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第十話 スーパーの二階

 二階部分は、流石にゾンビはいないようだ。反面、逃げこんできた人の姿も見当たらない。

 どうやら、あれだけのゾンビが発生したことで全員が逃げるか仲間入りを果たしたかしたようだ。

 逃げる場合は、やはり三階というか屋上の駐車場からだろう。外からも出入口はわかっていたけど、ゾンビが多かったのと車が障害物になっていたから止めた場所でもある。

 次に、階段の近くに設置された二階部分の簡略図を読む。

 スポーツ用品店、フードコート、洋服屋ってところか。あとは規模が小さいおもちゃ屋と本屋に、申し訳程度のゲームコーナ。

 電化製品を扱う店もあると良かったんだけど、そのへんは地図によると一階の隅っこにあるようだ。

 肝心の食料こそないが、今すぐに必要な物は二階でもだいたい揃いそうだな。

 後は地図に乗ってないスタッフルームとかか。そのへんは、武器と治療が終わってから確認しよう。

 最後に、階段近くに置かれた休憩用のソファに乗って二階部分を見渡してみる。

 右から順にスポーツ用品、洋服屋、おもちゃ屋と本屋で左にフードコート。真ん中は吹き抜けになっていて、エレベーターが二台ある。

 ゾンビは一階にはわらわらといるが、二階には見当たらない。

 とりあえず、ここならある程度は楽にできそうだ。

 俺はまず、擦りむいた腕の治療をするために天井からぶら下がった案内板にしたがってトイレに向かった。






 トイレはフードコートとほぼ隣接して設置してあった。中の水道で傷口をざっとあらい、次に洋服屋から拝借はいしゃくしたてきとうな服で、水気を拭く。

 理想を言えば、ここに消毒液をあててガーゼと包帯で保護しておきたいけど、道具類は全部リュックの中だ。

 ひとまずの処置として、裁断したシャツに腕を通して上からスポーツ用品点から持ってきたテープで補強する。

 ひと通りを終えて、俺はフードコートの椅子に腰をおろした。

 正直、ここまで大げさにする必要は本来ならない。破傷風はしょうふう予防にしても、やややり過ぎている。

 だが、もしもゾンビの体液がこの傷口から入ってきた場合は、もうそれだけで終わりだ。

 二十四時間。

 ゾンビに噛まれたり、あるいは引っ掻かれたりした場合はそれが残された余命になる。

 まず起こるのは発熱と嘔吐おうと。この吐瀉物としゃぶつにも、感染効果があるのだから恐れ入る。

 その状態がしばらく続き、徐々に呼吸困難、痙攣けいれんが起こり最後は死に至る。

 死ぬまでは時間がかかり、さらに苦しむと言うのに死んでからほんの数分でゾンビ化するんだから、迷惑極まりない。

 ただ、体液が体内に侵入していないのなら問題はない。空気感染だったら、いまごろ日本中が全滅しているはずだからだ。

「……」

 俺は、どうだろう。

 大丈夫だと思いたい。

 身体が火照ってるのは、走っていたからだ。

 だから、大丈夫。

 大丈夫だ。






 どれだけそうして過ごしたかはわからない。今のところ、気分が悪くなったり吐き気がしてくることはないようだ。

 大丈夫、だろうととりあえず思っておく。

 正直、まだ不安感は拭えない。本当に安心するには、二十四時間が過ぎてからだろう。

「とと、そろそろ動くか」

 頭を振って、切り替える。気にしてもしょうがない。

 死ぬ時は、まあせめて一人で死のう。

 顔を軽く叩き、気分を入れ替える。

 まずは武器だな。

 スポーツ用品点に置かれているのは、野球とサッカー用品が主なようだ。

「やっぱりバットだよな」

 何本かあるけど、まず木は除外する。折れそうなイメージが強い。

 では金属ではどうだと、目についたのを振ってみる。

 けど、どうにも重い。梱包してあるビニールを見ると、芯が先端に偏っているタイプのようだ。

 どうやら、バットにもちゃんと種類があって、目的によって切り替えていくらしい。

 よくわからないけど、鉄パイプほどに軽くて振り回しやすいのはなさそうだ。

 反面、一撃の威力は絶対にこっちのが高いな。上手いこと頭をホームランすれば、それだけで倒せそうな気もする。

 一長一短かな。

 何本か振って見て、手に馴染む物を見つける。そもそも人を殴るのを想定してないから、使いやすいも何もない気がするが。

「ん~、こんなもんか」

 重心が真ん中にある細めの青いバット。なかなかに振り回しやすいこれなら、しばらくは使えそうだ。

 後は、下に落としたリュックの変わりに使えそうなスポーツバッグ。もちろん、回収できればリュックも拾っていくけど、用意しておいて損はないはずだ。

「さて、本題は一階のゾンビをどうするかだな……」

 吹き抜けから下を覗く。

 ゾンビは好き勝手にわめき、勝手気ままに歩きまわっている。

 こいつらを何とかしない限り、俺は最悪、帰ることすらできそうにない。

 集めるにしても、まずは音楽を消さないと駄目だしな。

 音以外で集める方法がアレばいいけど、わかっているのは生の人間じゃないと駄目ってことくらいだ。ので、却下。

 ひとまず二階のスタッフルームに行ってみるか。そこで、この音楽が制御できることを期待しておこう。

 改めてスポーツバッグに両腕を通して背負、バットを片手にスタッフルームへ向かった。

 さいきん、ネットの接続状況がいまいちなので、もしかしたら投稿の感覚が空いてしまうかもしれません。

 万が一無かった場合、単にアクセスできないだけですのでいずれ復活しますのでご安心くださいm(_ _)m


 次回は7月5日の12時です。

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