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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第12章 ボロボロの冒険者の街
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第5話 建設予定地

M&M……。

この世界では色々見せるとまずい機能が満載です。

 戻ってきたシーナは、早速これからの事を説明し始める。

 やり取りは全てPTチャットだ。これなら、他人に余計な事を聞かれる心配がない。

 セリカとティナは、受信はできても発信はできないので、出来るだけ黙っているように言っておいた

 まあ、無駄だろうけど、二人の発言からすべてを推測は出来ないだろうと言う事で話を進める。


『シーナ:M&Mを城壁の外、門の直ぐそばに設置する事にしたわよ』

『クロ:え? そんな事したって商業ギルドにお金払わないとダメなんじゃ? あと、そんな場所に勝手に立てたら街から苦情がでない(立退き命令的な)?』

『シーナ:まずは、商業ギルドの件ね。そっちは城壁の中の取引にしか関与できないわ! 元々の言い分が、街の中で安全に商売したいなら場所代を出せってことだから』


 ああ、そうか!

 この街の支配範囲はあくまで城壁の内側なんだ。

 それ以上を主張しようにも、義務の方が果たせなくなる。

 この街にとって、一歩城門を出ればモンスターの徘徊する敵地なんだ。

 

『クロ:まあ、理解は出来るが……それでも、あまりに門や城壁に近いと色々問題起きないか?』

『シーナ:そっちの件も根回し済みよ。そもそも、商業ギルドが難癖つけてくるのは想像できたからね。これをもらってきたわ』


 シーナが懐から書状の様な……って、そのまま書状か!

 誰からだ?


 …………。

 ……。


『クロ:冒険者ギルドのギルドマスター!? 何処で手に入れてきたんだ?』

『シーナ:ちょろっと交渉してもらってきたのよ』

『クロ:何を条件に交渉したんだ?』

『シーナ:M&Mの回復アイテムを冒険者ギルドに直接販売するって言ったら二つ返事で受けてくれたわ』

『クロ:それだけか?』

『シーナ:あとは、M&Mは特殊なマジックアイテムのような物で、持ち運び可能で、モンスター避けの効果があるっていっておいたわ。壊れた門の近くにモンスター避けの魔法がかけられるなら安いもんでしょ?』

『クロ:あの拠点の機能を、そうべらべらと――』

『シーナ:ある程度話しておかないと使うに使えないわよ』

『クロ:まあ、何も情報を出さずに出したら、色々面倒な事になるからマジックアイテムって言うのは考えていたけど……。モンスター避けの効果は……』

『シーナ:それがなければ設置する事に疑問をもたれるでしょ』


 まあ、確かにそうか……。

 割り切るしかないのか……。


『クロ:で? 今からすぐにM&Mだすのか?』

『シーナ:違うわ。まずは、ティナに、出す場所の周りを土の壁とか植物の壁で見えなくしてもらうわ』

「わたし!?」


 ティナなら出来るだろうけど……。


『クロ:なんでだ?』

『シーナ:1時間で拠点が曲がりなりにも出来てしまったらそれこそ大騒ぎよ。各国の軍とかが放って置かないわよ!』

『クロ:たしかに……』

『シーナ:建築時間は1週間って事にしておきましょう。それまで外部に完全に見せないようにするわ』

『クロ:OK ってことでティナがんばれ!』

「?????? なにを??」


 うん、まじめに聞いてなかったな、あとで説明しないとだめだなこりゃ。


『シーナ:あと、その間に、私とセリカでマユ達を迎えに行って来る振りをするわ。今から出かけて夜中あたりにこっちに戻る感じで』

「???? マユちゃんなら、簡単にと――うぐぅぅうぅ」

 

 俺は慌ててティナの口を塞ぐ。


『クロ:転送系の機能を見せないためだな』

『シーナ:そうよ、あれも知られると結構まずいわ』


 たしかに、ゲートなんかが自由に設置できるとしられたら、恐ろしい事になるだろうな。

 交通革命どころじゃない!


「む~~む~~~~」

『クロ:ティナ少し黙っていろ! 後で説明するから』

「む~~~?」

『クロ:そういえばセリカは?』


 やけに静かだなと周りを見回すと……。


「ZZZ……zz……z」


 寝て居やがった。静かなわけだ。


「おい、起きろセリカ」

「う~ん? 師匠? 敵襲ですか?」


 そんなセリカに俺とシーナで説明をしなおし、早速行動を開始する。




 



 来た時と同じく門番をしているロイ少年に、シーナが仮ギルド章を見せる。


「これでいい?」

「はい、確認しました。今は、モンスター残党がまだまだ残っているため、普段より強いモンスターと遭遇するかもしれません、注意してください」

「わかってるわよ、そもそもその中を来たんだし」

「そうでしたね。失礼しました。それでは良い――」

「まって、ギルドマスターからこういうのを預かってきてるの」


 シーナはロイ少年に、先ほどの書状を渡す。


「こ……これは!? 少々お待ちください。責任者を連れてきます」



 ロイ少年が詰め所……などはなく……冒険者がモンスターの死体を処理してる場所まで行き、職人気質のおっさんのような人を連れて戻ってくる。


「よお、ロイ? さっきの話はこのおじょうちゃんか?」

「はい、親方」

「親方ってな……俺の弟子じゃ……はぁ、まあいいや」


 親方……うん、大工の棟梁とか親方とかそんな感じだ。

 たぶん、あだ名みたいに、なってるのだろう。


「あんたがここの責任者?」

「門の修復と防衛のな」

「さっきの手紙の内容は読んでくれた?」

「ああ、よんだが……本気か? こんな所に店を建てるとか……」

「本気よ、中で商売しようとしたけど、あまりに酷かったからね」

「商業ギルドのやつらか……まあ、手伝えって言うんでもないから、門の修復の邪魔をしないなら別にかまわんぞ」

「ありがとう。早速ウチのメンバーが建設予定地に壁を作るわ。広さは……」


 なんて、シーナが親方に、細かく広さなんかの説明をしていっている。

 親方の方も、邪魔にならない場所を指定して、M&Mが楽にはいるほどの大きさの線を引く。


「こんなかんじでどうだ?」

「ありがとう。十分よ」

「でも、本当にどうやるんだ?」

「あとは、この二人に任せるわ細かい事は二人に聞いて」


 俺とティナはその場に残り、シーナが馬車の御者台に座る。

 セリカは馬車の中だ。退屈な話が続いたから寝てるのかもしれないな。


「じょうちゃんはどうするんだ?」

「私は、残りのメンバーを拾いに行くのよ」

「拾いに?」

「なんか変だったからねこっちの様子が。先行偵察に4人で来たのよ」

「まあ、このざまじゃ……妥当な判断か……」


 親方が壊れた門を見上げながら呟く。


「後の事は、任せるわよろしく」

「がんばるよ!」

「了解」


 俺とティナは、馬車で来た道を戻っていくシーナを見送った。





「で? どうするんだ?」


 シーナが去った後作業を始めようとしてる俺たちに、興味深そうに親方がたずねる。

 門で作業していた人たちも集まってきている。

 いいのか? 俺達、作業の邪魔になってる気がするが……。 


「作業はいいのかよ?」

「何をするのか気になるしな」

「まあ、そっちがいいんだったらいいんだけど……」


 それより問題は、ティナだ。

 実作業は全てあいつがやるってのが凄い不安にかられるのだが……。


「じゃあ、さっき説明したとおりやってくれ、ティナ」

「や……やるのは、いいけど……すご~~~~~く……広くない?」

「がんばれ! 終わったらクエストにいけるぞ!」

「クエスト!! がんばってみるよ!」


 ティナは拳をギュッと握って気合を入れると、妖精を呼び出す。


「ノーム君たち~お仕事だよ~~~」


 ノーム君? 前に採掘したときはノームさんだったような……何か違いでもあるのだろうか?

 なんてどうでもいいことを考えているうちに線引きされた場所の土が盛り上がり始める。


「「「「おおおおおお~~~」」」」

「おお~すげぇなこりゃ」


 親方やその他周りで見ていた人達の驚きの声が上がる。

 

 そうして、俺たちの作業は順調な滑り出しをしたかに見えた……。




「ティナ、もうちょっと厚めにしないと穴が開きそうだぞ」


「まがってる、もっと垂直にしないと!」


「高さは、全然足りないぞ」


 ティナは作業内容を大雑把にしか理解してなかったので細かい指示は俺が出す事になっていた。

 いたんだが……。


「ううう~~つかれたよ~~こまかいよ~~~めんどくさいよ~~~~~」


 高さが1mぐらいの壁になったあたりでティナが音を上げていた。

 何とかなだめすかしてやってきたが、早くも限界っぽいどうしたらいいんだ?


「もうつかれたよ~~~ノーム君達~~~後はお願い~~クロちゃんの言う事きいて~」

「………………」


 なんて、ノーム達を実体化させて丸投げした。

 いきなり出現したノーム達に、こっちを見ていた人たちは少し驚いていたが、すぐに静かになった。

 結構前にノームを使役して土木工事をやってるい人物が居たんだそうだ。

 それって……たぶんエルフだよな?



 それからの作業ははかどった。

 ノーム君達は凄く優秀で、軽く指示するだけで意図を理解し凄いスピードで作業を進めていく。

 ティナが間に入らない分だけ意思疎通がしっかりはかれたのだ。


 こんどから、細かい作業を妖精達に頼むときは、ティナに妖精を実体化してもらってこっちで内容を説明しよう。




 その後、夕方までには、M&Mをすっぽりと覆い尽くす大きさの、土の箱が出来上がっていた。

 

「あのおちびちゃんに、城壁修復てつだってもらえんか?」


 なんて親方が言ってきたが、断っておいた。

 ティナにこの街の生命線の城壁を任せるとか不安すぎたからだ。


「さて、早速やるか」


 エアロックの様な2重の扉を通り、土の壁の中に入る。

 天井も土で覆われていて外からは見えない。

 ただし、酸欠になったりしないように、天井は空気を通す材質にしてるらしい。ノーム君達は本当にいい仕事をしている。


「おおお~~~広いね~~~一杯遊べるね~~~」


 呼び出した本人は凄く残念だけど……。


 まあ、さっさと拠点をだしてしまおうか。

 拠点を設置開始と同時に、幻惑石から作ったマジックアイテムも使って色々ごまかす。

 地味に便利だな幻惑石。

 時間が出来たらもう一度掘りに言ってみるか。


 まあ、それはともかくこれで外からばれる事は、まずないだろう。





 念の為、夜にシーナとセリカが帰って来てからマユさん達をM&Mに呼ぶ。

 馬車にも幻惑石で作ったダミー(幻影)を乗せていたから、疑われる事もないだろう。

 本当に幻惑石は……。




 こうして、冒険者の街から歩いて30秒の場所にM&Mが引っ越してきたのである。




「わたし何時まで妖精さんに魔力をあげていればいいの?」

(魔力がなくなると、ただの土にもどります!)

「それじゃあ、1週間がんばれ!」

「えええええ~~~そんな~~~」

(がんばってください、ご主人様)



 その後、ティナが耐えられなくなって壁が崩れると怖いのでリーフさんに頼んで補強してもらった。

 植物の根を張り巡らせ固めてもらったので、ノーム君達の力が抜けても崩れなくなった。

 

 ふと……城壁よりも頑丈な壁がすでに出来てる気がしたのだが……気にしないでおく事にした。

次回の話は、加入クエストに挑戦です!

さて、どうなるのでしょうか?

予想はつきそうですが……。




ティナ「ノーム君達~これを作って!」

 ピラ『階段の騙し絵』

ノーム君達(………………(汗))






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