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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第11章 やっと冒険者の街に到着!
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第3話 採掘

二日間お休みしてましたが、更新再開です。

今回はちょっと採掘作業に向かいます。

メンバーはクロ、セリカ、ティナ。

この時点で色々不安がよぎります。

 ギルド会議のあとリーフさんとちびっ子達をM&Mに残し、他のメンバーは砦に移動した。狐っ娘達がまだ俺たちに対して怯えてるので出来るだけ顔を合わさないようにしたのだ。

 砦に向かう前に、「体を洗うわよ~」とか「掃除~」とか「着替えは~」とか「洗濯~」とか色々大騒ぎしてるのが聞こえたので彼女たちの間ではコミニュケーションは取れてるみたいだ。

 

 砦についた俺達は……。

 シーナは、仮眠。

 レナさん、ミルファさん、マユさんは砦の部屋の掃除など、砦の方でも暮らせるように居住スペースの確保。

 俺、セリカ、ティナは午後から出かける準備。これは、準備と言うよりティナに余計な事させずに見張っておく意味合いの方が強かったかも。



 そうして、昼過ぎにシーナが起きてきた所で俺たちは昼食を取る。

 リーフさん達にはマユさんが届けに行ったみたいだった。

 

 その後、シーナは近くの街に向かって徒歩で出かけていった。

 荷物は最小限にしてるので、殆ど持っていけなくて、「そのアイテムボックスってのは、本当にうらやましいわね」何てぼやいていた。

 う~ん、教えるも何も、アイテムボックス自体は【ビギナー】の初期マスタースキルセットの一つだ。

 まあ、別の職業のマスタースキルを取って上限やら制限やら色々開放はしてるけど、基本は【ビギナー】のアイテムボックスだからな……。

 この世界で【ビギナー】ってどう転職するんだろうな?

 チャット関連の機能の不備なんかも、【ビギナー】になれたら解決しそうなのに……。


 マユさん、レナさん、ミルファさんは引き続き砦の掃除だ。

 午前中の様子を見るに、レナさんが戦力外通告の一歩手前のような感じだった。

 まあ、彼女は一応王女様なので、これまでそういった事は殆どやってこなかっただろうからな。


 リーフさん達は、マユさんによると午後は汚した部屋の掃除とか、服の洗濯なんかを皆でやるらしい。

 午前中は、お風呂に入るだけで大騒ぎで、なんだかんだで昼前までかかったらしい。

 まあ、元気そうならいいや。

 マユさんに、あとで帰還の指輪を2つほど作って、リーフさんに渡してもらうように頼んでおいた。

 あと、リーフさん達に、砦の方に移動してきてもらうため、狐っ娘達が落ち着いたら勧誘してもらうように伝言をたのんだ。

 リーフさんにギルドメンバーの勧誘権限を与えるのも忘れずにやっておく。

 この分なら明日ぐらいには移動できるかもしれないな。



 俺、セリカ、ティナは、エルフの森の方に行って幻惑石を探してみる事にする。

 まあ、今日のところは土の妖精の力を借りて幻惑石が近場に無いか探ってもらうつもりだ。

 砦や、今のM&Mの周りは、軽くティナ(土の妖精)に探してもらったけど近場には見つからなかった。


 

 エルフの森には、M&Mのゲートを通ってすぐに到着する。


「さあ、みんな探すよ~」


 ティナは一声あげて妖精達を集め始める。


「今日もモンスターと戦えなかったら……。師匠! 相手してください!」

「冒険者の街に着いたら、モンスターとも沢山戦えるさ、それまで我慢しろ!」


 俺とセリカは、ぼんやりと眺めながら雑談を……俺にとっては……して時間を潰す。



「ノームさん達~~幻惑石っての何処にあるか知らない?」


「え? 知ってる何処何処?」


「秘密の隠れ家作った時に出てきた? 捨てちゃった?」


「秘密の隠れ家なんて作ってるんだ~行って見たいな~~」


「ええええ? 私の隠れ家!? そんなの作った!?」


 ちょっとまて……なんか雲行きが怪しくないか?


「う~~ん。う~~~~~ん」


「…………………………あっ!! 思い出した~~~前に作ったんだった! すっかりわすれてたよ~~」



 ノーム達との会話を終えたティナが嬉しそうにこっちに話しかけてくる。


「見つかったよ~~~私の隠れ家のあたりで取れるって!」

「何処にあるの?」


 隠れ家と言う響きに何か惹かれるものがあったのかセリカがすぐさまたずねる。

 俺には、『ティナ』と『隠れ家』と『忘れていた』と言う3つの単語からは嫌な予感しかしないのだが……。

 まあ、野良ドラゴンの住処になっていたりしたらセリカは大喜びか。


「向こうの山の方だよ~」


 ティナのさす方向は、幻惑の山の方を指していたので幻惑石の存在自体は期待が持てそうなのが唯一の救いか……。




 テクテクとのんびりと徒歩で山の方に向かう。

 帰還の指輪があるので片道だけ考えればいいのは楽だ、それにティナの案内で最短距離でいけるしな。

 

「ドカーンと一気に行こうよ!」


 と言うティナの提案は即座に却下したけど……色々怖すぎる。


 それにしても退屈だ。

 索敵はティナが完璧にやってしまうし、モンスターが出ると真っ先にセリカが殲滅してしまう。

 エルフの森で普通に出くわす分には、単体が殆どなので、手伝う暇すらない。

 なので俺は、出発前にスキルを確認した時に見つけた『調教』の機能追加(開放かな?)について考える。

 今まで『調教』のスキルは隷属したメンバーのステータス確認ぐらいにしか使い道が無いスキルだった。

 だけど、さっき見たときにある機能が追加されていた。



『調教』 

 ・隷属したキャラクターのステータス閲覧

 ・隷属したキャラクターの能力強化  <NEW>



 ”隷属したキャラクターの能力強化”というやつだ。

 詳しく説明を見てみると、取得経験値の0~10%を割り振る事によって能力の強化の項目に経験値を溜める事が出来る。

 そして、一定の経験値が溜まると能力が増えるみたいだ。

 この数値は転職などでリセットされない値で、ステータスの固定値UPのマスタースキルに似ている。

 上限は今のところわからないが、経験値が溜まるごとにステータスが上がっていくようだ。


 ただ、今開放されているのが、HP強化の項目だけだった。

 う~ん、他の項目も開放されたら嬉しいんだけど……何か条件があるのかもしれない。

 そもそも今回開放されたのは何でだろうな?

 やっぱり奴隷人数UPなのか?

  

 まあ、職業レベルのUPは遅くなるが、HP上げておいて損は無いだろうと言う事で……。

 隷属させてるメンバーの全員のHP強化に取得経験値の10%を振り込むようにしておいた。

 ちなみに今のセリカは……。



 HP強化Lv2(27/300)

 HP + 2

 取得経験値 10%

 


 HP強化がLv2まであがって、HPが2P増えていた。

 Lv1につきHP+1か……今のペースだとLv100で+100だからあんまり大きな違いじゃない気はするが、まあ必要経験値量が結構少ないし上げておいても損は無いか……。

 これが、魔力や防御力あたりを+100とかするなら結構美味しそうなんだけど……。

 他の能力の開放を凄く期待するな。



 

「ついたよ~~~」


 あれから、4時間ほど歩き続けてやっと目的地に着いた。

 大分日が傾いてきているな。

 まあ、山を越えてきたときは山からエルフの村まで数日かかったのだから十分にはやかったんだろうけど……。

 

「強いモンスターが居ないかな?」

「あれか……」


 ティナの視線の先には山肌の一部が蔦に覆われている場所があり、言われなければ穴……洞窟と言った方がいいか……があるとは気がつかないだろう。

 それにしても、適当に穴を掘って雨宿りできる程度かと思ったんだが……あの入り口の大きさからすると、本気で洞窟になってる気がする。

 本当にノームの皆さんお疲れ様ですとしかいいようがないな。


「じゃあ、秘密の隠れ家に隠した宝物を、取りに行くよ~~~」

「ちがうだろ!」


 ティナ全く目的忘れているな。


「そうです! 隠れ家に住み着いたモンスターを倒しに行くんです!」

「セリカやめてくれ……ティナの場合冗談じゃすまない気がする」


 セリカもか……。

 入る前から不安で一杯になってきたぞ……。

 それでも、入らない事には始まらないので覚悟を決めて進む事にする。



 入った隠れ家……というかこれはもう立派な洞窟だろう……は、作ったとは思えないほど長く続いている。

 まあ、一本道で迷う事がないのが救いか。


「もう直ぐだよ~~~」


 ティナは隠れ家まで進もうとしてるが、いい加減この辺の壁で採掘してもいい気がしてきた。

 見たところ採掘とかはできそうな気がする。

 でも、このまま奥まで行かずに放置ってのも危険な予感がひしひしと……。


「何か居ます!」


 セリカが嬉しそうに警告を発する。

 嬉しそうにするな! と言いたくなるが先ずは洞窟の先に意識を向ける。

 まだ良く見えないな……。


「って、ティナ! 待て!」


 ふらふらふらと先に進もうとするティナの方をつかんで止める。


「~~おいしそう~~~なんだよ~~~」


 ティナの目がグルグル渦巻を巻いていて、焦点があってない。

 まさか、変な状態異常でもくらってるのか!?

 俺は、状態異常耐性を上げるマスタースキルは結構もってるし、セリカは『光の加護』の効果でかかる確率を大幅に下げれるからな。

 何か一斉にくらっていたのかもしれない。


「殲滅します!」

「まて、セリカ!」


 敵を見つけたことで何も考えずに突撃して行こうとするセリカ。

 いつもどおりといえばいつもどおりだが……バーサーカーとかの状態異常になってるとかじゃないだろうな?


「『ホーリーアタック』」


 セリカの光属性のスキルの発動のおかげでモンスターの姿が一瞬見える。


「……きのこ?」


 毒々しい色をしたきのこが洞窟の先に沢山見えた。


「~~~たべるよ~~~ガブ!」

「痛てえええええ~」


 ティナが手に噛み付いてきて慌てて振りほどく。


「なにするんだティナ!」


 噛み付かれた手に回復魔法をかけながらティナに苦情を言うと……あれどこ行った?

 慌てて探すと、きのこに向かって一直線飛び込んでいくところだった。

 

「~~ごはん~~~」


 ボフンという音と共に胞子が大量に撒き散らされる。

 あの胞子はやばい気がする毒とかありそうな……。


 よくみると、セリカに叩き切られたきのこも胞子を飛ばしてるな。


 まずは、相手の情報からだ。

 俺は、『モンスター鑑定(M)』のスキルできのこを調べてみる。



 モンスター名:ケミカルマッシュ

 HP:350

 MP:0


 化学物質の汚染により突然変異したきのこのモンスター。

 色々な状態変化を引き起こす胞子をとばして攻撃する。

 攻撃力と言う意味では皆無だが、状態異常で動けなくなった所を胞子の苗床にされるので注意。


 

 状態異常耐性が完璧なら取るに足りないモンスターだが、耐性が無い状況だと全滅すらあるってタイプか……。

 化学物質の汚染元が物凄く気になる所だがまずは、モンスターの処理だな。

 とっとと倒さないと厄介な事になりそうな予感がする。


「~~~~きのこ~~~は~~~まるやきが~~おいしいんだよ~~~」

「え゛!?」


 いやな予感に反射的に体を地面に伏せた次の瞬間。

 耳が痛くなる爆音と共に、目の前が真っ赤な炎に染まる。

 


 暫くして、耳が元にもどる。


「ケホッ、ケホッ」


 周りを見渡すも煙で視界が開けない。

 このままでは煙に巻かれてやばいと思ったので、風魔法で強制換気を行う。

 制御がいまいちうまくいかずに気圧の関係でまたも耳が痛くなったのはつらかった。

 本気で魔法の制御訓練が必要だな。


 それはさておきティナとセリカは……。


 あ、居たセリカは、目を回して倒れている。


「きゅぅぅぅ~」


 服なんかが少し焦げているが命に別状はなさそうだ。

 回復魔法をかけて 



 ティナの方はというと……。


「な……なんで!? 宝物が消し炭に!?」


 黒い……多分ティナの宝物だった塊の前でしゃがみ込んでいる。

 色々と自業自得だと思うので、放っておこう。

 後で宝物の中身について詳しく尋問する必要はあるが……。

 まあ、今は採掘して幻惑石を集めよう。多分ここで掘れば見つかるはずだ。


 

 


 その後、復活したティナとセリカも一緒に採掘作業をした。

 俺とノームの皆さんは幻惑石他色々と掘り出す事ができた。

 俺はスキルのおかげで比較的質がいいものが取れ、ノームの皆さんは質よりも量と言う感じで色々と掘り出していた。

 

 ちなみにティナとセリカは……。


「……石ころ……」

「面白い形の石なんだよ!」


 殆ど石ころしか掘り出せていなかった。

 まあ、それでもティナは楽しそうだったが……。

 




 夜、砦の方に戻った後、俺とリーフさんでティナに色々と尋問した。

 結果……本人にも良くわからない物を集めていたから、色や形はともかく、どんな素材とかはさっぱり解らないらしかった。

 

 あと、当然その後、リーフさんのお仕置きが待っていた。 


「ごめんなさい~~~リーちゃん許して~~~~」


 砦の真ん中の建物の入り口前につい最近生えた木に今度は逆さにつるされていた。




 なんかティナが忘れ去った色々な物がまだまだ出て来そうで不安だ。


「私の苦労わかってもらえる?」


 リーフさんのその問いに、俺は大きく頷いた。

次回は……そろそろ冒険者の街へ移動を始めます。

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