第151話落とし穴
今日も朝から呼ばれるかと腹をくくって準備しています。
そしたら「今日は部長に来てもらう」と暴対刑事から連絡です。
それで急遽、職業訓練の教室に出かけました。
やはり警察のことが気にかかります。
昼の時間にホテルの社長から携帯がほしいと留守電が入っていました。
「被告の腹はできた。今日は2時にY署の暴対刑事に呼ばれている」
「朝からは部長が呼ばれています」
「いよいよ詰めて来たな。知能犯の乗っ取りと暴力的な抗争とが警察内で揉めているようだよ。あちこちからの証言が集められているが、かなり食い違う証言が大きそうだ」
「親父さんとは?」
「中途半端な対応をしたことは謝った。でも敵対するつもりはなかったことを説明した」
「社長は?」
「きっと1か月のうちに辞めることになる。刑事訴訟では完全に被告だよ。でもこれだけは言いたくて電話した。私と専務は心からホテルを良くしようとして力を合わせてきた。それだけ伝えたくて」
「それは同じです」
私はホテルに出向していろいろ調べて再建の方向性が見えてきていました。ホテルの現場について、私は素人だったので社長と組む方向を選んだ。それが本社の将来利益につながると信じていました。でも長年の足の引っ張り合いの社員体質が今回の事件を作り出したと思うのです。それの上に胡坐をかいている社長も自業自得です。
でもこの落とし穴はどこに繋がっていくのだろうか?




