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第157話記憶はあてにならない

今日はハローワークに3か月がたったので支払いが始まる前の呼び出しです。

「裁判の進捗は?」

「1回目の期日がもうすぐ来ます」

「分かりました。今回は係争中ということで仮払いになります。それで後日仮払いを返却すると誓約書を入れていただくことになります」

雇用保険の時は会社の出した離職票に従うと言われ、今回は返却の誓約書を入れさせられます。

どうも納得がゆきません。

「勝訴の場合ですか?」

「いえ、和解についても同様に返済をしてもらいます」

「それを入れたら失業保険が新たに受けられるのですか?」

「企業側が失業保険の支払いをしてもらって・・・」

それはないことです。この辺りになると説明が急に曖昧になります。

ソファに戻ると、相棒の部長から携帯が入ります。

「先ほどまでY署に呼ばれていました。息子の証言の裏付けを言われています。20日の拘留が決まったようです」

「明日には呼ばれるな」

「間違いないですよ。会社の印鑑を引き渡した日を聞かれますよ。どうも記憶が怪しくなっているのです。ホテルの社長が引き渡しした日は一番早く、本社が受け取ったという日はそれよりも2か月後です。私はその中間ですが自信がありません」

人間の記憶とはあやふやなものです。

これは前の会社でもこの記憶で大きな事件になりました。

もう一度USBで自分のスケジュールを調べておいたほうがよさそうです。


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