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異世界に飛ばされた俺は奴隷調教師になっていた  作者: 七瀬 優
第10章 後片付けは面倒です
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第3話 壁

更新です。


 俺とシーナは、階段のあった場所に出来た、隠し通路を進んでいく。


 …………。

 進んでいったのだが……。


「は? 隠し通路の先がただの行き止まり?」


 すぐに行き止まりにぶち当たる。

 シーナの言うとおりただ行き止まりがあるだけで他に何もない。


「シーナ、何か仕掛けがないか調べてみてくれ」

「わかってる……まさか罠!?」


 シーナが顔色を変えて来た道を走り出す。

 罠って……そうか!?

 さっきの階段が今元に戻ったら閉じ込められる!


 そうして一度、隠し通路から抜け出したが、杞憂だったようで戻る気配はない。

 念のため一応、執務室のスイッチ……隠し通路が出現したスイッチ……に重そうな本を乗せて抑えておいた。



「と言うわけでシーナ、さっきの行き止まり調べてみてくれ」

「当然……って、また、私だけ危険じゃないの!?」

「調べれるのがシーナだけだし、閉じ込められても俺が通路の外に居れば救出もできるだろう?」


 まあ、俺でも調べられないことは無い気はするがそれは秘密だ。

 脱出だけなら最悪、帰還の指輪があるからな、そう心配しなくてもいいはずだ。

 ティナなんかにやらせたらどんな事が起きるか不安だが、シーナなら早々ドジ踏むことも無いだろう。


「まあ、いいわ……お宝の為よね……」


 お宝の効果が思いのほか凄いな、これからはこの手でいくのがいいかもしれない。





「う~ん、仕掛けは見当たらないわね……もしかして隠し倉庫の類だったのかしら?」


 シーナが隠し通路を調べ始めて10分ほど経ったが、一向に何も見つからない。

 彼女が呟いているように、隠し倉庫の可能性はあるのかもしれない。

 今ここを使ってる奴らが、この仕掛けを知らないだけで……。

 となると、拠点のコア探しは暗礁に乗り上げるな……困ったな。


「私の感覚から行くと執務室の下のスペースの半分も埋まって無い気がするんだけど……」


 確かに2階の廊下と執務室を考えたら奥行きが大分足りない気はするな。

 せいぜい廊下を越えて執務室の1/5に踏み込んだあたりか?

 MAPを見て確認するか……。


 ええと……あれ?

 シーナの前に敵を現す赤いマーカーが一つ!?


「シーナもどれ! 直ぐ目の前に敵が居る!」

「え!?」


 驚きの声を上げるも、すぐに反応し脱兎の勢いで隠し通路を飛び出す。


「敵ってなによ! 全然気づかなかったわよ!」

「『索敵(M)』のスキルに反応してた」

「してたって……索敵のスキルは常時使いながらの行動が基本でしょ!」

 

 シーナの言うとおり。


 しくじったな、ゲーム時みたいに常時MAPが表示されてるわけではなく、意識すると頭に浮かぶ感じだから……。

 MAPを見るタイミングとか、意識し続けながら探索とか、訓練が必要かもしれないな。

 それはともかくとして……。


「それよりも、MAP上ではさっきシーナが居た地点の目の前に敵の反応があって、ついでに言うと通路は行き止まりじゃなく普通に続いているぞ」

「え? 行き止まりじゃなくて?」


 そうなのだ、MAP上だと普通に一本道の通路が続いて居て、その先に小部屋らしき空間がある。

 壁のある位置には敵のマーカーが……まさか!?


「あの壁が敵ってわけじゃないでしょうね?」

「ちょっと調べてみる」


 俺はシーナといっしょに行き止まりの壁の前まで進でいき、『モンスター鑑定(M)』で壁を調べてみる。



 名前:ウォールゴーレム


 種族:ゴーレム(拠点防衛用)


 備考:ギルド拠点で生産できるゴーレムの一種。

    攻撃能力はもって居ないが、とんでもない防御能力を誇るゴーレム。

    移動は一応可能だが、歩いて逃げ切れるほどその速度は遅い。

    自動回復(極大)、魔法吸収、状態異常無効、ブレイクウェポンなどの

   能力をもち、元の防御力とあいまってウォールの名の如く鉄壁の壁となる。


    広い場所でこのゴーレム単体と出くわした場合はこれといった脅威でなく

   避けて通れば問題がない。

    ただし、他のゴーレムなどと連携されて、ウォールゴーレムが盾になり

   後ろから遠距離攻撃など、陣形をくまれると脅威になりうる。

    あと、攻撃能力そのものは持っていないが、馬力は高いので壁や他の

   ウォールゴーレムとの間に挟んで押しつぶすと言った事は可能。

    よって、地形によっては並みのゴーレムよりもダメージを与えることも

   ありえる。



 なんて説明が出てきた。

 壁に擬態したゴーレム……というより壁をゴーレムにしたものなのか?

 戦闘能力はほぼ無いと言ってよさそうだが、一つ壁に押しつぶされるのだけは注意しないとな。


「シーナ相手はゴーレムの一種だ。防御力特化で攻撃はしてこない。ただ、移動速度は物凄い遅いみたいだが、壁との間に挟まれるのだけは注意しろ!」

「攻撃してこないって、それならただ一方的に攻撃するだけで倒せるじゃない。簡単じゃない!」

「ちょ、まて――」


 シーナは腰からナイフを抜き、ウォールゴーレムに攻撃を仕掛ける。


「『ブラッディダガー』!」


 【ブラッディシーフ】の攻撃スキルの中で一番の攻撃力のあるスキルだ。

 無防備に見えるウォールゴーレムにそのまま命中し、金属が悲鳴をあげる甲高い音が鳴り響く。


「って、何よこれ! めちゃくちゃ硬いじゃない!」


 彼女の攻撃した箇所は傷一つついていない。

 流石に防御力特化のゴーレムだけはあるな。

 それに……。


「それにナイフが一発で粉々じゃない!」


 ナイフが破損したとかではなく、一度の攻撃で粉々に砕けてしまっていたのだ。

 これは、ブレイクウェポンの能力だ。

 簡単に言うと、この能力を持った相手に武器で直接攻撃すると、武器の耐久度に特大のダメージを受けるのだ。

 まあ、大抵は耐久度が0になって壊れる。

 何か対処がしてある武器ならともかく、普通の武器は粉々になったら修理不能だ。

 ゲーム内では物凄く嫌われた能力の一つだったりする。


「そいつを攻撃すると、武器の耐久力に大ダメージを受けて、並みの武器ならほぼ壊れる」

「そういう事は先に言いなさいよ! これ高かったのよ!」

「言う前に攻撃したんだろ!」


 なんてシーナと言い合いを暫く続けていたが、ウォールゴーレムは一向に動く気配が無い。

 ロビーまで釣り出して避けられたら楽なんだけどな……。



「それなら、あんたの魔法で削ったらどうなの?」

「魔法を吸収するみたいなんだよあいつは」


 そういいながら、ためしに『ファイアーボール』を打ち込んでみる。

 ウォールゴーレムに着弾するも、爆発などは起きずにそのまま吸収される。


「ほらな」

「な、何て能力なの!?」


 ただ、この手のモンスターには対処法はないでもない。

 それは、防御力無視や防御力比例の攻撃スキルだ!

 当然俺もいくつか持って居る。

 ただ問題は……。


「試してみるか……」


 俺はこちらに来てから適当に店で買った安物の剣(持ち込み品に比べると)を取り出す。

 突きの構えを取り、


「『ソードピアース(M)』」


 防御力無視スキルの一つ剣系突きスキル『ソードピアース(M)』を打ち込む。


 ガリッっという硬い物を削る音が響く。


「うわ、あの硬いゴーレムに傷をつけるなんて流石ね」


 シーナの少しあきれの混じった声が聞こえる。

 俺は手から崩れ落ちていく剣に残骸を捨てると、今つけたばかりの傷跡を観察する。


「やっぱりだめか……」


 見る見るうちに傷跡が塞がっていく、自動回復(極大)の能力は伊達ではない。


「って、何よ! すぐに傷が埋まってるじゃない!」

「再生能力があるんだよ、それも凶悪な奴が」

「ちょ……それどうやって倒すのよ?」

 

 問題はそれなんだよな……。

 可能性があるとしたら、持ち込み品の最高装備でフルブーストしながら一撃撃破をねらうか……。

 ただ、流石に持ち込み品を使い捨てにするのもな……。

 一番楽なのは、【モンク】とか【武道家】なんかの素手攻撃系統の職業の防御力無視や防御力比例なんだけど……。

 今の俺の攻撃力じゃ回復速度を超えるダメージを与えれるとは到底思えない。

 【奴隷調教師】は前衛の攻撃職ではなく、どっちかといえば後衛の援護職だろうからな。


 さて、どうするか……。


「相手を弱体化するスキルとかはダメなの?」

「状態異常無効化能力もちだ」

「無茶苦茶な性能ね……」


 そうだな……この世界の盾能力としてはチートを超えているな。

 エルフの森のフォレストドラゴンのフォレンストの攻撃とかには普通に耐えそうだからな……。


「じゃあ……ティナの妖精の攻撃とかはどうなの?」

「ティナの妖精か……」


 どうだろう? 

 妖精の攻撃って魔法攻撃に含まれたか?

 あ……含まれて居なかった気がする。

 可能性はあるのか?


「もしかしたら……」

「なら、ティナを呼んでやらせましょ。私達じゃ無理よこれ」


 ティナか……ウォールゴーレム倒すとしたら本気で最大火力を狙わないときついだろうからな……。

 あいつに超火力の攻撃使わせる事には不安しか感じないんだが……。


「ティナに最大火力ださせるのか?」

「何か問題があるの? それぐらいしか方法無いんじゃない?」

「ティナがドジって全滅する未来がちらつくんだが……」

「…………」


 あ、シーナも容易にその場面を想像できたのだろう、たらりと一筋の汗が流れる。


「ティナは最後の手段にして何か方法を考えましょう」

「そうだな、何か考えよう」


 最後の手段にも使いたくないんだが、他の方法を考えるのは賛成だな。

 ただ、そう簡単に浮かびそうに無いんだよな。

 ここはまず……。


「隣の武器庫をあさるか、何かいいものが手に入るかもしれないし。最悪使い捨てで攻撃も……」

「まあ、攻撃するにしても武器を補充しておくに越したことは無いわね」


 俺たちは、武器を調達するために武器庫に向かう。

 いい武器があればいいのだが……。




 果たして、俺たちはウォールゴーレムを撃破できるのか!?

 最終手段に頼ることになるのか!?


 一ついえるのは、ウォールゴーレムが攻撃手段をもって無くてよかった。

 今のこの世界なら滅びかねないからな……。

次回、クロ達はウォールゴーレムを突破できるのか?

禁断のティナ投入になるのか!?

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