか懐かしい気がするのはどういうわけでしょうか。
「体調はどうですか?」
彼は私が血尿と排尿痛で30分もトイレが我慢できなかった頃を唯一知っている一人です。
「不動産部長からあの工事課長が裏切ったと大変なのですわ」
「もう少し詳しく」
教室に向かう道を歩きながら話をします。
「保険金の刑事告発に対して、本社側が工事課長の調書を出してきたんですよ。保険金の申請は総務部長の指示で行ったということ、現場には工事課の2人と代理店で適正に現場を調べたと言ってるんや。彼奴金をもらったったんだ」
「だろうな」
「何かいい方法はないのですか?」
それは工事課長の部下の彼女しかありませんが、彼に対してそこまでする義理はありません。
「様子見だな」
話し中に先輩のシニアNPOの理事長から留守電が入っています。
「すいません。電話をただいていたようで」
「昨日あのバカ事務長が来たよ。試着アンケートは自分のNPOに権利があるって言うんだ。それで契約書を持って来いと言ってやったよ。50人に調査票と試着の靴が届いた。また君と仕事ができるのは楽しみだ」
私も妙にうきうきしています。




