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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第12章 ボロボロの冒険者の街
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第4話 商業ギルド

今回は途中で視点が変わります。

解りにくかったら指摘お願いします。


さて、今回クロ達は商業ギルドに行ったのだが……。

既得権益ってイヤだよな。

新規加入者にとっては……。

「ふざけるんじゃないわよ!」


 怒りの収まらないシーナが、商業ギルドを後にするのを、追いかける。


「ティナ行くぞ」

「えええ~~~もっと見たい~~~」


 俺はティナの腕をつかみ強引に引きずって行く。

 はぁ、冒険者ギルドの男が言っていた、「人材は大事」とか、「仕事には適正な対価を」とか、「ふんぞり返っているだけでお金が入ってくる奴らは排除される」ってのは何処いったんだよ!

 シーナほどではないが、俺も商業ギルドに対して多少の憤りを覚えている。彼女が怒り狂ってるから、その分落ち着いてるだけなのかもしれないが……。




 何があったかと言えば、30分ほど前にさかのぼる。

 今考えると、冒険者ギルドを後にして、商業ギルドについて調べていた辺から少しおかしかったのかもしれない。


「ああ、あいつらの場所なら……あっちにある、2階建ての建物だよ」

「悪い事はいわねぇ、あの金の亡者に関わるのはやめときな」

「絶対にあそこでだけはお金を借りたりしちゃいけないわよ」


 なんて……商業ギルドに対して、あまり良い感情は持ってないような返事が多かったのだ。


「金儲けのためのギルドだからね、商業ギルドは。お金に汚いって言われるのはしょうがないんじゃない?」


 シーナのその意見に、俺も一応は納得していた。あいつらと話を始めるまでは……。



 その場所は、冒険者ギルドのように縦には長くないが、広さは冒険者ギルドの倍以上の2階建ての建物だった。

 1階の入り口から入ると、市場のように店が並び、冒険者や生産者、街の住民などが店を回っている。

 

「で、肝心の商業ギルドの受付とかはどこなのよ?」


 シーナが若干あきれ気味に周りを見回している。


「わぁぁぁぁ~~」


 ティナはキラキラと目を輝かせっぱなしで、ほっとくと絶対に迷子に成る……まあ、探索系スキルですぐに見つかりはするんだろうけど……。

 なので、しっかりと彼女の腕をつかんでおく。



 そんな感じで奥の方に進んでいくと、各種手続きをする部屋を見つける。

 その時、入り口に張ってあった、料金表で微妙に引いた。



******************************************************************************************

 

 商業ギルド内の露店設置料金について。



 Aランク区画 1時間 5,000G

 Bランク区画 1時間 3,000G

 Cランク区画 1時間 1,000G

 Dランク区画 1時間 800G

 

 追加オプションとして、ギルド職員の店番代行を1時間1,000Gで行っております。


 

 規約

 甲:利用者様

 乙:商業ギルド


 甲は…………………………………………………………………………………………

 ………………………………………………………………………………………………

 ………………………………………………………………………………………………

 ………………………………………………………………………………………………


******************************************************************************************



 おい、何だこの料金は!?

 一時間で使用料が800G!?

 高すぎないか!?


 この辺で、色々と気づくべきだったのだろう……。




「な! 何よそれ~~~売り上げの50%をギルドが徴収ってめちゃくちゃじゃない!」


 出店許可の説明を商業ギルドの受付で聞いたところでシーナが上げた声がこれだ。

 話を粛々と続ける職員は、ギルドランク(貢献度)で割合は少なくなるなんては言ってはいるが……新規参入の妨害としか思えない。

 ちなみに、ランクは冒険者ギルドと同様に、S~Fで見習いがGと言う事だ。

 Aランクになれば、売り上げの5%、Sランクの場合は1%とか説明されたが、ランクの上げ方がまた酷かった。

 言葉は飾っていたが、上納金を一定額納めるとランクアップとか……。ふざけるなと言いたい。

 

「どういうことよ!!」


 まさに、ここは戦場だった。(おかね)を奪い合う戦場だ。

 うん、シーナですら分が悪そうだ……というか、俺じゃあ役に立ちそうにもない。

 シーナでこれだと、マユさんだったら有り金全部ぶんどられるような気がする。


 俺は、ティナと一緒に露店を診て回ってくる事にした。

 戦略的撤退だ!

 まあ、ぶっちゃけ、俺に何か出来る気がしなかったのだ……。


 


 俺達は、露店をまわって、ティナが特に興味を引かれていた絵を購入した。

 ロの字型の通路が階段になっている騙し絵だ。

 どんどん上っていっているはずなのに、上った結果スタート地点に戻ってしまう奴だ。

 ティナが無茶苦茶不思議がってずっと露店から離れようとしないので買った。

 300Gぐらいだったのだが、高いのか安いのか、いまいち相場がわからない。

 まあ、しばらくはこの絵をみてティナが大人しくしてるだろうから安い買い物なんだろう。


「すごいよ~~不思議だよ~~おかしいよ~~~」


 ずっと絵に目が釘付けになっている。


「ここで見るな、戻ってからにしろ」

「うん、そうだね、まだまだ一杯お店はあるよね!」


 あ、そのまま通行人のじゃまになっても、見続けさせる方がよかったか?


「あ、あんた達、そんな所にいた。とっとと帰るわよ!」


 シーナが憤慨した様子でズンズンと進んでいく。

 う~ん、やっぱり交渉は無理だったのか。

 


 そんな感じで、シーナの怒りが収まらないのだ。

 まあ、うちのメンバーで一番お金に執着してるのがシーナだしな。


「く……あいつら! 覚えておきなさい、絶対ぎゃふんと言わせてやる!」


 うん、シーナをドス黒いオーラがおおっている気がする。

 今は彼女に声をかけない方がいいな、何か飛び火してきそうだ。


「あいつらに1Gだって渡したくないわ! 何か手は……」


 うん、ブツブツと呟きながら何か考えているな。


「もっと、一杯お店にいこうよ~おっきなお店の外にも色々あるよ~~」


 俺は、がっちりとティナの腕をつかむ手に力をこめる。

 なんか今にも振り払われそうだ。


「外…………外……外……ふふふ、これなら何とかなりそうね」


 う?

 シーナが何か悪巧みを思いついた顔をしている。

 まあ、被害を受けるのは俺ではなさそうだし好きにさせるか。


「あんた達、セリカのところに戻って食事でもとってなさい、少しやる事が出来たわ。終わったらPTチャット飛ばすから!」


 なんて、言葉を置き去りにしてどこかに駆けて行ってしまった。


「う~ん、どうする? ティナ」

「買い物~~」

「そうだな、どこかで食い物買って、セリカのところに戻るか」






-----------------------------------------------------------------------




 さて、何も準備無しにあれをやったら、商業ギルドの奴らの妨害がはいるでしょうね……。

 まずは、この街の有力者に根回しをしておかないとね。

 やるんなら……冒険者ギルドが一番やりやすそうかな?

 まあ、まずは冒険者ギルドのマスターについて調べてみましょう。

 接触方法を考えるにもどんな奴かわからなかったらやりようがないしね。




「おう、また来たのかじょうちゃん? 何か忘れ物か?」

「粉砕のガロウズってのは貴方の事よね?」

「ほう? 何処で聞いた?」

「その辺で聞けばすぐにわかるでしょ? 冒険者ギルドのギルドマスターさん?」

「ふ……そりゃそうか。で? ギルドマスターの俺に何か用事か?」


 この男なら、話は通じそうね。

 あまり表に出したくない情報はそれっぽい嘘にしておけばいいし。

 気がついてもこの男なら詮索してくる事もないでしょうしね。




「ほう? 持ち運べる店か?」

「契約なんかが必要で召喚魔法に近いって話だけどね。それに、維持コストがバカだかいし」

「どうやってそんなものを?」

「使い捨てのマジックアイテムで契約って話よ。まあ、同じ物が手に入らなきゃ意味がないから詳しくは聞いてないわ」

「それはざんねんだ」



「で、それがどうした?」

「商業ギルドの奴らとちょっともめてね」

「ああ、あの金の亡者どもか? 相当ふっかけられただろう」

「さっき、来た時言ってくくれば、あいつらに顔を合わせなくても良かったのに!」

「まあ、冒険者ギルドの職員として何も知らない奴に他のギルドの悪評を吹聴するわけにもいかないんだわ」

「まあ、それはいいわ」



「店を城壁の外に出そうと思うのよ、それなら商業ギルドに無関係でしょ?」

「確かにな、入り口あたりで露店をやる冒険者は結構居るぞ。ただ、店を建てると……」

「モンスターでしょ? それなら、多少モンスター避けの機能が付いてるから大丈夫よ」

「それは、すごいな。ますますほしくなったぞ!」



「で、長々と話しているが、結局俺に何を頼みに着たんだ?」

「簡単に言うと後ろ盾ね。商業ギルドが妙な事言い出した時の」

「で? こっちの利点は?」

「壊れた門の直ぐそばにモンスター避けの機能がある家を建てるってのはメリットには成らない?」

「がははは、その上、金の亡者のあいつらに一泡吹かせられるか?」

「そうね……それに冒険者ギルドに直接販売も考えてもいいわ」

「のった!」



「この書類を見せれば門の辺りの警備してる奴らにも、文句は言われないだろう」

「ありがとう」

「回復アイテムの件、早急に頼むぞ」

「ええ、数日中には持ってこれるわ」



「またな~」

「そうね、また」



-----------------------------------------------------------------------




「退屈です師匠! 加入クエストを受けに行きたいです!」

「う~ん、とは言ってもな。一緒に行った方が話は早いだろうし、そうなると留守番するやつが居なくなるからな」

「クロちゃん! 私が居るよ!」

「却下」

「ええええ~~なんで~~~」

「一緒に連れて行くほうでも、留守番の方でもどっちでも心配だ!」

「そんなことないよ~~」


 俺たちは馬車の御者台に3人並んで退屈をもてあましていた。

 昼食はすでに食べ終えている。

 戻ってくる途中に、適当に露店で買ったモンスター肉の串焼き2本ずつに、赤い色の瑞々しい果物が1つ、あとフルーツジュースだ。

 ティナは何か紫色の得体の知れない飲み物に挑戦していたが……「おおお~凄い速度だよ!」なんて言っていた。

 うん、飲み物の感想じゃないよな、それ。


 何てやっていたら突然シーナからのPTチャットが聞こえてきた。


『シーナ:やっと終わったわ。今から戻るから馬車のところに集まってて』

『クロ:今、居るぞ。凄く退屈してる……特にセリカが……』

『シーナ:了解すぐ行くわ』


 さて、シーナの奴どんな悪巧みを考えてきたのか?

 まあアイツの事だから勝算とか色々考えてるだろうけどな。


 ティナの悪巧みよりは遥かに安心は出来るが……。

 さて、どんな事をいいだすやら。


次回はM&M設置です。

実際の商売は次章に持ち越しに成りそうですが……。





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