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第十一話 外の情報

 スタッフルームは更衣室なんかと併設へいせつしているようで、思った以上に広かった。

 左手側に更衣室があり、そこは男女にわかれている。

 更衣室はあとで探すとして、まずは右手側のスタッフルームに向かう。

 ざっと見た感じ、起動しっぱなしのパソコンがあるデスクにプリンター。スチール製の棚には書類なんかが並び、簡易のロッカー的なものもある。

 デスクの上には見慣れない機械がある。見た感じでは、横長で平べったいDVDプレイヤーって感じだな。

 スピーカーなどで使うのに似たつまみと、デジタルの数字が表示される液晶画面があり、今は現在時刻が表示されているようだ。

「うーん、コレが店内のか?」

 試しに、右隅の電源ボタンを押して見る。まさか、いきなり爆発するトラップなんて事はないだろうしな。

「おっ?」

 遠くから聞こえていた音楽が途絶えた。どうやら、あたりだったようだ。

 よしよし、後はゾンビを集める方法とそいつ等を始末するか動かさない手段だな。まあ、それは後回しだ。

 今は、ソレよりも気になる事がある。

 つきっぱなしのパソコンの前に座る。デスクが揺れたのか、マウスが衝撃で動いたのかスクリーンセーバーが解除された。

 やや時間がたって、表示されたのは初期から変更されてなさそうなデスクトップだった。置かれたアイコンは、計算ソフトやシフト管理へのショートカットなどだ。

 とはいえ、そのへんは俺には関係ないので捨て置く。まず見るべきは、インターネットだ。

 初期搭載のブラウザを立ち上げる。あんまり使わないやつだけど、そうそうに操作方法は変わらないからな。

 出来れば、ここで情報が欲しいけどどうかな。

 祈るような気持ちで、検索バーに言葉を打ち込んだ。





『ゾンビ 現実』

 まず入力したのは、現状が世間にどう思われているのか探れそううな言葉だ。

 どうやら、世間的に連日放送するレベルの事件として扱われているようだ。ある意味では有り難い。情報規制されてたら、これ以上の情報は知りようがなかった。

 まあ、大手の掲示板では好き勝手に対処法が書かれているようだけど。

 あんがい、使えるのもあるかも知れないので閉じずに新しくタブを開き、次の検索ワードを入力する。

『ゾンビ 町 隔離』

 次に知りたいのは、やはり町が閉鎖されるかどうかの情報だ。

 数秒の後、トップに表示されたのは予想されていた通りの内容であった。

「……マジかぁ」

 思わず声が出た。

 壁の建設は今すぐにとはいえないが、既に秒読みと言う段階らしい。反対意見も出ているが、政府が強固に推し進めているようだ。

 と言うのも、自衛隊の第一次、二次救出隊が相次いで全滅したってのが大きい要因らしい。

 それも、文字通りだ。五百人超過がいたらしいが『怪物』の存在を知らせる通信を最後に連絡が途絶えると言う、映画チックなやりとりがあったと。

 問題は、その場所だ。

『黒森 シュバルツバルト 怪物』

 一応、黒森って単語が余計なのを引っ掛けないように二重で入れておく。

 検索結果のすぐ下、画像と言う欄をクリックする。

「ゾンビのことかと思ったけど、なんだよコイツ」

 いや、本当に。リアルタイムでゾンビ映画をやってる自分でも、目を疑う光景があった。

 誰が撮影したのかはわからない。

 自衛隊がゾンビに向けて、銃撃している。それは良い。問題は、その奥にいるモノだ。

 でかい。

 第一に、そう思った。

 似ている生物を探すなら、カマキリだ。単に、やたらと鋭い曲刀のような爪を振り回しているから、そう思っただけだが。

 足は四足。前足というか、爪っぽいところもふくめてだ。

 全身は赤黒く、密度の高い肉体からは頑強な身体を想像させる。

 写真は撮っている人が慌てていたのか、ピントはちゃんとあっていない。それでも、人とゾンビの大きさはそう変わらないはずだ。

 だとするなら、この写真の奥に写っているモノは最低でも人間の二倍以上のデカさがあることになる。

 それが、ゾンビを輪切りにしながら進んでいるようだ。

 よく見ると、自衛隊員たちもゾンビよりもその化け物に銃を向けているように見えた。

 たしかに、これは怪物だ。

「まさかの宇宙人ゾンビかぁ……」

 こんな形状の宇宙人がいるかどうかはわからないけど。少なくとも、こんな生物は地球原産ではないはずだ。

 写真もよく見てみれば、戦車の砲塔らしき物まで写っている。それがあるにも関わらず、どうやら自衛隊は敗けてしまったと。

「まあ、怪獣があいてじゃな」

 俺が勝てるわけもない。まあ、こういうのがいるから行く場合は見つからないようにしようってくらいか。

 そう。行かなきゃならない。

 壁の建設がほぼ確定している以上、逃げるにせよ留まるにせよ物資はやはり必要だ。

 例えば武器。

 例えば自給自足の用意。

 どっちも、今の黒森にはある。

 とりわけ銃は欲しい。

 この先、もしも残るとして。その場合、少ない物資や拠点を守るために戦う必要があるかも知れないからな。

 ――人間と。

「まっ、ない方が良いんだけど」

 さすがに、まだ人間を相手にしたことはない。これからもあってほしくない。

「あー、てか俺はどうすんだろ」

 仮に学校の全員が逃げるとして、ついていくのかな。

 いや。今はまだそこまで考えなくていいか。そもそも、ゾンビになるかも知れないし。

 とりあえず、ネットで調べた情報をひとまとめにプリントアウトし、書類を捨てて空けたファイルに保管した。

ううむ。マシン側の設定ならなんとかなるだろうけど、電波強度がだだ下がりなのがなぁ。


なんとか更新してますが、次はどうだろう。


可能なら、7月6日の12時に更新します。

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