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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第10章 後片付けは面倒です
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第4話 正攻法だけが道じゃない!

昨日の感想をみたら、ウォールゴーレムの対処方がよまれてました。

ゲーム内で突っ込みを入れたかった人が多かったのかもしません。

「正攻法でボス突破しなくても進む方法あるだろう」って……。


それはともかく、更新です。

 シーナと一緒に武器庫で武器を調達した。

 この世界で一般的に出回るレベルの武器で特に良いものは無いらしい。

 俺としてはWMOの序盤レベルの武器ばかりで、使い捨てるのには良いなと言う感想しかなかったのだが……。


 

 そんな訳で、武器を補充した俺たちはウォールゴーレムに再戦を挑む。

 相手は全く攻撃してこないんだけどな……。


「あんまり自信ないけど……」


 シーナがグレートアクス……鉄製の巨大な超重量のアクス……を、ふらつきながらも、力の限り振り下ろす。

 スキルも何も使わない、重量を利用して力任せに叩き付けるだけなので、当然砕けるのはグレートアクスの方だ。

 職業による装備適正に真っ向から反して、ゲーム内なら装備不可になるような武器なので当然だ。

 たぶん、ゲーム的な装備はされていなくて重い鉄の塊をぶつけたって感じになってるんだろうな。

 

「あ、これは私には無理ね……後お願い」


 と言って早々に諦める。

 まあ、盗賊系の職業にはこの手の敵は相性が悪いよな。

 俺の職業も向いてなさそうではあるけど、一応使えそうなマスタースキルがいくつかあるしがんばってみるか。


 まずは、これからだ。


「『スパイラル・ピアーズ』」


 鉄の槍を手に槍系の防御力無視攻撃から始める。





 そして……。

 砕け散った武器の大量の残骸が散乱するなか、次の武器を見繕う。

 

「沢山あった武器も残り2割って所か……」

「ただ無駄に武器を壊してるだけに見えるけどね」


 シーナの言葉を否定できない。

 魔法で攻撃力や速度をブーストして防御力無視スキルを連発してるのだが……。

 クールタイム軽減のバフをかけているにも関わらず、出来た傷跡が次の一撃を入れる前に修復されてしまうのだ。

 重量級の武器……ヘビーメイスやグレートアックス……をつかえば多少ダメージが増えるのだがその分クールタイムが伸びて修復してしまう。

 こちらに飛ばされる原因になった時に使った、最大強化した『ラストジャジメント(M)』を打とうにも触媒関係が全然足りないしな。

 普通に『ラストジャジメント(M)』だけ使ってもあれは、防御無視とか無いから、たぶん今よりダメージが落ちる。

 低ランクの武器に加え、低レベルで攻撃力そのものが低く、その上攻撃職じゃないからな……。

 う~ん、やっぱりティナの投入ぐらいしか方法はないのか?


「あんた、これ倒すの無理じゃない? このゴーレムこの辺の壁より硬いわよ多分……」


 シーナは完全に諦めてそんなことを言って来るが、その内容に衝撃を受ける。


 壁よりこのゴーレムの方が硬い!?

 

 つまり……。


「『スパイラル・ピアーズ』」


 俺は、ウォールゴーレムにではなく、通路の壁に向けて攻撃を打ち込む。


「ちょ、なにやってるのよ! 標的はあっちでしょ?」


 シーナがウォールゴーレムの方を指差しながら注意してくるが、間違ってはいないのだ。

 これでいい。


「いや、あのゴーレムよりよっぽど攻撃が通るからな。見てみろよ一撃でアレだけ穴が開いたぞ」


 壁の中に埋まった槍を引き抜きながら見せてやる。

 槍の長さが1.5mぐらいだから……1mは埋まっていたと思う。


「そりゃ、あのゴーレムみたいに硬くないから……って、まさか!」

「そうだよ。ゴーレムを倒すより迂回するトンネル掘った方が楽そうだからな」


 実際、ウォールゴーレム相手には一撃で粉砕していた武器も痛んでいるだろうが原型を保っている。

 試してみる価値は十分にあるだろう。

 

 問題はトンネルを掘る位置だが……奥の部屋の隣に位置する武器庫などから真っ直ぐ掘るのはやめておいた。

 WMOでそういう方法で攻略すると言うのを聞いたことが無かったからだ。

 ギルド拠点の普通の部屋の壁に穴を開けるとかは聞いたことがあったのだが……。

 破壊不能オブジェクトになるとか、何か出来ない理由があるのだろう。

 空間が歪んでいて時空の迷子になんて設定があったらこっちではやば過ぎるしな。

 安全の為にも掘るのは通路部分だけにしよう。


「まあ、そういうわけでシーナも手伝え」

「ちょっと索敵に……」


 面倒な力仕事から逃げ出そうとするシーナに、


「この先にお宝があってもシーナに分け前無しな」


 またもやお宝をエサにする。


「解ったわよしょうがないわね」

 

 うん、凄い効果的だなこれ、これからも使えそうだし覚えておこう。





 ドン、ガン、キン、コン、ガガガガガ……。

 カン、カン、ドガ、ガス、ドガ、ドガ……。

 ゴーン、ガリガリ、ガガガ……。

 ドッカーン!

 

「お、やっと貫通だ!」

「ふぅ……疲れたわ」


 俺たちはゴーレムを迂回してU字型にトンネルを掘った。

 殆ど掘り終えたあたりで魔法で掘ると楽だった事に気づいた時は少し泣きそうになったが……。


「さてと――」

「ゴーレムの方はどうなってるの? 変化無し?」


 穴からウォールゴーレムの方を見るが……表側から見た時と代わりが無い。

 もしかして、このゴーレム目とかの視覚を得る機能はないのか?


 まあ、動き出す様子も無いのでトンネルから通路に出る。


「はぁ……最初からこうしてればよかったわ」

「確かにな……色々と無駄にした」

「そうよ、私のナイフどうしてくれるのよ!」


 それは自業自得だろうと言う言葉を飲み込んで、俺は通路を進みだす。

 シーナも慌ててそれに続く。


 

 隠し通路はそんなに長くないのですぐに隠し部屋に入ることが出来た。


「あれね? 拠点コアってのは……」

 

 シーナが目を向ける先には、台座の上に小型のギルドコアといった感じの透明の水晶の塊が浮かんでいた。


「やっぱ、あったか。じゃあ早速書き換えだな――」

「どのくらいかかるの?」

「結構時間がかかると聞いたことがある」


 短縮するスキルなり拠点設備なりアイテムなりがあるとか聞いたことがあるが、その辺は全く持っていないからな。

 元の時間そのままになるだろうし結構かかるだろうな。


「わかったわ、それじゃあ私はお宝探索に――」

「書き換え中は動けないから護衛よろしく!」

「はぁ?」

「一定範囲から動くとやり直しだから頼むな~」

「ちょ……待ちなさい!」


 シーナの苦情をさらっとスルーして拠点コアの書き換えを始める。


『拠点コアの書き換えを始めますか?(Y/N)』


 拠点コアに触るとシステムメッセージが浮かんだのでそのままYESを選択。


『書き換え開始しました。残り時間 00:59:59』


 1時間か~、WOMの勢力戦を考えると死に戻りとか補給とかして立て直した後、邪魔するには十分すぎる時間だよな。

 でも今回は邪魔する奴も居ないしゆっくり待つか。


「シーナ。あと1時間たのむぞ~」

「はぁ。解ったわよ」




 そんな感じで20分ほど経った頃。


 ゴゴゴゴゴ


 なにや重いものをゆっくり引きずるような音が聞こえてきた。


「何これ? 何か罠が動いてるの!?」


 シーナは周囲を警戒するがこれと言って変化は無い。

 俺も簡単に動くわけには行かないので、シーナに任せてひたすら待つ。


「何の音か気になるわね……本当になんなの? 調べに行った方がいいわね」


 彼女がそう言って部屋を出ようとしたところで……。


「あら? トンネルが無くなった?」


 不思議そうに通路を見ながら……急に顔色を変える。


「あのゴーレムなんかこっちに近づいてきてない!?」


 言われてみればそんな気もするので、MAPを確認してみる。

 すると、確かにこちらに向かって動いてきていた。

 トンネルの場所を比べると良くわかる。


「確かに近づいてきてるぞ!」

「動かないんじゃなかったの!?」

「凄い鈍足だけど一応動くって言っただろう!」

「どうするのよこのままじゃ押しつぶされるわよ!」


 シーナが慌てているが、それは大丈夫だろう。


「この部屋は通路より広いから避けるスペースは十分にある。拠点コアの書き換えはやりなおしになるだろうけどな」

「ああ、言われてみれば。ちょっとあせってたわね」


 ほっとした様子で力を抜くシーナ。


「ま、あのゴーレムは凄く遅いしギリギリまで粘ってみよう」

「わかったわ」





 

『書き換え開始しました。残り時間 00:19:23』


 残り時間20分をきったあたりで……。


「あ、止まったわね。もしかしてあのゴーレム入ってこれないの?」

「どうなんだろうな……まあ、時間が稼げるからいいんじゃないか?」


 ウォールゴーレムがこの部屋には居る寸前に動きを止めたのだ。

 見た感じ丁度、この部屋の壁と一体化して、まるで通路を埋めたように……。


「…………シーナ……ふと思ったんだが……」

「あんたもそう思う?」

「ああ……」

「私たち閉じ込められたんじゃない!?」


 確かに、閉じ込められている。

 だが、拠点コアの書き換えさせしてしまえばいい……はずだよな?

 

 少し不安になりがなら俺たちは書き換え完了の時間を待つ。




『書き換え開始しました。残り時間 00:00:06』


     5

     ・

     4

     ・

     3

     ・

     2

     ・

     1


『--------------------------------------------------------------


       書き換え完了しました。

 この拠点は ギルド:WMO の支配拠点となります。


 --------------------------------------------------------------』



 やっと拠点を取得できたな。


 まず最初にやることは……。

 ウォールゴーレムをどかす事だな。


 ちゃんとどかせるよな?

 大丈夫だよな?



 ほんの少し不安に感じながら、拠点コアの操作を始める。





「ちょっと、コアはもう終わったの? 時間はもう過ぎてるわよね?」


 あ、シーナにはシステムメッセージ届いてないのか?

 WMOだとメンバー全員に届いたような気がするんだが……。

 どうなっているんだろうな?

さて次の話は……。

やっと手に入れた支配拠点、その詳細を色々調べます。





※ギルド拠点の壁を壊す

WMOでは一応ギルド拠点などの建物にも耐久度が設定されていました。

なので、戦闘補助の設備を破壊する事も行われていました。

ただ、通路を掘るなどの行為が行われることは、まずありませんでした。

簡単に言うと、建物を修理する手段がいくつかあったのと、そんな悠長に穴を掘る余裕がなかったからです。

こっそりやろうとしても、結構な音が響いてしまって簡単に見つかります。

まあ、ズルをするより正攻法の方が楽だったのです……WMO内では……。

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