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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第12章 ボロボロの冒険者の街
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第6話 どこだ~~~~?

加入クエストをついに開始です!

メンバーは、クロ、ティナ、セリカです。

シーナ、マユさんは、早々に手持ちの薬草で終わらせました。

残りのメンバーは加入するか保留中。

さて、3人は無事クエストを終えられるのか?

 翌日、シーナは朝食後すぐに、冒険者ギルドまで出かけて行った。

 暫くすると、昨日ギルドのカウンターに居た男と、もう一人お爺さん連れて戻ってきた。


 お爺さんの方は、冒険者ギルドでも腕利きの【鑑定士】だった。

 【鑑定士】というのは、その名の通り、色々な物を鑑定するのが得意で、相当な知識量を持っている。

 ただ、【アイテム博士】などといった、鑑定能力を特化した職業に比べると多少劣る。

 その代わり、『アイテム鑑定書発行』というスキルを持っている。

 これは、自分の鑑定した内容を証明するという珍しいスキルだ。

 WMOでは、殆どのユーザーが自分で鑑定が行えたので、前提条件にもなっていない【鑑定士】はネタ以外のなにものでもなかったのだが……。

 この世界では、鑑定能力をもった人間そのものが少ないので、鑑定した内容を証明できる【鑑定士】は、ある程度の規模の商取引をする時には必須になっていた。



 シーナとギルドの男と【鑑定士】3人の間でどんどん商談がまとまり、すぐに昨日の夜のうちに馬車に積み込んで置いた回復アイテムの類を受け渡す。

 馬車で、冒険者ギルドまで運んだりはしない。

 M&M(土の壁で覆われているが……)の前での受け渡しだ。

 街の中での取引と見られると商業ギルドが横槍を入れる口実になるからだ。



「品質も結構いいみたいで驚いたぜ! それにしても、あの値段でよかったのか?」

「色々込みの値段だと思ってもらっていいわ」

「ちゃっかりしてんな。まあ、問題が起きたら出来る限り協力するぜ」

「頼むわよ」


 なんて言いながら、男は門の前に居た何人かに手伝わせ回復アイテムを冒険者ギルドに持ち帰っていく。



 シーナはずっしりと金貨の重みのする袋にホクホク顔だ。

 それは、シーナのお金ではないからな、あくまでマユさんの売り上げだぞ。

 まあ、取り分の交渉ぐらいは応じる価値はありそうだけど……。


 ちなみに、そのマユさんだが、大きな取引に大喜びしてるのかと思えばそうではなかった。

 何か釈然としない表情で、シーナの手にある金貨の袋と、売れていった大量の回復アイテムを見ている。

 もしかしたら、全く自分が関与せず、シーナが商談をまとめて売り払ってしまったので色々思う所があるんだろう。

 潰れるとかそういう問題がない限り、マユさんはお金に執着してるわけじゃないからな……。



 その後、セリカとマユさんを連れて冒険者ギルドに向かった。

 まあ、二度手間とかそういう思いもしないでもなかったが……セリカとマユさんを冒険者ギルドに加入させに行ったのだ。

 リーフさん達は、まだまだ狐っ娘姉妹が無理そうだし、レナさん、ミルファさんの方は、暫く様子見と言う事で、加入は見送った。





 そうして、まだ昼食には早い午前中。

 俺、セリカ、ティナの3人は、M&Mの前に、集まっていた。


「お弁当はちゃんと持ったし!」

「装備の準備は完了です。師匠」

「じゃあ、クエストに出発するか!」


「「おおおお~~~」」


 と言うわけで、加入クエスト『薬草1束見つける』もしくは『ゴブリン5匹退治』に出発するのだった。

 ちなみに、マユさんは「売れた分の商品を補充しないとお店が開けません」と言う事でシーナと同じようにギルドで薬草の束を渡してクエストを完了している。




 クエスト開始してから30分ほど……。


「あ、居ました師匠!」


 セリカが早速見つけたゴブリンを一刀両断する。

 

「これであと、14匹ですね」


 一人5匹で、計15匹分の討伐部位が必要だってのは解るだけどな……『モンスター鑑定(M)』で調べてみると、そいつ……”エリートゴブリン”って出てるんだが……。 


「セリカ残念だがそいつはエリートゴブリンだ!」

「ええええ~~~今度はエリートなの? さっきは、リーダーに、ハイに、マジシャンだったよ~」


 ティナが早くもうんざりした感じになっている。

 モンスターには結構遭遇するのだが、多種多様でなかなかゴブリンに出会えない。

 そして、出会ったとしても、上位種ばかりなのだ……。


「まあ、取れる物だけ取って死体を焼いて次に行きましょう!」

「モンスターの死体を焼くか……」


 俺はこの撃破後のモンスターについて、WMOとの違いを改めて整理する。

 

 WMOでは、モンスターを撃破すると、モンスターの死体がしばらく表示された後、消滅してドロップアイテムになる。

 例外として、アンデット系やエレメント系の死体に関しては、また色々と面倒なルールがあったのだが、今それは置いておく。

 話を戻して、その死体が表示されている時に、モンスターの仲間が蘇生魔法とかかけると復活したりもする。

 また、剥ぎ取り系のスキルは死体が消滅するまでの間に使わないといけない。

 下手をすると戦闘中にレアアイテムが取れるモンスターに剥ぎ取りするなんて事も起こった。

 それと、盗む系統も死体に対して使う事もできた。

 まあこっちは何故か取れるアイテムが、生きている時よりランクダウンするのと、1体のモンスターから、最高1個のアイテムしか盗めないって制限でやる人は少なかったが。

  

 そんな感じのWMOに対してこっちの世界だと……。

 基本的に死体は消滅しない。普通に微生物に分解とか、他のモンスターなどに食べられて……と言う感じで消えていく事になる。

 自動的にドロップアイテムになったりもしない。

 まあ、俺は『剥ぎ取り(M)』とか『盗む(M)』とかのマスタースキルも持っていたので特に問題なく……と言うよりは、スキルのおかげで普通より上質な物を手に入れていた。

 問題は、アイテムと、とった後の死体だ。

 普通のダンジョンとか森とかなら……死霊のとか、アンデットのとか、そういう場所以外は死体を放置しても問題ない。

 ただ今回は、多種多様のモンスターがいるので下手に放置すると、アンデット化したり、死体を操るモンスターの手ごまに成りかねないのできっちり処理する必要があった。

 モンスターを倒した後に魔法で焼き尽くす……本当に二度手間だ。

 WMOの討伐クエストの様に自動カウントや、ドロップアイテムに化けてくれるなら楽なのだが……。

 最初から焼き尽くすと、当然討伐部位を手に入れることも、剥ぎ取る事も出来ない。


 これから、特定部位を素材にしたいとかあると、倒し方が制限されそうだな。


「いっけ~サ~ちゃん」


 多分、ティナの呼び出した炎の妖精サラマンダーなのだろうモンスターの死体をすぐに焼き尽くす。

 俺も炎の魔法は手持ちにあるのだが、制御しきれないとかあったら怖いので、今の所魔法は補助と回復(ほぼ無傷で使いどころが無いのだが)をメインに使っている。


「それでは師匠、ティナ。次に行きましょう!」


 意気揚々とセリカは進んでいく。

 彼女の場合、クエストクリアが目的と言うより、戦闘する事が目的だからな……。







 そして、昼過ぎ休憩がてら昼食のお弁当を食べている。


「ゴブリン全然いないよ~~~薬草ぜんぜんないよ~~~」

「モグ! モグモグモグ!」

「そうだな……」


 ゴブリンと薬草を探しながら色々探索を続けていたが一向に見つからない。

 俺の『索敵(M)』スキルもフル活用してはいるのだが、あいにく俺の『索敵(M)』はMAP上にモンスターを赤いマークで示す事しかできない。

 斥候職の最上位なんかのマスタースキルだと、1度出会った事のある種類で、索敵能力が足りていればモンスターのレベルや名前までMAP上に表示させるなんてのもあるのだが……。

 あいにくとそっち方向には極めていない。

 なので、MAP上でゴブリンっぽい動きをしてる敵を優先的に撃破していっている。

 そんな事をしていたモノだから、ゴブリンの1つ上と2つ上の上位種を全てコンプリートしてしまった。

 俺は、ギルドの受付の男の「C~Dランクくらいの難易度」って話の意味を薄々理解始めていた。

 C~Dランクが必要なモンスター達のいる中で、レアモンスターやレアアイテムを探すなら当然そのくらいになる。見つければ撃破や採取がいくら容易でもだ。

 アイテムボックスから取り出した薬草の束をみながら、シーナ達のようにこれを提出するという悪魔のささやきに耳を貸しそうになってきた。


「しょうがない! 皆に薬草探すの手伝ってもらうよ!」


 ティナもそろそろ自力での探索に心折れかけたのか、妖精さん達にヘルプを頼む。

 今までは、「何か自分で探した気がしない」って言ってやろうとしなかったんだが……。



 

 昼食も終わってそろそろ出発と言うころ、ティナが薬草探しを頼んだ妖精達が戻ってきた。


「一応、妖精さんが見つけたって言ってるけど……」


 何かティナの様子が暗い。何かあったのか?


「まあ、行ってみるだけ行ってみるか?」

「うん……」

「セリカ、モンスターは任せる」

「了解です、師匠!」




 そうして、妖精に案内された先は……。

 薬草が取りつくされた跡地だった。


「ひどいよ、ひどすぎるよ、あんまりだよ~」


 ティナがしゃがみこみ、つらそうに荒らされた大地に見つめている。


「…………」

「…………」


 俺とセリカは何もいう事ができなかった。

 いつもはバカばかりしていて、忘れかけるが、一応こいつはハイエルフなんだ。

 一応、森の民なんだなと思い出す。



 しばらく、ティナをそのままにし、近寄ってくるモンスターを俺とセリカで倒していると……。


「あ! 薬草の芽が出てきてる! このままじゃ、すぐにやられちゃう! 助けなくちゃ!」


 ティナは、荒らされた場所の一角に走りより、土の妖精や水の妖精などを呼び出して大事そうに小さな芽を土ごと取り上げる。

 

「まってて、すぐに安全な場所に連れて行くから!」


 と言う言葉を残し、帰還の指輪を使って転移する。

 

「師匠……ティナがもどっちゃいましたけど、どうしましょう?」

「まあ、一旦戻るか」


 そんな訳で俺たちも周りに他人の目が無い事を確認した後、帰還する。

 


 M&Mに帰還した俺とセリカだったが、ティナはそっちには戻っていなかったので、改めて砦の方に移動する。

 砦を探索すると、壁の角……入り口の門から見て左上の角……に居た。

 彼女は、多分土の妖精ノームの力を借りたのだろう、畑のように耕された場所に薬草の芽を植えて、水の妖精の力で適度な水を撒いている所だった。


 まあ、工程はともかくとして、普通に薬草の栽培をする程度なら問題ないだろう。

 俺はティナの好きにさせる事にして、冒険者ギルドに今日の報告に向かう事にする。




 

 今日の狩りで手に入れた討伐部位を冒険者ギルドのカウンターの上に広げて、お金の出そうなのを見繕ってもらったのだが……。


「加入クエストって何なのだろうな?」


 まだ加入クエストをがんばってみると言う俺たちの言葉に、昨日や今朝対応してくれた男とは違う、さえない中年の男の職員が遠い目をしていた。

 まあ、色々何か間違っているが気にしない事にしよう。

 冒険者ギルドに損害がでてるわけでもないんだしな……。



 

 その後、俺たちは、一週間ほどかけて加入クエストをクリアする事になる。

 ゴブリン討伐15体の方でだ。

 薬草はさすがに今の状況ではティナがダメだというし、枯渇させる事そのものが問題だしな。



 ちなみに、ティナの作った薬草畑は、後日大変な事になるのだが……まあ、それは追々と言う事で……。

 

 

次章は……ついにM&M冒険者の街前店がオープンです!

さて何が起こるのか?

乞うご期待。






レビュー沢山の方(現時点で4名様)に書いていただきありがとうございます。

まだまだ募集中ですので、書いていただける方はよろしくお願いします。

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