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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第12章 ボロボロの冒険者の街
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第1話 ボロボロになった街

やっと冒険者の街での話が始まります。

襲撃中の街を急いで救うとかではなく、襲撃されてボロボロになった街に対して……。

クロ達は、どう動くのでしょうか?

 馬車を全速力で飛ばし、冒険者の街に近づいて行った俺たちだったが、普通に視認できる距離まで近づいたあたりで、速度を緩めざるを得なかった。

 なぜなら、それまでは道とまでは行かなくても、ある程度平らな場所があったのだが……冒険者の街の回りは穴だらけでとても速度が出せなかったのだ。


 それぞれの穴を良く見てみると、重量級の武器のスキルでぶちかましたクレータみたいなものとか……。

 火属性の魔法だかスキルだかであけた焼け焦げた穴だとか……。

 斬撃スキルや、風系の魔法かスキルで切り裂いたような跡……。

 大規模な魔法によるものだろう、大きなクレーター……。

 土属性の魔法だろう、突き出した鋭くとがった岩や、ゴロゴロと転がっている岩……。

 モノによっては生々しい血の跡……誰のとかは考えたくない、ただ赤い血の跡だけではない……が残っていた。


 ただ、そこで命尽きたであろう死体は殆ど全てが片付けられていて、岩に挟まれて動かせないようなの以外は残っていなかった。

 一つだけ言えるのは、少なくとも、直接人間同士で戦ったのではない事だ。

 人間が使役したモンスターとかと言う可能性も残ってはいるが……。



「うわ~結構酷い攻撃を受けたみたいね」


 シーナは城壁や破られた門の様子を見て呟いている。


 門の方は、完全に破られたようで、沢山の人々が急ピッチで修復を行っている。

 またそれとは別に、門の辺りには20人ほどの冒険者が別の作業をしながら火を囲んでいる。

 ただ、そこに居る人々は、血のにじんだ包帯を巻いている人や、腕を添え木で固定している人など、無傷の人は殆ど居ない。

 冒険者たちの手元を良く見ると、モンスターの死体から素材を剥ぎ取っているようだった。

 そして、剥ぎ取った残りはそのまま火にかける。


「勿体無い事してるわね。モンスターの肉だって使い道はあるでしょうに……」

「腐らせて疫病とかの元になっても困りますし、モンスターをおびき寄せかねない血の匂いは少しでも早く消しておきたいのですよ」


 シーナの呟きにこちらの馬車に気づいた冒険者の一人が近寄ってきて声をかけてくる。

 たぶん、門番……破られているが……の様な役割をしている冒険者なのだろう。もしかしたら、そういう依頼もこの街にはあるのかもな。


「あなたは?」

「今の時間帯、門番の仕事を請け負っている冒険者です。ロイといいます」


 冒険者のイメージからすると……結構礼儀正しい気がするなこのロイという少年は。

 門番って言えば街の顔だから面接とかあるのかもしれないな。


「私は、シーナよ馬車に乗ってるのは、うちのPTメンバーよ」


 シーナは何か言いかけたセリカの口を塞ぐと対応を始める。

 ついでに目配せで俺の方に「ティナをよろしく」と言う感じの合図を送ってきた。

 まあ、ここは大人しくシーナに任せた方がいいだろう。

 俺込みで、何かボロをだしそうだしな。


「そうですか。この街へは?」

「聞く必要ないでしょ、一攫千金に決まってるじゃない」


 ははは、そりゃそうかと、ロイ少年と笑っている。

 まあ、自分でもバカげた質問をしたとでも思っているんだろう。


「それよりコレは何よ?」


 シーナは城門の方を指差しながらたずねる。


「モンスターの大群の襲撃があったのです」

「そりゃ見りゃ大体想像つくわよ。ここって冒険者の街でしょ? ここの冒険者が対応できないほどの大物が出たの?」


 シーナの疑問ももっともだ。

 冒険者の街はその名の通り冒険者達が集まる街なのだ。

 下手な小国の軍隊よりも対モンスター能力は高い。


「いえ、群の強さそのものは、時々起こる大群の襲撃よりも多少強い程度で問題はありませんでした」

「ならなんでこんな事になってるのよ?」

「問題は、そんな襲撃がほとんど間をおかず3回もあった事です」


 3連続のモンスター襲撃イベントか……。

 そもそも、あれは総力戦に近いから余力なんて残さないだろうしな……。

 損害が大きくなったのもしょうがないのか?


「3回!? 間をおかずってどのくらい?」

「3回の襲撃が半月の間にまとまってです」

「それって多いのよね?」


 もちろんですと、ロイ少年は頷く。


「1度目の襲撃の時は多少の死傷者はでましたが、街としてはほぼ無傷でした。しかし、2度目の襲撃では物資が不足して――」

「ロイ~~話し込んでないで仕事しろ! 仕事!」


 門の前の冒険者達の一人がどなっている。


「あ、そうでした。すみません後の事は他の人に聞いてください。街の中なら簡単に聞けるでしょう」


 ロイ少年はそういうと、門番の仕事を始める。

 とはいっても、「馬車ですので、金貨10枚お願いします」と言った感じでお金の徴収だったのだが……。

 どうやら、基本的にこの街に入るのには、お金がかかるようだ。税金のような物だろうか?

 冒険者ギルド、商業ギルド、生産系ギルドなど、何らかのギルドに加入していれば無料になるらしい。まあ、ギルドで徴収してるのだろう。

 また、数日中にギルドに加入申請をすれば今払ったお金も返金されるらしい、割符のような木の板をシーナが受け取っていた。




「わ~すごいね~見た事のないものが一杯だよ~」

「すごいです!」


 門(壊れていたが)をくぐって街に入ると、ティナとセリカがキラキラとした目を輝かせて色々見ている。

 珍しい物に対するティナはともかく、セリカは門や街の中の爪あとをみて目を輝かせるな!

 周りの視線が微妙に痛い。


「で、どうするのよこの後?」

「先ずは情報収集だろうな~まあ、モンスターの襲撃に関する情報はすぐにあつまるだろうけどな」

「それは当然よね」


 シーナの質問に答えながら考える。

 もし、4度目のモンスター襲撃があった場合、俺達が加勢すればある程度は防げるだろう。

 レナさんなんか、職業スキルで勢力全体の能力底上げが出来るから、下手するとそれだけで戦況動くしな。

 あと、セリカなんかは最前線突撃しそうだし……。

 そうかんがえると、ある程度は積極的に動いても……一部止められる気がしない……いいかもしれないな。

 まあ、この街の政治とかを、少し調べてからじゃないと解らないが。

 王様みたいなのが出てきて、お宝ぶんどって行くみたいな感じなら、セントリナ王国のエリクサーの件みたいになるだろうしな……。


「ある程度情報がそろったらマユさん達に連絡って事で、マユさん達を呼ぶのは少し保留だな」


 M&Mはどうするか?

 もう開き直ってそういうマジックアイテムですとか言うか?

 適当なダンジョンで見つけたとかいって……。


「どっちにしろ街の中にってのは難しそうだけどね」


 確かに、まだ襲撃の混乱が完璧には収まってないようで、瓦礫の後片付けとかが後回しになっている。

 土地の購入とかしようにも、商談持ちかけれる状況じゃなさそうだからな……。

 あと、商業ギルドなんかで色々ルールの確認をしないとだめそうだし。



「あ~~あそこでもモンスター焼いてるよ~」


 ティナが物珍しそうに指差している。

 遠くからこの街を見た時に上がっていた煙は、焼け跡からあがってた煙じゃなくて、モンスターを燃やしていたからか……。

 ふと、気になって燃やしている人達に馬車を降りて近づき、「何でこんな場所で?」と、声をかけてみたら、


「今は街の外は危険だから中で燃やしているんだよ」

「いつもなら、もっとチャント素材をとるんだけどな~」

「放置してアンデットとかになられても困るしな」

「アンデット系は最優先で焼いたよな~」


 なんて答えが返ってくる。


「火炎魔法で焼いたり、神聖魔法で浄化とかしないんですか?」

 

 気になって俺が尋ねると、


「今はアンデット浄化よりも回復魔法だな~怪我人が多すぎて手が足りてないからな~」

「魔法使いの方は、周辺のモンスターの残党の殲滅や城壁修理なんかの土木作業でいそがしくてそんな暇ないから」


 ああ、極端な人手不足なのか……。

 それなら、魔法を使える人しかできない仕事を割り振って当然だな。

 俺は、「ありがと~」お礼を言って馬車にもどる。


「ついでに、モンスター襲撃の事を聞けばよかったじゃない」


 ああ、言われてみれば……。

 でもまあ、他にも聞ける人は沢山いそうだしな。

 まずは、ロイ少年から聞いた場所に馬車を止めてしまおう。



 

 駐馬車場なのか?

 他にも幾つかの馬車が並んだ場所に馬車を止める。

 シーナが「盗まれたりしないように自分達で見張りをした方がいいわ」と言うので、セリカに頼んだ。

 ティナにも頼みたかったのだが、キラキラと目を輝かせて今にも街に走り出そうとしてるのを見ては、まって居ろと言っても大人しくしてそうに無いので諦めた。


「了解しました! 師匠! 馬車の世話はお任せください!」


 セリカはそんな感じで、何か異様にテンションが高かったが、「私達がモンスターの情報を持ち帰るのを期待してるのよ」と言うシーナの言葉で納得した。

 う~ん、先ずは様子見の予定だぞセリカ……。



 そんな訳で、俺、シーナ、ティナの3人は街の中を歩いていく。

 門の周囲は色々爪跡が残っていたが、中心部に向かうにつれて建物の傷跡は少なくなっていった。

 ただ、教会の周囲が野戦病院のような状況になっていたり、食糧の炊き出しに人が詰め掛けていたり、平常な状況とはとても思えなかったが……。


「まずは、何処で情報を集める?」

「それなら――」

「冒険者ギルドだよ! 冒険者やってみたい!」


 俺とシーナの会話に、ティナが割り込む。

 期待に満ちた……うん、ダメと言ったら一人で突撃しそうだ。


「まあ、悪くないんじゃない? 街に入る時に払ったお金も戻ってくるしね」


 この街で活動するなら、加入しておく方がいいか……。

 それに加入するかはどうかを保留にするとしても、ギルドについての情報も知って置いて損は無いな。


「じゃあ、冒険者ギルドに行くか」

「おおお~~冒険者だよ! 大冒険だよ! スペクトラルだよ!」


 スペクトラルは違わないかティナ?

 まあ、何となく言いたい事はわかるような気はするが……。


「じゃあ、行きましょうか? 場所はあそこっぽいわよ」


 シーナの指差した先には、この街で目立つ3つの建物……真ん中にそびえるお城みたいな建物、りっぱな教会、4~5階建てのビルのような建物……の1つ、ビルのような建物だ。

 

 まあ、迷子の心配はなさそうだな。 

 早速冒険者ギルドに行こう。




 冒険者ギルドか~~~。

 リアルにギルドのクエスト……討伐依頼、採取依頼に懸賞金がかかったモンスター。

 うん、何か楽しみになってきたな。

次の話は、クロ達が初めてのクエストを受けます。

その内容は果たして……。

乞うご期待。






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