第226話踏絵
今日はシニアNPOの談話室で人事部長に出す提案書を書き上げてメールで送りました。
第2の人生の足掛かりにでもなったらと言う淡い気持ちです。
今日は不動産事業部の彼女の紹介で経理課にいた係長に会います。
「久しぶりですね」
「申し訳ありません。専務の懲戒解雇に知らん顔していてすいません」
「いえ、残った社員としては仕方がなかったと思います」
ブラック企業では踏絵のようなものです。
「私も1週間前に国税に呼ばれました。すでに退職していたのですが、経理課長がホテルは自分は関わっていないと」
「やはり調査が入りましたか?」
「ホテルの固定資産の減価償却について聞かれました。あれはホテルの方で借り入れになっていたのですね?全く知りませんでした」
「それに経理課長とも是非会ってくれと言われて会いました」
「まだ残っているのですね?」
「今月中に退職すると言ってました。どうも脱税の指南役の首班と社長に言われたそうです。専務には申し訳なかったと伝えてほしいと言われています」
「彼の名前で私が仕事ができなかったという調書が労働裁判で出ています」
「あれは総務部長が文章を作って見本で回していたのです」




